個人でイラストレーターに依頼するとき、請求書は報酬や支払いの合意を明確にする大切な書類です。形式が整っていれば誤解や支払い遅延を防げますし、税務処理や保存もスムーズになります。ここでは、請求書に必要な項目や書き方、税や支払いの取り決め、実際の文例やテンプレートまでわかりやすくまとめます。初めてのやり取りでも安心して進められるよう、ポイントを押さえてお伝えします。
イラストレーターに送る請求書を個人依頼で使うときにまず確認すること
請求書を使う前に、依頼主とイラストレーターの双方で確認しておくと安心な項目を整理します。特に個人間の取引では、口頭だけで終わらせず書面に残すことが重要です。
まず、業務範囲と納品物の内容を明確にします。どのイラストを何点、どの解像度・形式で納品するかを決めておくと認識のズレを防げます。修正回数や再利用の可否、著作権の扱いも合わせて決めておきましょう。
次に、報酬と支払い条件を確定します。報酬総額、消費税の扱い、源泉徴収の有無、振込期日を明記します。前金や分割払いがある場合は割合や期限も合わせて取り決めておきます。
最後に請求書の送付方法と保存期間です。メール添付やクラウド経由、郵送など送付手段を決め、請求書と関連書類の保存期間(税務上は通常7年)を確認しておきます。これらを事前に確認しておけば、後からのトラブルを避けやすくなります。
請求書の記載項目一覧
請求書に入れるべき基本項目をリストアップします。項目が抜けていると振込が遅れたり、税務処理で困ることがあるのでチェックリストとして使ってください。
必須項目:
- 請求書発行日
- 請求書番号(連番や年月日を含めた識別子)
- イラストレーターの氏名(または屋号)と連絡先
- 依頼主の氏名(または会社名)と連絡先
- 支払い期限(振込期日)
- 報酬の内訳と合計金額
- 消費税額(課税対象の場合)
- 振込先口座情報(金融機関名・支店名・口座番号・名義)
- 備考欄(源泉徴収の有無や納品物の説明)
あると便利な項目:
- 納品日または納品方法の明記
- 修正対応の回数や期間
- 前金の受領済み記載
- 請求先担当者名
これらを揃えておくと、後からの問い合わせや振込ミスを減らせます。項目はシンプルでも構いませんが、不明点が出ないように具体的に書くことが大切です。
報酬の提示ルール
報酬を提示する際は、合意が明確になる表現を心がけます。金額だけでなく内訳や条件も伝えることで誤解を避けられます。
まず報酬額は「税込」か「税抜」かを明示します。消費税の扱いが分かりにくいと支払い時に齟齬が生じるため、金額表示のルールを統一しましょう。複数の作業がある場合は、項目ごとに単価と数量、合計を示すと見やすくなります。
次に修正対応の扱いです。修正回数を何回まで含むか、追加修正は別途料金とするかを決めておくとトラブルを避けられます。納品物の二次利用や商用利用の範囲についても、必要に応じて使用料を設定してください。
最後に支払い方法とタイミングです。銀行振込が一般的ですが、振込手数料の負担先(依頼主負担か請負側負担か)も決めておきます。前金比率や締め日を定めれば、キャッシュフロー管理がしやすくなります。
支払い条件の基本事項
支払い条件は明確に書いて両者で合意しておくことが重要です。期日や方法、遅延時の対応を決めることで安心感が生まれます。
支払期限は請求書に必ず記載します。納品後何日以内に支払うのか、月締めでの支払いか、期日を具体的に示してください。振込先情報は正確に記載し、金融機関名や口座番号、名義の誤字がないか確認しましょう。
振込手数料の負担については事前に決めておきます。一般的には依頼主が負担するケースが多いですが、合意内容を請求書に明記するとよいです。また、支払い遅延が発生した場合の対応(督促のタイミングや遅延損害金の有無)も記載しておくと後が楽になります。
最後に分割払いや前金がある場合の条件(割合、期限、キャンセル時の取り扱い)を明確にしておきます。これにより、トラブルや誤解が減り、スムーズに取引が進みます。
源泉徴収の見分け方
個人に支払う報酬で源泉徴収が必要かどうかは、業務の性質で判断します。イラスト制作は原則報酬の対象となる場合があるため確認が必要です。
源泉徴収が必要となるのは、原稿料やデザイン料など「著作隣接権や入稿に関わる報酬」として扱われる場合です。依頼主が法人の場合、一定の報酬に対して源泉徴収を行うことがあります。支払う側が源泉徴収を行う必要があるかは、支払者側の税務担当に確認すると確実です。
請求書上では、源泉徴収がある場合に「源泉徴収税額」「差引支払額」を明記します。相手が源泉徴収を行う旨を事前に通知してくれないケースもあるので、契約時に扱いを確認しておくと安心です。必要に応じて税理士に相談することも検討してください。
送付方法と保存期間
請求書の送付方法はメール添付、クラウド共有、郵送などがあります。それぞれの利点と保存方法を押さえておきましょう。
メール添付やクラウドは迅速で履歴が残るため便利です。PDFでの送付が一般的で、改ざん防止のため出力用に固定した形式にしておきます。郵送の場合は控えを残し、受領印をもらうなど証拠を残す方法がおすすめです。
保存期間は税法上の観点から通常7年間が目安です。データで保存する場合はバックアップを複数箇所に保管し、ファイル名やフォルダを分かりやすくしておくと後で見返しやすくなります。
受領確認の取り方や再送のタイミングもルール化しておくと、請求漏れや紛失を防げます。
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個人依頼でも使いやすい請求書の書き方と見本
個人依頼向けの請求書は簡潔で分かりやすいことが大切です。実際の見本に沿って、誰でも使えるレイアウトと記入例を紹介します。
まず冒頭に請求書というタイトルと発行日、請求書番号を明示します。次に請求先と発行者の情報を左右に分けて配置すると見やすくなります。明細は表形式で、項目、数量、単価、金額を並べ、合計と消費税、源泉徴収があれば差引後の支払額を下部に示します。
備考欄には納品方法や納期、振込期限、振込先、振込手数料の負担について一言入れておくとよいです。簡単なテンプレートを用意しておけば毎回の作成が楽になりますし、ミスも防げます。
文面は丁寧な言い回しで統一し、読み手がすぐに振込手続きを行えるように配慮してください。以下の各項目で具体的な文例やレイアウト例を示します。
宛名と件名の文例
請求書の宛名と件名は相手が誰に向けられているか、何の請求かを一目で分かるようにします。件名は短く明確に書きます。
宛名は会社名や個人名の正式表記を使い、担当者名が分かれば「御中」や「様」を適切に使い分けます。件名例としては「請求書(イラスト制作分)」や「請求書:キャラクターデザイン代」などが分かりやすいです。
本文冒頭に「いつもお世話になっております。下記の通りご請求申し上げます。」と一行添えるだけで丁寧さが出ます。あとは請求書本体で金額や振込先を明示してください。
明細のレイアウト例
明細は表形式で項目ごとに分けると見やすく、以下のような構成が使いやすいです。
- 項目(例:キャラクターデザイン)
- 数量(例:1点)
- 単価(例:50,000)
- 金額(例:50,000)
複数工程がある場合は「ラフ作成」「清書」「色調整」など工程ごとに分け、各行に数量と単価を入れて合計を出します。合計行の下に消費税、源泉徴収、振込手数料の負担などを明記して最終の差引支払額を示してください。
振込先の記載例
振込先は誤入力を避けるため、金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・名義を順に記載します。名義は全角カタカナで書くと銀行での認識がしやすくなります。
例:
- 銀行名:○○銀行
- 支店名:△△支店
- 口座種別:普通預金
- 口座番号:1234567
- 口座名義:カ)イラストタロウ(またはイラストタロウ)
また、振込手数料の負担先を「振込手数料は依頼主負担」などと明記しておくと誤解が生じにくくなります。
源泉徴収の記載例
源泉徴収がある場合は金額を明確に表示し、差引支払額を提示します。請求書上での表記はシンプルにします。
例の流れ:
- 小計:100,000円
- 源泉徴収税額(10.21%):10,210円
- 差引支払額:89,790円
備考欄に「源泉徴収は支払者にて処理してください」などと追記すると、扱いについて双方の認識が一致します。税率について不明な点があれば事前に確認してください。
ダウンロード可能なテンプレート
テンプレートを用意しておけば毎回の作成が楽になります。PDFで配布するものやExcel/Googleスプレッドシート形式が使いやすいでしょう。テンプレートには以下を含めると便利です。
- ヘッダ(請求書、発行日、請求書番号)
- 発行者・請求先情報欄
- 明細表(項目・数量・単価・金額)
- 消費税・源泉徴収・差引支払額欄
- 振込先・備考欄
自分の取引に合わせて項目をカスタマイズできるようにしておくと運用が楽になります。
個人依頼でトラブルを防ぐ税と支払いの取り決め
税金や支払い条件は曖昧にすると後で争いになります。特に源泉徴収と消費税、手数料負担の取り決めは明確にしておきましょう。
支払者が法人の場合、源泉徴収の有無を事前に確認することが必要です。源泉徴収が発生する可能性がある報酬は請求額と差引支払額を明示しておきます。消費税の課税事業者かどうかで請求方法も変わるため、請求前に確認してください。
振込手数料やキャンセル規定も書面で取り決めておくと安心です。前金や分割払いの条件を決め、キャンセル時の返金方法や差額計算のルールを明記しておけばトラブルを避けられます。
最後に、領収書や請求書の保存は税務上の義務でもあります。相互にコピーを保管するルールを決めておくと、後で確認が必要になったときにスムーズです。
源泉徴収の対象報酬
源泉徴収の対象になる報酬は、業務の性質や契約形態で判断されます。イラストの制作報酬が該当するケースがあるため注意が必要です。
一般に、原稿料やデザイン料などは源泉徴収の対象になり得ます。依頼主が法人である場合、支払い時に所定の税率で源泉徴収を行い、支払額から差し引いて納付する義務が発生することがあります。金額や税率は税法の規定に従うため、疑問があれば支払者側の経理や税理士に確認してください。
請求書には源泉徴収額を明記し、差引支払額を表示しておくと相手も処理しやすくなります。
消費税の請求書での扱い
消費税の扱いは請求書で誤解が起きやすい点です。課税事業者かどうかで請求表記を変える必要があります。
課税事業者であれば「税抜金額 + 消費税額」を明示するか、「税込合計」を記載します。免税事業者であれば消費税を請求しない旨を明記すると誤解を避けられます。請求書には消費税率や税額を分かりやすく表示してください。
また、2023年以降の適格請求書等保存方式(インボイス制度)を意識する必要がある場合があります。取引相手が求める様式に対応できるか確認しておくとよいでしょう。
手数料負担の取り決め
振込手数料や決済手数料の負担先は事前に取り決めてください。負担者が曖昧だと支払金額の齟齬が生じます。
一般的には依頼主が振込手数料を負担するケースが多いですが、決済サービスを利用する場合は手数料が発生します。どちらが負担するかを請求書に明記し、相手に確認を取っておくとトラブルを回避できます。
また、海外送金が絡む場合は受取側で生じる手数料も考慮し、金額設定や負担ルールを調整してください。
前金や分割払いの条件
前金や分割払いはキャッシュフローを安定させるために有効ですが、条件を明確にしておく必要があります。
前金の割合(例:契約時30%)や支払い期限を請求書または契約書で明記します。分割払いの場合は回数と期日、各回の金額を示してください。キャンセルや納期遅延時の返金ルールや取り扱いも合わせて取り決めると安心です。
支払いが遅れた場合の遅延利息や契約解除の条件もあらかじめ決めておくと、万が一の際に対処しやすくなります。
領収書と帳簿の保存ルール
領収書や請求書は税務上の重要な証憑です。保存期間や保存形式を守って管理しましょう。
通常、税務署の規定により請求書類は7年間の保存が求められます。デジタル保存が認められる場合もありますが、フォーマットやバックアップについて規定に沿って対応してください。相手と双方で領収書の発行・保存ルールを確認しておくと後の確認が容易になります。
保存の際はファイル名に日付と請求書番号を入れるなどして検索しやすくしておくと便利です。
支払いを確実にする請求と回収の工夫
支払いを確実にするには、請求のタイミングやフローを工夫することが大切です。連絡方法や督促の手順を決めておくと安心感が増します。
定期的に請求スケジュールを組み、納品後すぐに請求する習慣をつけると回収が速くなります。前金を設定することで着手リスクを下げることも有効です。請求書送付後は受領確認を取り、期日が近づいたらリマインドを行うルールを決めておきましょう。
督促は段階を踏んで行うと関係性を維持しやすく、書面での催促を行う際は冷静で明確な文面を用意しておくと効果的です。未払いが続く場合の選択肢もあらかじめ考えておけば迅速に対応できます。
請求タイミングの目安
請求タイミングは案件の規模や合意内容で変わりますが、基本的な目安を示します。小〜中規模の案件では納品後7〜14日、法人相手なら月締めでの請求も一般的です。
長期案件や高額案件では、契約時に前金を取り、作業中に中間請求、納品後に最終請求という流れが安心です。短納期案件は納品後速やかに請求書を送ることで支払いスピードが上がります。
請求タイミングを統一しておくと収支管理もしやすくなります。
前金割合と設定例
前金割合は業務リスクや取引相手との信頼関係に応じて設定します。一般的な目安は以下のとおりです。
- 信頼できる常連:前金0〜20%
- 新規の個人依頼:前金30〜50%
- 大規模・長期案件:前金30%+中間支払い
前金は着手金として請求し、残金は納品後に請求する形が多いです。前金の受領を確認してから作業を開始するルールにすると未払いリスクを下げられます。
納品後の請求フロー
納品後は以下の流れで請求するとスムーズです。
- 納品物の確認依頼(受領確認を得る)
- 請求書をPDFで送付(明細・振込先を明記)
- 受領確認と支払期日の再確認
- 期日が近づいたらリマインド
- 期日経過後、督促を段階的に実施
受領確認を取ることで「納品したけれど未確認」の状態を防ぎます。メールでの履歴も残すと安心です。
督促の書面と文例
督促は段階を分けて行うと効果的です。まずは丁寧なリマインド、その後は期日超過の催促、最終的には法的手段を示唆する文面が考えられます。
初回リマインド例:
「いつもお世話になっております。先日送付した請求書のご確認をお願いいたします。お手数ですがお支払い予定日をご連絡ください。」
期日超過の催促例:
「先日ご請求した金額について、期日を過ぎておりますのでご確認のほどお願いいたします。お支払いが難しい場合はご連絡ください。」
文面は冷静で事実を中心に書くことがポイントです。感情的な表現は避けてください。
未払い時の対処オプション
未払いが続く場合の選択肢を事前に考えておくと対応が速くなります。まずは電話や書面での督促を続け、支払い計画を提示してもらう方法があります。
それでも進展がない場合は、内容証明郵便での督促や、弁護士や債権回収業者への相談を検討します。場合によっては業務の停止や契約解除を選ぶことも可能です。大きな金額や継続的な取引先の場合は、最初から契約書で未払い時の対応を決めておくとよいでしょう。
請求書で個人依頼を安心して進めるために
請求書は取引の安全性を高める重要なツールです。事前に項目や税・支払いの取り決めを明確にしておくことで、後のトラブルを大きく減らせます。
相手とのコミュニケーションを大切にし、請求書は見やすく丁寧に作ることを心がけてください。テンプレートや文例を用意しておくと毎回の作業が楽になりますし、保存や管理のルールを決めておけば税務処理も安心です。これらを取り入れて、個人依頼の取引を安心して進めてください。
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