練り消しのおすすめは?デッサンのハイライトや細部をきれいに抜く選び方のコツ

デッサンやイラストを描く際、普通の消しゴムだけでは表現しきれない絶妙なニュアンスを作るのに欠かせないのが「練り消し」です。文字を消すためではなく、光を描き込んだり、色の濃淡を調整したりするための重要な画材です。選ぶものによって硬さや粘り気が異なり、使い心地が大きく変わります。自分のスタイルにぴったりの練り消しを見つけて、作品のクオリティを一段階引き上げてみましょう。

目次

練り消しのおすすめは「明るくする」「形を作る」「汚れにくさ」で選ぶと失敗しにくい

練り消し選びで大切なのは、自分がどのように絵を仕上げたいかという目的を明確にすることです。単に鉛筆の粉を吸い取るだけでなく、ハイライトをどれくらい鮮明に入れたいのか、細かい部分をどれだけ正確に抜きたいのかによって最適な硬さが変わります。また、長時間使用しても手がベタつかず、紙に油分が残りにくい「汚れにくさ」も、作品を美しく保つためには欠かせないチェックポイントになります。

ハイライトを自然に入れられる

練り消しの最も得意な仕事は、紙の上に置かれた鉛筆の粉を「吸着」して、画面を明るくすることです。普通の消しゴムは紙の表面をこすって粉を取り去りますが、練り消しはポンポンと叩くようにして粉を吸い取ります。この特性により、真っ白に消すのではなく、周囲と馴染むような「自然な明るさ」を作ることが可能になります。

例えば、球体のデッサンで光が当たっている部分を表現する際、練り消しで軽く叩くことで、グラデーションを壊さずに柔らかなハイライトを入れることができます。このとき、粘り気が適度にあるものを選ぶと、一度の動作でしっかりと粉を拾ってくれるため、何度も叩きすぎて紙を傷める心配がありません。

また、金属やガラスのような硬い質感のハイライトには、少し硬めの練り消しを鋭く尖らせて使うと、パキッとした鋭い光を表現できます。逆に、肌や布のような柔らかい質感には、柔らかめの練り消しを丸めて優しく押し当てるのが効果的です。表現したい質感に合わせて、練り消しの吸着力を使い分けることが、デッサン上達の近道になります。

細部を狙って抜ける

練り消しのもう一つの大きな特徴は、自分の好きな形に自由に変形させられることです。普通の消しゴムでは角が丸くなってしまうと細かい部分が消しにくくなりますが、練り消しなら指先でつまんで針のように細く尖らせることで、髪の毛一本一本の輝きや、瞳の中の小さな光などを正確に「抜く」ことができます。

この際、重要になるのが「形を保つ力(コシ)」です。柔らかすぎる練り消しだと、せっかく細く尖らせても紙に押し当てた瞬間に潰れてしまい、狙った場所以外まで消えてしまうことがあります。細密な描写を好む方や、背景の細かな模様を描き込みたい方は、少しコシの強い、形が崩れにくいタイプを選ぶのがおすすめです。

形を自在に作れるということは、消すだけでなく「ぼかす」作業にも使えることを意味します。筆の穂先のような形にして画面を優しくなぞれば、鉛筆の線を適度に残したまま、色の調子を整えることができます。自分の指先の一部のように扱える練り消しは、デッサンにおける最も繊細な筆の一つといっても過言ではありません。

紙を傷めにくい

デッサンにおいて、紙の表面(凹凸やキメ)を保護することは非常に重要です。普通の消しゴムで強くこすってしまうと、紙のキメが潰れてしまい、その上から鉛筆を重ねても色が乗りにくくなることがあります。練り消しは「こする」のではなく「押し付ける」動作が基本であるため、紙への負担が極めて少ないのが利点です。

特に、画用紙やケント紙など、繊細な紙を使っている場合には練り消しの優しさが際立ちます。何度も描き直しやトーンの調整が必要な場面でも、練り消しをメインに使っていれば、最後まで紙の質感を損なわずに描き進めることができます。これは、最終的な仕上がりの「色の深み」にも大きく影響するポイントです。

また、高品質な練り消しは油分が適切に管理されており、紙にベタつきを残しません。安価なものや古いものの中には、紙に油の跡をつけてしまい、その部分だけ鉛筆が滑って描けなくなることがありますが、おすすめのメーカー品であればそのようなトラブルを避けられます。紙との相性を考えた道具選びが、ストレスのない制作環境を作ります。

仕上げのトーン調整がしやすい

絵が完成に近づくにつれ、「ここだけ少し明るくしたい」「全体の調子が強すぎる」といった微調整が必要になります。そんな時、練り消しは「トーン調整のフィルター」として活躍します。大きな塊にした練り消しを画面全体に軽く転がしたり、平らに広げた面でそっと押さえたりすることで、全体のバランスを崩さずに一段階だけ明るさを落とすことができます。

この調整作業では、練り消しの「汚れの付きにくさ」が重要になります。鉛筆の粉を吸い取った後の練り消しは黒くなりますが、それを内側に練り込むことで、常に新しい綺麗な面を使うことができます。この「自動洗浄」のような仕組みにより、画面を汚すことなく、納得がいくまでトーンを追求することが可能になります。

トーン調整が自在にできるようになると、絵に空気感や奥行きを出すのが格段に上手くなります。手前のモチーフはハッキリと、奥にあるものは練り消しで少しトーンを落としてぼかす。こうした高度なテクニックも、使い勝手の良い練り消しがあれば直感的に行えます。仕上げの段階でこそ、練り消しの真価が発揮されるのです。

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練り消しおすすめアイテム

ここからは、実際にプロの現場でも愛用されている、信頼できる練り消しをタイプ別にご紹介します。画材店や通販サイトで手に入りやすいものを中心に、それぞれの特徴をまとめました。自分の用途に合うものを選んでみてください。

タイプ商品名特徴公式サイトリンク
標準ステッドラー カラト 練り消しゴム粘り気と硬さのバランスが良く、万能に使える定番品。ステッドラー公式
標準ホルベイン 練りゴム No.1プロ愛用者が多い日本メーカーの代表作。コシが強い。ホルベイン公式
柔らかめファーバーカステル 練り消しゴム非常に柔らかく、広い面のトーン調整がしやすい。ファーバーカステル公式
柔らかめ三菱鉛筆 事務・製図用 練り消しゴム伸びが良く、手が汚れにくい。初心者にもおすすめ。三菱鉛筆公式
特殊トンボ鉛筆 MONO 練り消しゴムケース付き。粘り気が強く、細かい粉までしっかり吸着。トンボ鉛筆公式

デッサン用練り消し(標準タイプ)

デッサンを始めるなら、まずは標準的な硬さのタイプを持っておくのが安心です。ステッドラーやホルベインの標準タイプは、形を作るための硬さと、粉を吸い取るための粘り気が絶妙に調合されています。どんな紙にも馴染みやすく、鉛筆から木炭まで幅広く対応できるため、最初の一歩として最もおすすめできる選択肢です。

やわらかめ練り消し(広い面のトーン調整向け)

広い空や背景など、大きな面積の明るさをふんわりと調整したいときは、ファーバーカステルのような柔らかいタイプが適しています。指の力が伝わりやすく、画面を優しくなでるだけで均一にトーンを落とせます。粘土のように伸びる感覚が心地よく、デッサン中にストレスなく形状を変えられるのが特徴です。

かため練り消し(細部の抜き向け)

金属の反射や動物のヒゲなど、シャープな白い線を引きたいときは、コシのある硬めのタイプが威力を発揮します。ホルベインのNo.1などは比較的しっかりとした質感で、細く尖らせても先端がへたりにくいです。狙ったポイントを的確に明るくできるため、仕上げの精密描写に欠かせないアイテムとなります。

角が立てやすい練り消し(形づくり向け)

細部を消すために、消しゴムの「角」を重視する方には、練り合わせた後に形がピタッと決まるタイプが最適です。ステッドラーの練り消しは適度な弾力があり、三角形や四角形など、消したい面積に合わせた形を作りやすいです。一度作った形が維持されやすいため、作業効率が大きく向上します。

大判サイズ練り消し(木炭デッサン向け)

木炭デッサンでは、鉛筆以上に大量の粉を吸い取ることになります。そのため、通常のサイズよりも一回り大きい大判タイプや、複数個がセットになったものを選ぶのが賢明です。たっぷりとボリュームのある状態で使うことで、木炭特有の力強いタッチを大胆に整理したり、大きな光の面を一気に作ったりすることができます。

携帯ケース付き練り消し(持ち運び向け)

練り消しは剥き出しで持ち運ぶと、ペンケースの中のゴミを吸着して汚れてしまいます。外でのスケッチや学校での授業がメインの方は、トンボ鉛筆のMONOシリーズのようにプラスチックケースが付属しているタイプが非常に便利です。常に清潔な状態を保てるため、画面を汚す心配がなく、画材を長持ちさせることにも繋がります。

練り消しを使いこなすコツと合わない場面

練り消しは非常に便利な画材ですが、その力を最大限に引き出すには、少しだけコツが必要です。ただこするのではなく、独特の「叩く」「練る」といった動作を覚えることで、表現の幅は一気に広がります。一方で、練り消しだけでは解決できない場面もあるため、他の道具との使い分けを知ることも重要になります。

叩く回数で明るさを調整する

練り消しで最も基本的なテクニックが、画面を軽く「叩く」ことです。鉛筆を塗りすぎた場所や、少しだけ光を足したい場所に、丸めた練り消しを垂直に押し当てては離す動作を繰り返します。一度叩けばほんの少し明るくなり、二度三度と繰り返すうちに、徐々に明るさが増していきます。

この「回数による調整」ができることが、普通の消しゴムにはない利点です。一気に消してしまうのではなく、周囲の色の調子を見ながら、少しずつ光を「置いていく」感覚で使いましょう。叩く強さを変えるだけでも、吸着する鉛筆の量が変わるため、繊細なグラデーションの管理が非常に楽になります。

尖らせて線の近くを抜く

建物の輪郭線の内側を綺麗にしたいときや、描画した線に隣接する部分を明るくしたいときは、練り消しを細長く尖らせて、その先端を「置く」ように使います。このとき、横に滑らせると線がぼやけてしまうため、上から優しく突くようにして、不要な粉だけをピンポイントで取り除きます。

また、練り消しを「へら」のような平らな形にして、そのエッジ部分を使うことで、シャープな直線のハイライトを入れることもできます。このように、用途に合わせて形を瞬時に作り変える柔軟さが、デッサンの精度を高める大きな武器となります。自分の指先を延長させるようなイメージで、様々な形を試してみてください。

汚れたら練って面を替える

練り消しを使っていると、吸い取った鉛筆の粉で表面が黒くなってきます。そのまま使い続けると、吸い取った汚れを別の場所に擦り付けてしまう原因になります。表面が汚れたと感じたら、すぐに手で練り合わせて、黒い部分を内側に閉じ込めるようにしましょう。新しい綺麗な面を出すことで、常に清潔な吸着力を保つことができます。

練り合わせる作業は、練り消しの硬さを調整する役割も果たします。手の熱で温めながら練ることで、より柔らかく扱いやすい状態になります。冬場などで練り消しが硬くなって使いにくいときは、しばらく手の中で転がして温めてから使い始めると、本来の性能を発揮しやすくなります。

消しゴムと役割分担すると仕上がる

練り消しは万能に思えますが、実は「真っ白に消し去る」ことはあまり得意ではありません。紙のキメの奥まで入り込んだ鉛筆の粉を完全に除去するには、やはりプラスチック消しゴムの「こする力」が必要になります。そのため、完全に形を修正したいときや、ハイライトの中でも最も明るい「ハイライトの頂点」を白く抜きたいときは、普通の消しゴムを併用するのがベストです。

「トーンを整える、柔らかい光を作る、細部を抜く」のは練り消し。「形を大幅に修正する、完全に白く戻す」のはプラスチック消しゴム。このようにそれぞれの得意分野を理解して役割分担させることで、デッサンの完成度は飛躍的に向上します。道具を適材適所で使い分けることが、プロのような美しい仕上がりを生む秘訣です。

練り消しおすすめを選ぶポイントまとめ

練り消し選びのポイントを整理すると、まずは「標準的な硬さ」のものから試し、自分の好みに合わせて「柔らかめ」や「硬め」を追加していくのが最も効率的です。広い面を優しく調整したいなら柔らかいタイプ、鋭い光や精密な抜きを重視するなら硬いタイプが、あなたの表現を力強くサポートしてくれます。

また、紙を傷めないための「吸着力の質」や、汚れを内側に練り込める「使い勝手の良さ」など、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが、結局は一番の近道になります。今回ご紹介したアイテムを参考に、ぜひあなたにとっての「最高の一品」を見つけてください。自分に合った練り消しを使いこなせるようになれば、デッサンの中で光を操る楽しさが、もっと深まっていくはずです。“`

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ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。

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この記事を書いた人

漫画やアートで「これってどうしてこんなに心を動かされるんだろう?」と考えるのが好きです。色の選び方や構図、ストーリーの展開に隠れた工夫など気づいたことをまとめています。読む人にも描く人にも、「あ、なるほど」と思ってもらえるような視点を、言葉で届けていきたいと思っています。

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