大切な絵画を配送する際、最も心配なのは荷物の角がぶつかったり、画面に圧力がかかったりして作品が破損することです。市販の段ボール箱ではサイズが合わず、中で作品が動いてしまうことも少なくありません。この記事では、絵画のサイズに合わせて段ボールを自作し、安全に届けるための梱包方法を紹介します。角の保護や衝撃を逃がす二重構造の作り方をマスターして、大切な作品をしっかり守りましょう。
絵画を梱包する段ボールの作り方は「角保護+外箱」で安心度が上がる
絵画梱包の基本は、作品を単に箱に入れるのではなく、衝撃が直接伝わらない「層」を作ることです。特に四隅の角を強化し、その上で丈夫な外箱を用意する「角保護+外箱」の組み合わせは、運送時のトラブルを大幅に減らしてくれます。この二段階の備えによって、万が一箱の角が潰れても中身の作品までダメージが届かないようになり、受け取り手にも丁寧な印象を与えることができます。
角の保護ができれば破損リスクが下がる
絵画や額縁を配送する際、最もダメージを受けやすいのが四隅の角です。配送トラックの中や仕分け作業中、荷物は何度も積み下ろしをされますが、その際に箱の角が地面に強く当たることがよくあります。角に適切な保護がないと、衝撃がそのまま額の割れやキャンバスの歪みにつながってしまいます。
角を保護するためには、専用のコーナーパッドを使用するか、厚手の段ボールをL字型に加工して角を覆うのが効果的です。このとき、角の部分に少しだけ空洞(クッションスペース)ができるように固定するのがポイントです。衝撃を角の先端で受けるのではなく、保護材が潰れることでエネルギーを逃がす構造を目指しましょう。
また、角をしっかり固定することは、箱の中で作品が上下左右に揺れるのを防ぐ役割も果たします。作品が動かなければ、表面の擦れも最小限に抑えることができます。梱包の第一歩として、まずは四隅をガッチリとガードすることから始めましょう。
作品面は擦れ防止の層を入れる
段ボールや気泡緩衝材(エアキャップ)が直接作品の表面に長時間触れていると、配送時の振動によって微細な「擦れ」が生じることがあります。特に油彩画や、表面がデリケートな作品の場合、梱包材の跡がついてしまうトラブルは避けなければなりません。これを防ぐために、緩衝材を巻く前に「擦れ防止の層」を一枚挟むのがプロの技です。
具体的には、ミラーマットと呼ばれる発泡ポリエチレンシートや、表面が滑らかな薄紙で作品全体を優しく包みます。この一層があるだけで、外側の緩衝材が動いても画面への影響を遮断できます。油彩画の場合は、絵具が完全に乾燥していることを確認した上で、中性紙などを使用して湿気がこもらないよう配慮することも大切です。
梱包材を巻く際は、テープが直接作品や額縁に触れないよう、必ず保護シート同士を留めるようにしてください。開梱時にカッターやハサミを使う人のことを考え、テープの端を少し折って「つまみ」を作っておくと、取り出す際の事故も防げます。
内箱と外箱で衝撃を分散できる
非常にデリケートな作品や、高価な作品を送る場合は「二重梱包(ダブルカートン)」という手法が推奨されます。これは、作品を包んだ「内箱」を作り、それを一回り大きな「外箱」に入れるというものです。内箱と外箱の間に3〜5cm程度の隙間を作り、そこに緩衝材を敷き詰めることで、外部からの衝撃が直接内側に伝わらない浮遊状態を作り出します。
自作で二重箱を作る場合は、まず作品にぴったりの「内箱」を段ボールで組み立てます。次に、その内箱を大きな段ボール板の上に置き、周囲に十分な余白をとって「外箱」を設計します。内箱が外箱の中で動かないよう、四隅や面の部分に丸めた紙やエアキャップを詰めて、しっかりと固定することが重要です。
この二重構造は、配送中に重い荷物が上に載せられた際の「面」の圧力にも強くなります。一段目の箱が歪んでも、二段目の箱が盾となるため、大切な作品を確実に守り抜くことができます。
配送ラベルと向き指定で扱いが安定する
梱包がどれほど完璧であっても、配送業者の扱い方に配慮を求めることでさらに安全性が高まります。箱の外側には必ず「天地方向(上下)」、「壊れ物注意」、「下積み厳禁」といったケアマークを目立つように表示しましょう。これがあるだけで、配送スタッフが荷物を置く向きや積み上げる順番を考慮してくれるようになります。
また、中身が絵画であることを明記することも重要です。「美術品」や「絵画」と書かれている荷物は、一般的な荷物よりも慎重に扱われる傾向があります。箱の表面には、作品の「表側」がどちらであるかを記しておくと、受取人が開梱する際に裏表を間違えて作品を傷つけるリスクを減らせます。
配送伝票(ラベル)を貼る位置は、天面(上部)の中央が基本です。側面に貼ると、荷物が積み重なったときに見えなくなる可能性があるため、最も視認性の高い場所に配置しましょう。最後に、箱を軽く振ってみて中で「ガタガタ」と音がしないか確認し、音がする場合は緩衝材を追加して最終的な調整を行ってください。
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絵画の段ボール梱包がきれいに決まるおすすめ資材
絵画の梱包には、専用の資材を揃えることで作業が格段に楽になり、見た目も美しく仕上がります。配送時の安心感を買うつもりで、信頼できるメーカーの資材を選んでみましょう。ここでは、自作段ボール梱包のクオリティを高めてくれるおすすめのアイテムをまとめました。
段ボール角当て・コーナーパッド
作品の角をピンポイントで守るためのパーツです。これを使うだけで、自作の箱でも既製品のような強度が生まれます。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|
| コーナーパッド(アースダンボール) | 段ボール製で環境に優しく、厚みで衝撃を吸収 | アースダンボール公式サイト |
| プラスチックコーナーガード | 頑丈なプラ製で、重い額縁の角を強力に保護 | モノタロウ公式サイト |
エッジボード(角補強パッド)
箱全体の角(エッジ)を補強するためのL字型の資材です。箱のたわみを防ぎ、積み重ねに強くなります。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|
| エッジボード(古紙再生紙製) | 非常に硬い紙製で、箱の四辺を支柱のように補強 | イトーパック公式サイト |
ミラーマット(発泡ポリエチレンシート)
作品の表面を優しく包み、擦れや汚れから守るソフトなシートです。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|
| ミラーマット(ミナフォーム) | 柔軟性があり、陶器や絵画の表面保護に最適 | 酒井化学工業公式サイト |
エアキャップ(気泡緩衝材)
いわゆる「プチプチ」です。空気の層で全体の衝撃を和らげます。粒の大きさによって強度が選べます。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|
| プチプチ(川上産業) | 緩衝材の定番。環境配慮型や静電防止型も選べる | 川上産業公式サイト |
巻き段ボール(大きい作品の外装)
大きな作品や変形サイズの作品に合わせて自由にカットできる、シート状の段ボールです。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|
| 片面ダンボール(巻きダンボール) | 片面が波状で曲げやすく、どんな形も包み込める | ダイナパック公式サイト |
強化段ボールのかぶせ箱・さし箱
自作が難しい場合は、あらかじめ強度を高めた絵画専用の箱を利用するのも一つの手です。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|
| 絵画用かぶせ箱 | 額縁を入れるための専用設計で、出し入れがスムーズ | 額縁のタカハシ公式サイト |
サイズに合わせて作る段ボール箱の採寸と組み立て
既製の箱に入らない作品でも、段ボールシートから自分で箱を組み立てれば、どんなサイズにも対応できます。自分の作品にシンデレラフィットする箱を作ることで、無駄な送料を抑えつつ、安全性を最大限に高めることが可能です。正確な採寸から、強固な箱の組み立て方まで、順を追って解説していきます。
作品サイズに余白を足して内寸を決める
まずは作品(または額縁)の縦、横、厚みを正確に計測します。ここで重要なのは、計測した数値に緩衝材の厚みをプラスすることです。ミラーマットやエアキャップを2重、3重に巻くことを想定し、それぞれの辺に2cm〜4cm程度の余裕(余白)を持たせて「箱の内寸」を決定します。
例えば、縦40cm、横30cm、厚み5cmのキャンバスを梱包する場合、厚手の緩衝材を巻くなら内寸は「44cm × 34cm × 9cm」程度にするのが理想的です。この余白が少なすぎると、いざ梱包した作品を入れようとしたときにきつくなってしまい、無理に押し込むことで作品に圧力がかかってしまいます。逆に余白が多すぎると、箱の中で作品が踊ってしまうため、緩衝材で隙間を埋める手間が増えます。
使用する段ボール板に、鉛筆で正確な図面を引きましょう。中心に底面の長方形を描き、その四方に「厚み(高さ)」の分だけ線を伸ばして展開図を作成します。
板ダンで面を固めてたわみを防ぐ
大きな絵画を梱包する場合、段ボールの広い面が配送中に押されて「たわむ」ことがあります。面が沈み込むと、中の作品に直接圧力がかかり、キャンバスが伸びたり額が傷ついたりする原因になります。これを防ぐために、箱を閉じる前に「板ダン(平らな段ボール板)」を追加して面を補強しましょう。
箱の底面と天面(蓋の部分)と同じサイズの段ボール板を別途用意し、作品を挟むようにして配置します。こうすることで、外からの「点」の衝撃が「面」へと分散され、内部への影響を最小限に抑えられます。
また、段ボールには「目(波状の芯の向き)」があります。補強用の板ダンを入れる際、外箱の段ボールの目と直交するように(クロスパターンのように)重ねると、さらに強度が向上します。たわみに強い箱を作ることは、大切な画面を物理的な圧迫から守るための最も有効な手段の一つです。
四辺を折って箱形にして角を補強する
展開図に従って段ボールを折る際は、カッターの背などを使って「折り線」を先につけておくと、真っ直ぐ綺麗に曲げることができます。四隅を折り曲げると、重なり合う部分(のりしろ)ができるので、そこを強力な布テープや梱包用テープで固定します。
角を固定する際、ただテープを貼るだけでなく、さらに余った段ボールの切れ端をL字に折って、外側から角を補強するように貼り付けると安心度が飛躍的に高まります。自作の箱で最も壊れやすいのは、自分で繋ぎ合わせた四隅の角です。ここが剥がれてしまうと箱全体の形が崩れてしまうため、多めにテープを使い、しっかりと面を一体化させましょう。
大きな作品を包むために「巻き段ボール」を使用する場合は、二重、三重に巻きつけることで強度を出します。巻き終わった後は、両端の開口部を折り込んで「封筒状」にするのではなく、必ず厚みを持たせた「箱状」に成形して、角が潰れないように配慮してください。
二重箱にしてテープで面と角を固定する
最後に、作品を入れた箱をさらに大きな外箱に収めます。二重箱にするメリットは、外箱が受けた衝撃を中箱に伝えないことにあります。外箱の底に緩衝材を敷き、その上に中箱を置いて、周囲の隙間を埋めていきます。このとき、中箱が外箱のちょうど真ん中に位置するように調整してください。
すべての封緘が終わったら、テープの貼り方にもこだわりましょう。箱の合わせ目に沿って一本貼るだけでなく、漢字の「工」の字を描くように、左右の端もしっかりとテープで留める「H貼り」が推奨されます。これにより、運送中の衝撃で箱が開いてしまう事故を完全に防ぐことができます。
また、テープはケチらず、角の部分もしっかりと覆うように貼りましょう。テープには防水の効果もあるため、雨の日の配送でも段ボールがふやけて強度が落ちるのを防いでくれます。最後に、箱の表面をなでてテープの浮きがないか確認すれば、プロ並みの頑丈な自作梱包の完成です。
絵画梱包の段ボール作りは保護層と角補強をセットで考える
絵画を配送する際の段ボール梱包において、最も大切なのは「保護のレイヤー(層)」を意識することです。作品の表面を守るミラーマット、衝撃を和らげるエアキャップ、そして形を維持する段ボール。これらを、壊れやすい「角」の徹底的な補強とセットで考えることで、配送中の事故を限りなくゼロに近づけることができます。
自作の箱は手間がかかりますが、その分だけ作品への想いが伝わる丁寧な仕事になります。今回紹介した資材や組み立てのコツを活用して、大切な作品を安全に、そして美しい状態で届けてください。適切な梱包は、アーティストとしての信頼を築く第一歩でもあります。“`
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