映画の脚本を書きたいけれど、何から始めればよいか迷っていませんか。短時間で要点を押さえつつ、観客を引き込む物語を組み立てるための基本と手順をまとめました。プロット作り、人物設計、場面ごとの役割、表現のコツまで順序立てて学べます。まずは全体像をつかんでから、少しずつ肉付けしていきましょう。
映画の脚本の書き方を短時間でつかむ
映画脚本の全体像を短くつかむためには、核となる要素を押さえるのが近道です。バランスよく重要ポイントを理解すれば、初稿を短時間で仕上げられます。ここでは、作品の中核となる部分に絞って説明します。
一行あらすじ
一行あらすじは物語の心臓部です。主人公、行動、目的、障害の4つをできるだけ簡潔にまとめます。読む人がすぐに物語の核を理解できることを意識してください。業界では企画持ち込みや企画書の冒頭に使われますが、自分の方向性を定める場面でも役立ちます。
短い文にするため、余計な描写や詳細は省きます。感情表現よりも構造を優先し、誰が何を求めているか、何が阻むのかを示します。言葉が定まらない場合は、複数案を書いて比較するとよいでしょう。最終的に読んだ相手がストーリーを視覚化できる一行を目指してください。
中心人物の目標
中心人物の目標は物語を動かす原動力です。目標は明確で測れるものであると効果的です。達成すべき具体的なゴールが決まれば、行動や葛藤が自然に生まれます。
目標には外的なもの(例:宝物を奪還する)と内的なもの(例:自分を許す)があり、両方を絡ませると深みが出ます。目標が変化することも正しい展開の一部なので、最初は単純な目標から始め、プロットを進める中で広げていくとよいでしょう。
主要対立の設定
主要対立は物語の摩擦を作る部分です。主人公と直接ぶつかる相手だけでなく、環境や社会的制約、内面の葛藤も対立になり得ます。対立が明確だと、観客は感情移入しやすくなります。
対立の強さは段階的に高めていくのがポイントです。序盤の小さな障害から、中盤での大きな挫折、クライマックスでの決定的対決へとつなげます。対立の意図と限界をあらかじめ考えておくと、破綻のない展開になります。
観客の関心喚起
観客の関心を保つには、疑問や期待を生む要素を散りばめることが大切です。早い段階で問いを提示し、その答えを段階的に提示していく構成を意識してください。情感を揺さぶる場面と情報のバランスも重要です。
関心を途切れさせないために、場面ごとに小さな目的と緊張を設けます。適度なペースで新しい情報や感情的な揺れを与えると、観客は画面に集中し続けます。
脚本フォーマットの基本
脚本には読み手に分かりやすい標準フォーマットがあります。見出し(シーンヘッダー)、ト書き、セリフ、親指書きなどを正しく配置すると、読みやすさが格段に上がります。業界に提出する際はフォーマット厳守が前提です。
フォーマットは画面想像を助けるための道具と考えてください。簡潔なト書き、行間や字数の配慮、セリフのテンポを意識し、場面の流れが映像として想像できるように書きます。
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アイデアをプロットにつなげる手順
思いついたアイデアを実際の筋立てに落とし込むには段階的な作業が有効です。ここでは、着想の拾い上げから場面構成までを順に進める手順を紹介します。
着想の蓄積
良いアイデアは日常の中で生まれます。思いついた断片はメモや音声で残しておくと、後で整理しやすくなります。日常の観察や他作品の断片、ニュースなどを素材にすると幅が広がります。
蓄積する際は、タイトル案、場面のワンショット、キャラクターの台詞など、形は問わず集めます。定期的に見返して組み合わせることで、新しい展開や対立が見えてきます。散逸させないことが第一です。
ログライン作成
ログラインは作品の核心を短文で表す作業です。主人公、目的、対立、ユニークさを一文で伝えることを目指します。これがあるとプロットの軸がぶれにくくなります。
書いてみて曖昧なら修正を繰り返してください。人に話して反応を見るのも有効です。数パターン作ることで、自分の中で最も力強い描き方が見つかることがあります。
場面アイデア集
場面アイデアは物語を構成する素材です。印象的な瞬間、会話の切り口、移動や発見の場面などをリスト化しておきます。場面ごとに目的を書いておくと組み立てが楽になります。
アイデアを並べたら、重要度や時間軸で整理します。不要な場面は削り、機能する場面だけ残すと作品が引き締まります。場面の数は多すぎないように注意してください。
登場人物の核設定
登場人物には一人ひとりの核となる要素を与えます。背景、価値観、恐れ、欲求などを箇条書きでまとめると性格が立ちます。核があるほど、行動やセリフに説得力が出ます。
核設定は短い文でまとめ、必要なら一言で表すキャッチフレーズを付けます。こうすることで、書くときに迷いが減り、キャラクターが一貫して動きます。
話の骨組み案
骨組み案は起承転結を大まかに並べる工程です。重要な転換点だけを書き出し、場面アイデアと照らし合わせて配置します。全体の流れが見えると調整しやすくなります。
この段階では詳細を詰めすぎず、各部分の役割を明確にします。テンポやリズムを意識して、緊張が生まれる位置に大きな出来事を置いてください。
人物の魅力と対立で観客を引き込む
魅力的な人物と強い対立は観客を引き込む鍵です。行動原理が明確な人物と、それにぶつかる力を設計することで感情移入が促されます。
主人公の欠点と願望
主人公は欠点と願望を同時に持つことで人間らしさが出ます。欠点は行動の障害になり、願望は物語を動かす動機になります。この二つが衝突することで葛藤が生まれます。
欠点は変えられるものと変わりにくいものを混ぜると面白くなります。願望は外的な目標だけでなく、内面的な欲求も含めると深みが増します。書く際は両者を行為に結びつけてください。
敵対者の目的
敵対者には主人公と同等の動機を与えるとドラマが強くなります。単なる悪役ではなく、自分なりの正当性を持つと対立が立体的になります。対立の強さは目的の迫真性で決まります。
敵対者の弱点や事情も用意しておくと、葛藤の幅が広がります。対立の決着が双方にとって意味のあるものになるよう配慮してください。
サブキャラの配置
サブキャラは主人公や敵対者を照らし出す役割を担います。機能別に配置するとわかりやすいです。支援者、反発者、仲介者などの役割を考え、重複を避けてください。
短い登場でも印象を残すために、象徴的な一行設定や特有の口癖を与えるとよいです。サブキャラの動機も薄くしないでください。
関係性の地図化
関係性の地図を作ると、人物間の緊張や支援の流れが視覚化されます。線でつなぎ、感情や利害の方向を示すと整理しやすくなります。複雑な人間関係でも視覚化で理解が進みます。
地図は執筆中に何度も更新してください。場面ごとの関係変化を書き込むことで、ドラマの移り変わりが把握できます。
内的変化の線引き
物語を通じての内的変化は観客の満足感を左右します。変化するポイントを明確にし、どの出来事で価値観が揺らぐかを書き出します。変化は自然なステップを踏むことが重要です。
小さな気づきが積み重なり最終的な転換に至るように構成すると説得力が出ます。変化の前後で行動やセリフに違いを持たせることを忘れないでください。
構成と場面設計で緊張感を高める
緊張感は構成と場面設計で作られます。起伏を持たせた配置と、各場面の明確な目的があれば観客は没入しやすくなります。
三幕構成の転換点
三幕構成の基本は、幕ごとに重要な転換点を置くことです。第一幕で状況と目標が提示され、第二幕で障害が深まり、第三幕で決着がつきます。転換点は物語の舵を大きく変える瞬間です。
それぞれの転換点で主人公の選択や損失を明示すると、ドラマ性が増します。適切な位置に配置するために、全体の時間配分も考慮してください。
シーン毎の目的
各シーンには必ず目的を持たせます。情報提供、感情の変化、関係性の進展など、目的がはっきりしていると無駄な場面が減ります。シーンの冒頭で目的を意識して書き始めてください。
目的に沿って必要な情報だけを出すことで、テンポが良くなります。不要な説明は削り、行動で示す表現を優先しましょう。
フックの配置
フックは観客の興味を引く要素です。序盤の導入だけでなく、場面の切れ目ごとに小さなフックを置くと次を見たくなります。視覚的な驚きや情報の小出しが有効です。
フックは物語の核心に直結していると効果が高まります。ランダムな刺激ではなく、全体に意味を持たせるようにしてください。
伏線と回収の設計
伏線は物語の満足度を高める要素です。早い段階で小さな種を撒き、最後に回収して驚きや納得感を与えます。伏線は無意味に散らさず、回収の方法を計画しておきます。
回収は唐突にならないよう、いくつかの段階を踏んで見せると自然です。回収の際には感情的な解放を伴うと観客の印象が強く残ります。
テンポの調整指標
テンポは場面の長さと情報量で調整します。緊迫した場面は短いカットや会話、余韻を残す場面は長めの描写で変化を付けます。全体のリズムを意識して編集前提で設計すると良い結果が出ます。
テンポの評価は声に出して読んでみると分かりやすいです。長すぎる説明や停滞はすぐ見つかるので、削るか役割を変えて調整してください。
書式と表現で読み手に画面を想像させる
脚本は読むだけで映像が浮かぶことが理想です。書式と表現の工夫で、読み手に画面を簡単に想像させられます。
柱の表記
シーンヘッダー(柱)は場所・時間・内外を簡潔に示します。短く明確にすることで、読み手が場面転換を把握しやすくなります。冗長な説明は避け、必要な情報だけを残してください。
一つの脚本で表記ルールを統一することが大切です。外部・内部の切り替えや日夜の表記は一貫性を持たせて読みやすくしてください。
ト書きの分量
ト書きは映像を想像させるための説明ですが、長すぎると読むテンポを損ないます。行動や視覚的要素を短く具体的に記すことで、映像化が想像しやすくなります。
不要な心理描写は控え、動作で示せない場合のみ短く補足します。読み手が映像を頭の中で組み立てられるような書き方を心がけてください。
セリフのリズム
セリフはキャラクターの性格や感情を表す重要な手段です。短い行でリズムを作り、相手との掛け合いでテンポを生み出します。長台詞は注意して使ってください。
方言や癖は過度に使うと読みにくくなるので節度を持って用います。セリフで情報を詰め込みすぎないよう、他の手段と組み合わせてください。
視覚的描写法
視覚的描写は具体的でシンプルに書くと効果的です。色、動き、表情など、画面に残る要素を優先して短く示します。抽象的な比喩は避け、即座に映像に落とせる表現を選んでください。
視覚的な要素はテーマやムードと結びつけると一貫性が出ます。繰り返し使うモチーフは伏線や象徴として働きます。
場面転換の合図
場面転換は読み手と編集者のために明確に示します。シンプルなシーンヘッダーと必要ならトランジション語を使って、切り替わりをわかりやすくしてください。曖昧な転換は混乱を招きます。
編集上の意図が強い場合は短い補足を入れておくと親切です。ただし、やりすぎは映像化時の自由度を奪うため注意してください。
映画脚本を書く前の確認リスト
脚本執筆前にチェックする項目をリスト化しました。これを確認すると、書き始める際の迷いが減り、効率よく進められます。
- ログラインが一文でまとまっているか
- 主人公の外的・内的目標が明確か
- 主要対立と敵対者の目的が設定されているか
- 三幕の大まかな転換点を決めているか
- 重要な場面アイデアがリスト化されているか
- サブキャラの機能が被っていないか
- 伏線と回収の位置を仮決めしているか
- シーンごとの目的を書き出しているか
- フォーマットの基本ルールを守る準備ができているか
このチェックリストを元に準備を整えれば、執筆に集中しやすくなります。必要に応じてリストを自分仕様に調整してお使いください。
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