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ドラマの脚本を書き始める全手順|物語の核からページ指定まで

脚本を書くときは、全体像と細部の両方を意識すると安定して伝わる作品になります。まずは物語の核や主人公の設定、対立の軸など基本を固め、その上で場面ごとの目的やテンポ、台詞のリズムを調整していくと読み手を引き込めます。書式やト書きなど業界ルールも押さえておくと制作現場で動きやすくなります。以下では、段階を追って実際に使いやすいポイントをまとめます。

目次

まず押さえるドラマにおける脚本の書き方のポイント

物語全体の方向性を決める基礎を最初に固めることで、ぶれのない脚本になります。核となるテーマや主人公の目的、対立の構図を明確にし、序盤で読者を引き込む仕掛けを用意することが重要です。ここでは、そのために押さえておきたい要素を整理します。

物語の核

物語の核は、その作品が伝えたい中心的な問いや感情です。短く言葉にしておくことで、シーンや台詞の取捨選択がしやすくなります。例えば「許しとは何か」「自分の居場所を見つける」など、普遍的かつ具体性のあるテーマが望ましいです。

核を決めたら、それが各エピソードや登場人物の行動にどう反映されるかを考えます。場面ごとの目的を核に結びつけると、物語の一貫性が高まります。また、核が曖昧だと登場人物の動機や対立が弱くなるので、初期段階で言語化しておくことをおすすめします。

意図的に多義性を残す場合でも、最低限の軸は必要です。制作チームや演者と共有できるように、短い説明(1〜2文)で核をまとめておくと現場がスムーズになります。

主人公の一行紹介

主人公の特徴を一行でまとめると、企画段階でのブレを防げます。仕事・年齢・性格の一端・抱えている問題などを含め、端的に書いてください。例:「34歳のシングルマザーで、壊れかけたパン屋を再生しようとする」。

一行紹介はシノプシスや企画書、現場共有資料にも使えます。さらに、その一行から生まれる矛盾や葛藤を探すと物語が動きやすくなります。一行で表現しづらい場合は、箇条書きで要点を補足しても構いません。

紹介文は固定しすぎず、脚本が進むにつれて調整しても問題ありません。ただし、変更したら関係者に早めに伝えて整合性を保つことが重要です。

対立の軸

対立は物語の原動力です。人物同士の対立、価値観の対立、欲望と制約の対立など、どの軸で物語を動かすかを決めてください。対立が明確だと、場面ごとの緊張感が生まれます。

対立は単なる敵対関係だけでなく、主人公内面の葛藤や環境との摩擦でもかまいません。対立の強さを変えることでテンポや緊張の波を作れます。対立の源泉を把握して、それが進行するにつれてどう変化するかを設計しましょう。

対立を示す短い象徴的な場面を序盤に置くと、視聴者は何を注目すべきかをすぐ理解できます。以降のエピソードはその軸に沿って積み重ねていくと安定します。

序盤のフック

序盤のフックは視聴者の興味を引く導入部分です。必ずしも派手な出来事である必要はなく、登場人物の強い願望や不可解な状況を提示するだけでも効果があります。重要なのは「続きを見たい」と思わせることです。

フックはビジュアル、台詞、行動のいずれかで示せます。シーンの最初の数ページで問いを投げるか、感情を揺さぶる場面を置くとよいでしょう。フックは序盤全体にわたって繰り返し補強し、視聴者の期待を裏切らない展開を用意します。

フックを設定したら、それに対する小さな解答や新たな疑問を段階的に提示していくと、自然に物語が進みます。序盤だけで謎を出しすぎず、回収のペースも意識してください。

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読み手を引き込む構成と場面の組立て

物語の流れを意識して場面を組み立てると、視聴者の関心を持続できます。場面ごとの目的や三幕構成、テンポ配分、重要な山場の配置を考えながら書くと自然にドラマが盛り上がります。以下でそれぞれのポイントを解説します。

三幕構成

三幕構成は序盤(起)、中盤(承)、終盤(結)に分ける方法です。起では登場人物と状況を示し、承で対立や葛藤を深め、結で解決に向かわせます。この流れを意識すると、物語の起伏が明確になります。

各幕の役割を短く決めておくと執筆が楽になります。起では主人公の目標を示し、最初の転換点で状況が大きく動くようにします。承では障害が連続して高まり、クライマックスにつながる緊張を作ります。結では対立の決着と感情の整理を行います。

ただし、必ずしも厳格に分ける必要はありません。作品の長さやジャンルに合わせて調整してください。重要なのは、物語がだらだらと展開せず、節目で新たな期待を生み続けることです。

場面ごとの目的

各場面には必ず目的を持たせてください。目的があると、無駄な描写が減り、観客の注意を集めやすくなります。目的は情報提示、感情変化、関係の進展などに分類できます。

場面の冒頭で状況を掴ませ、終盤で変化や問いを残す形にすると次の場面へのつながりが自然になります。目的を箇条書きで書き出しておくと、現場で演出や撮影の判断もしやすくなります。

目的が複数ある場合は優先順位を決め、一つの場面で達成する主目的をぶれないようにしましょう。主目的が達成される過程で副次的な情報を添える形が読みやすいです。

場面間のテンポ調整

場面同士のつながりでテンポは決まります。短く鋭い場面を連続させると速い展開になり、長めに描くとゆったりした印象になります。物語の緩急を意識して場面長を調整しましょう。

切り替えのタイミングでは感情の余韻を残すか、即座に次の刺激を与えるかで印象が変わります。緊張が高まる場面の後は短い息抜きの場面を入れると、緊張感がより引き立ちます。

編集や演出を想定して場面を設計すると、映像化した際にテンポが崩れにくくなります。脚本段階でカットのイメージを持つことが大切です。

山場の配置法

山場は物語の盛り上がりを作る重要な箇所です。適切な間隔で山場を配置すると、観客の興味を持続できます。大きな山場はクライマックスに向けて徐々に積み上げるのが効果的です。

小さな山場を各幕に均等に置くと、ダレにくい構成になります。各山場で主人公の選択や真実の露呈を絡めると、物語の重みが増します。山場は視覚的な出来事や重大な告白など、感情に直結する要素で構成してください。

山場の前には必ず準備や伏線を入れておくと、観客が納得しやすくなります。準備無しの盛り上がりは唐突に感じられるので注意しましょう。

回想や時間操作の配置

回想や時間操作は情報の提示に便利ですが、多用すると混乱を招きます。使う際は視覚的・音響的な切り替えを明確にし、目的をはっきりさせてください。過去の真相を明かすことで現在の行動に重みが出る場面に限定すると効果的です。

時間操作は物語のペースを変える手段でもあります。回想を使うタイミングは、観客の疑問が高まった瞬間や感情的な解像度を上げたい場面を選ぶとよいでしょう。過去と現在の対応関係を整理して、誤解のない演出を心がけてください。

業界で通用する脚本の書式と見せ方

業界で受け入れられるフォーマットを守ることで、読み手に誤解を与えずプロとしての印象を与えます。用紙のサイズやマージン、柱書き、ト書き、セリフの扱いなど、基本的なルールを押さえておきましょう。ここでは現場で役立つ書式のポイントを紹介します。

用紙とフォーマット

標準的にはA4用紙、片面印刷で書くことが多いです。行間やマージンは業界の慣習に従い、1ページ=1分程度の目安でページ配分を考えます。読みやすさを優先し、過度な装飾は避けてください。

フォントやサイズも一定にし、視認性を確保します。電子提出の場合はPDFで固定したレイアウトにしておくと、書式崩れを防げます。文字数で調整するよりも、ページ配分と場面の流れを意識して整理することが大切です。

柱書きの表記

柱書き(シーンヘッダー)は、屋内外・昼夜・場所名を簡潔に示します。例:「INT. パン屋 – DAY」のように、英語表記の慣習に従うと現場で受け入れられやすいです。場所名は短く、必要な情報だけを記載してください。

柱書きは場面切替の指示でもあるため、過度な説明は不要です。撮影上の詳細な指示は演出や絵コンテに任せ、脚本では物語の必要情報に絞ることをおすすめします。

ト書きの書き分け

ト書きは動きや状況の説明に使いますが、映像で表現できることは簡潔に書きます。過剰な演出指示やカット割りの指定は避け、俳優や演出家が解釈しやすい表現を心がけてください。

動作は短い文で区切り、重要なものだけを強調します。長い説明は読み手の集中を削ぐため、段落を分けるか箇条書きで要点を整理すると良いです。

セリフの改行規則

セリフは一人一ブロックでまとめ、長くなりすぎる場合は適度に改行して読みやすくします。台詞中の括弧書きは発話のトーンや小さな動作に限定して使い、過度な演出指示は避けます。

間や沈黙を表現したいときは短い注記で示し、あとは演者の表現に任せるのが一般的です。読みやすさを最優先にして改行や段落を工夫してください。

タイトルページの書式

タイトルページには作品名、著者名、連絡先、版数や日付などを明記します。企画書や応募用に特別なフォーマットが求められる場合は、それに従ってください。表紙は簡潔でプロフェッショナルな印象を与えることが重要です。

複数人で制作する場合は著作権表示やクレジットの基本を書いておくと、後のトラブルを避けやすくなります。

ページ番号の付け方

ページ番号は右上か下部中央に入れるのが一般的です。タイトルページには番号を付けないことが多く、本文は1ページ目から連番にします。版が変わったら日付や版数を更新し、関係者に周知してください。

ページ番号があると読み手が参照しやすく、演出や編集の指示も伝わりやすくなります。常に最新版を配布する運用を確立しておくと便利です。

人物と台詞で感情を伝える技術

感情の伝わる脚本は、人物設定と台詞の設計が鍵です。キャラクターシートで性格や声の特徴を整理し、動機や葛藤を台詞や行動で示すことで感情が伝わります。ここでは人物描写と台詞表現の工夫を紹介します。

キャラクターシート

キャラクターシートには年齢、職業、癖、口調、弱点、望みなどを簡潔にまとめます。プロフィールを視覚化すると、台詞や行動の一貫性が保ちやすくなります。演者にも共有しやすい形が望ましいです。

シートは長文にせず箇条書きで要点を並べると読みやすく、制作段階での参照がしやすくなります。重要なのは、その人物が物語内で誰とどう関わるかを明確にしておくことです。

動機と葛藤の描写

登場人物の行動には必ず理由があるべきです。外的な目的と内的な欲求を分けて整理すると、行動が説得力をもって描けます。葛藤は行動を動かす力になるので、場面ごとに何を選べるかを示してください。

葛藤は台詞や沈黙、行動の選択によって表現できます。小さな選択の積み重ねが人物像を立体的に見せるので、些細な場面にも意識を向けると良いでしょう。

サブキャラの役割

サブキャラは主人公を映し出す鏡であり、対立や補完を生む存在です。単なる情報提供役にせず、各々に簡単な目的や矛盾を与えると物語が深まります。役割をはっきり分けておくと場面設計が楽になります。

サブキャラの個性を端的な行動で示すと、台詞量が少なくても印象に残ります。主役との関係性を動かすきっかけを用意すると、物語に変化が出ます。

声質の差別化

台詞だけで人物を判別できるよう、語彙や口調、テンポを変えてください。年齢や職業、育ちの違いを反映させると効果的です。ただし極端なステレオタイプには頼らず、自然な差をつけることが大切です。

台詞に独自の語句や癖をひとつだけ入れるだけでも、俳優や視聴者にとってキャラクターの識別がしやすくなります。台詞の長さやリズムも差別化の手段になります。

間の使い方

間(ポーズ)は感情を深める重要な要素です。説明的な台詞の合間に短い沈黙を置くと、空気が変わり言葉の重みが増します。間の長さはページには短い注記で示し、演者の解釈を尊重する程度に留めてください。

間は視覚的演出と合わせるとより強く効果を発揮します。過度に指示せず、場面の目的に応じて適切に位置づけることが重要です。

台詞のリズム設計

台詞のリズムを設計すると、会話シーンのテンポが生きます。短い断片的な台詞を連ねれば緊迫感が出て、長めのモノローグは感情の整理に役立ちます。場面の目的に合わせてリズムを変えてください。

リズムの変化は場面転換や感情の切り替えを明確にします。脚本段階で読み上げて耳に馴染ませると不自然な箇所に気づきやすくなります。

まずは短い柱書きで一話を形にする

最初から完璧な脚本を目指すより、短い柱書きで一話分の流れを作るのが近道です。場面を箇条書きにして目的と主要な出来事を並べ、登場人物の動機を簡単に書き出してください。これが後の詳細化の土台になります。

柱書きは1ページ程度でも構いません。場面ごとの主要アクションと転換点を明記し、どこで視聴者の関心を引き続けるかを意識してください。書き上げたら声に出して読んでみて、テンポや問いかけが自然か確認すると良いでしょう。

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ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。

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この記事を書いた人

漫画やアートで「これってどうしてこんなに心を動かされるんだろう?」と考えるのが好きです。色の選び方や構図、ストーリーの展開に隠れた工夫など気づいたことをまとめています。読む人にも描く人にも、「あ、なるほど」と思ってもらえるような視点を、言葉で届けていきたいと思っています。

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