キャラクターの顔を描いた際、どこか平面的で物足りなさを感じたことはありませんか。その原因の多くは「影」の付け方にあります。顔の影は、単に色を暗くする作業ではなく、顔の凹凸を光によって表現する大切なステップです。光源の位置を一つに決めるだけで、キャラクターに確かな存在感と立体感が宿ります。初心者の方でもすぐに実践できる、顔の影を魅力的に見せるための基本とコツを詳しく解説します。
顔の影のイラストは光源を固定すると立体感が一気に出る
顔の影を美しく描くための鉄則は、光がどこから当たっているかという「光源」を明確にすることです。光源があちこちにあると、顔のどの部分が盛り上がり、どこが沈んでいるのかが分かりにくくなり、立体感が損なわれてしまいます。まずは「右上から光が来ている」といった具合に光源を固定しましょう。それだけで、影を落とすべき場所が自動的に決まり、イラストの説得力が劇的に向上します。
光の方向で影の形が決まる
影を描くとき、まず意識すべきなのは光の方向です。光は直進するため、顔のパーツという「障害物」に当たると、その反対側に影が生まれます。例えば、光が正面から当たれば影は少なくなりますが、斜め横から当たれば鼻や頬のラインが強調される深い影ができます。このように、光の角度によって影の面積や形が変化することを理解するのが第一歩です。
光が当たらない裏側の部分を「陰(シェード)」、パーツの形が別の場所に映り込むものを「影(キャストシャドウ)」と呼びますが、最初は難しく考えず「光の反対側を暗くする」と捉えてみましょう。光源の位置を頭の中でイメージしながら、鼻の高さや顎のラインをなぞるように影を置いていくと、平面だった顔のイラストに奥行きが生まれます。
影は線ではなく面で作る
初心者のうちは、影を細い線で描きがちですが、影は本来「面」として捉えるものです。顔は球体や円柱、箱などの複雑な図形の組み合わせでできています。そのため、光が当たっている面と当たっていない面の境目をしっかり意識して、面全体を塗りつぶすように影を配置すると、より立体的に見えます。
特に頬や額など、広い面積を持つ場所は、面の切り替わりを意識して影を置くと効果的です。線で影を表現しようとすると、しわや汚れのように見えてしまうことがありますが、面で大きく影を捉えることで、肌のなめらかな質感と骨格の硬さを同時に表現できるようになります。影を「図形」として描く意識を持つことが、プロのような仕上がりに近づくコツです。
明暗の境目を整理すると整う
顔のイラストが濁って見える原因の一つに、影の境界線がぼやけすぎていることが挙げられます。影には、はっきりとした境界(硬い影)と、なだらかに変化する境界(柔らかい影)の二種類があります。鼻の形などはっきりとした凹凸から生まれる影は境界をシャープにし、頬のふくらみなどはぼかすといった使い分けが重要です。
特に、光が当たっている場所と影になっている場所の境目(明暗境界線)をきれいに整理してあげると、イラストがぐっと見やすくなります。すべての影をぼかしてしまうと立体感が弱くなるため、どこをくっきりさせ、どこをなめらかにするかを選択しましょう。このメリハリをつけることで、キャラクターの顔立ちがシャープになり、洗練された印象を与えます。
反射光を入れると自然になる
よりクオリティの高い影を描くために欠かせないのが「反射光」です。現実世界では、光は地面や壁に当たって跳ね返り、影の中にもわずかに光を届けます。影の端っこに、メインの光よりも少しだけ明るい色を細く入れてみましょう。これだけで、影が真っ暗に沈み込むのを防ぎ、空気感のある自然な描写になります。
反射光を入れる場所は、主に顎の下や顔の輪郭の際などです。このわずかな光の筋があることで、顔と背景の間に空間があることが表現され、キャラクターが背景から浮き出るような立体感が強調されます。デジタルイラストであれば、少しだけ彩度の高い色を反射光として使うと、肌に透明感が出てより魅力的な仕上がりになります。
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顔の影イラストが上達するおすすめ教材と道具
顔の影をマスターするには、良質な資料を見て構造を理解することと、それを再現しやすい道具を使うことが近道です。ここでは、光の仕組みを学ぶための本から、練習に役立つ画材まで、厳選したアイテムを紹介します。
| カテゴリ | 商品・サービス名 | 特徴 | 公式リンク |
|---|---|---|---|
| 入門書 | カラー&ライト | 光の性質と色の関係を理論的に学べるバイブル | ボーンデジタル |
| デッサン | ルーミス 易しい人物画 | 顔の構造と影の基本が学べる不朽の名作 | グラフィック社 |
| スケッチ | マルマン クロッキー帳 | 大量に影のパターンを練習するのに最適 | マルマン |
| デジタル | CLIP STUDIO PAINT | 3Dデッサン人形を光源で照らして確認できる | 公式サイト |
| 写真資料 | 人物写真ポーズ集 | 様々なライティング下での顔の陰影が分かる | Amazon(例) |
光と影の描き方が学べる本
理論からしっかり学びたい方には、光の物理的な性質を解説した専門書がおすすめです。光が物体に当たるとどのように拡散し、影の中にどのような色が混ざるのかを知ることで、感覚に頼らない正確な着彩ができるようになります。特に背景と馴染ませる影の描き方は、こうした知識があると飛躍的に上達します。
頭部の立体が分かる人体デッサン本
影を正しく置くためには、顔の土台である「骨格」を理解することが欠かせません。名著と呼ばれるデッサン本では、顔を簡略化したパーツ(面)として捉える方法が詳しく載っています。「なぜここに影ができるのか」という疑問が、骨格の形を理解することで解決し、どんな角度の顔でも迷わずに影を描き込めるようになります。
顔の写真資料集やポーズ集
最も信頼できるお手本は、現実の写真です。特に、ライティングを工夫して撮影された人物写真集は、影の形を観察するのに最高の教材になります。アニメ調のイラストを描く場合でも、一度リアルな写真を見て影の落ち方を模写することで、説得力のあるディフォルメができるようになります。
グレースケール練習ができるスケッチブック
色に惑わされず、影の「濃淡(明度)」だけを練習する時間を作りましょう。中目のスケッチブックに鉛筆やグレーのマーカーを使って、白・黒・グレーの三段階だけで顔の影を表現する練習は、形を捉える力を養うのに非常に効果的です。紙の質が良いものを選ぶと、グラデーションの表現もスムーズに行えます。
練り消しと消しゴム
影を描きすぎて画面が重くなったとき、練り消しは「光を描く道具」として活躍します。トントンと叩くようにして影を薄くしたり、鼻筋に鋭いハイライトを入れたりすることで、立体感を微調整できます。思い切って影を塗った後、練り消しで明るい面を作っていく手法は、デッサンの基本であり、イラストでも応用できる強力なテクニックです。
デジタルならブラシとレイヤー練習素材
デジタル環境で描くなら、厚塗り用ブラシやエアブラシの使い分けを練習しましょう。また、CLIP STUDIO PAINTなどのソフトにある3Dデッサン人形機能を使えば、光源を自由な位置に配置して、リアルタイムで影の落ち方を確認できます。自分で資料を作るのが難しい場合、こうしたデジタルツールを「光源シミュレーター」として活用するのが非常に効率的です。
よく使う顔の影パターンと失敗しない描き方
顔の影には、よく使われる「王道」のパターンがいくつかあります。これらを覚えておくだけで、どんなシーンでもキャラクターに命を吹き込むことができます。状況に合わせた影の付け方と、自然に見せるためのポイントを整理しました。
斜め上光は鼻下と頬に影が落ちる
イラストで最も一般的で、かつキャラクターが一番きれいに見えるのが「斜め上からの光」です。この場合、鼻の下に小さな三角形の影ができ、光と反対側の頬から顎にかけて大きな影が落ちます。また、眉の下(眼窩)にも薄い影ができるため、目力が強調されて表情が引き締まります。
このパターンで失敗しないコツは、鼻の下の影をあまり大きくしすぎないことです。影が鼻の幅を超えて広がってしまうと、鼻が低く見えたり、顔が汚れて見えたりすることがあります。あくまでも鼻の形を補完するようなシャープな影を意識しましょう。頬の影も、顔の丸みに沿ってなだらかにカーブさせると、健康的な立体感が生まれます。
横光は顔の中心で明暗が分かれる
顔の真横から光が当たるパターンは、ドラマチックでクールな印象を与えたいときに有効です。顔の半分が明るく、もう半分が暗くなるため、鼻筋が中心線となって明暗がはっきりと分かれます。この際、暗い側の目にもわずかに光(キャッチライト)を残してあげると、キャラクターの意志が感じられる魅力的な絵になります。
横光を描くときは、影側の耳や首との繋がりにも注目しましょう。顔の影が首に大きく落ちるため、その形を丁寧に描くことで、顔が前に出ている感覚がより強まります。単純に半分を黒く塗るのではなく、影の中にもわずかな起伏(反射光など)を感じさせる描写を加えると、平面的にならずに済みます。
下から光は印象が強く変わる
焚き火やスマホの画面、あるいは恐怖シーンの演出などで使われるのが「下からの光(フットライト)」です。通常とは影の位置が逆転し、鼻の上や眉の上に影ができ、顎の下や頬の下が明るくなります。このライティングは日常ではあまり見かけないため、非常に強いインパクトを読者に与えることができます。
下からの光を描く際の注意点は、顔が歪んで見えやすいことです。普段見慣れない影の付き方をするため、構造を理解していないと不気味さが勝ってしまいます。解剖学的な資料を見ながら、どの骨が出っ張っているからここに影ができる、という裏付けを持って描くことが重要です。上手く使いこなせば、キャラクターの二面性や神秘性を表現する素晴らしい武器になります。
髪の影は額と頬に落ちやすい
顔の影を考える上で忘れてはならないのが、髪の毛による「落ち影」です。髪が顔に落とす影は、顔全体の立体感を強調するのに役立ちます。額に落ちる前髪の影や、頬にかかる横髪の影を、髪の毛の束の形を意識して描いてみましょう。この際、影の色を肌の色よりも少し濃く、かつ少し彩度を上げた色にすると、肌の透明感が増して見えます。
[Image showing cast shadows from hair onto the forehead and cheeks]
髪の影を顔の輪郭に沿って描くことで、髪が顔よりも「手前」にあることが強調され、イラストに多重構造の奥行きが生まれます。影の形をあまり複雑にしすぎず、大きな束のまとまりとして捉えて描くのが、すっきりとした魅力的なイラストに仕上げるコツです。
顔の影イラストを自然に見せる要点まとめ
顔の影イラストを自然に、そして魅力的に見せるためには、まず「光源を固定する」という土台作りから始めましょう。光の方向を意識し、影を「面」として捉え、明暗の境界にメリハリをつける。そして最後に反射光を添えることで、あなたの描くキャラクターは画面の中で生き生きと動き出します。
最初は資料を見ながらの練習になりますが、繰り返すうちに自分の中に「影のパターン」が蓄積されていきます。おすすめした本や道具を活用して、楽しみながら光と影の魔法を使いこなせるようになってください。影をマスターすれば、あなたのイラストの完成度はこれまでとは比べ物にならないほど高まるはずです。
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ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。

