デッサンで思うような線が描けない時、その原因は技術不足ではなく「鉛筆の削り方」にあるかもしれません。芯がすぐに折れたり、木の部分がガタガタになったりすると、描く意欲も削がれてしまいます。本記事では、デッサンに最適な芯先を作るための考え方や、おすすめの道具、そして削りの不調を解決するための具体的な方法について分かりやすくお伝えします。
デッサン鉛筆削りがダメだと感じる原因は芯先の形と削りムラにある
デッサン用の鉛筆削りで「うまく削れない」と感じる場合、その多くは芯の露出度や削り角度に原因があります。一般的な事務用の鉛筆削りは、芯を短く鋭く削るように設計されていますが、デッサンでは広い面を塗ったり細い線を引いたりするために、芯を長く出す必要があります。この理想の形と道具の性能が噛み合っていないと、描き心地が悪くなるだけでなく、鉛筆そのものを傷めてしまうことにつながります。
芯がすぐ折れるのは先が細すぎる
せっかく削った鉛筆の芯が、描き始めた瞬間にポキッと折れてしまうのは非常にストレスが溜まるものです。この主な原因は、芯を長く出しすぎた上で、先端を極端に細くしすぎていることにあります。デッサンでは芯を1cm以上露出させることが多いですが、先端を針のように細く削りすぎると、描画時の筆圧に耐えられなくなります。
また、鉛筆削りの内部で芯に無理な力がかかっていることも考えられます。安価なシャープナーや刃が摩耗した道具を使うと、木を削る際の抵抗が芯に伝わり、目に見えないひび割れが芯の内部で発生します。これが原因で、削り上がった直後は無事に見えても、紙に触れた瞬間に折れてしまう現象が起こります。これを防ぐには、芯の「太さ」をある程度残しながら、徐々に円錐形に整える意識が大切です。道具選びにおいても、芯にストレスを与えない切れ味の良いものを選ぶことが、折れにくい強い芯先を作る第一歩となります。
先が短いのは削り角度が寝ている
デッサンにおいて「芯先が短い」というのは、描画の自由度を大きく制限してしまいます。事務用の鉛筆削りの多くは、削り角度が約20度から25度程度に設定されており、これはノートを取るなどの筆記には適していますが、デッサンには不向きです。角度が寝ている(鈍角である)と、木の部分がすぐに紙に当たってしまい、鉛筆を寝かせて描く「ハッチング」や「ガーゼでの擦り」がうまく行えません。
デッサンで理想とされるのは、芯が10mmから15mmほど露出した、鋭角な削り方です。手動の鉛筆削りであっても、デッサン用として販売されているものは、この「ロングポイント(長削り)」ができるように設計されています。もし手持ちの道具で芯が短くしか削れないのであれば、それは道具の設計限界かもしれません。角度を調整できるタイプのシャープナーを導入するか、カッターナイフによる手削りを併用することで、描画に必要な十分な長さの芯を確保できるようになります。
木が割れるのは刃の欠けや詰まり
鉛筆を削っている最中に木の部分がささくれたり、割れたりしてしまう場合は、鉛筆削りの「刃」に問題があります。鉛筆の木材(多くはシダー材)は非常に繊細で、刃の切れ味が落ちていると、切るのではなく「引きちぎる」ような力がかかってしまいます。特に、色鉛筆や硬度の高いH系の鉛筆を削った後は、刃に削りカスや芯の粉が詰まりやすく、それが原因で切れ味が急激に悪化することがあります。
刃を固定しているネジが緩んでいる場合も、刃がガタついて木の表面を均一に削ることができなくなります。そのまま無理に削り続けると、鉛筆の軸自体にヒビが入ることもあり、非常に危険です。定期的に刃の隙間に詰まったゴミをブラシや爪楊枝で取り除き、切れ味が戻らない場合は潔く刃を交換するか、新しいシャープナーに買い替えることを検討してください。綺麗な削り跡は、安定した保持力とスムーズな筆運びを支える重要な要素です。
線が汚れるのは削り粉と手の油
デッサンにおいて、画面が意図せず黒ずんでしまうトラブルも、鉛筆削りと無関係ではありません。削った直後の鉛筆の芯には、目に見えないほど微細な「削り粉」が付着しています。この粉を落とさずに描き始めると、粉が紙の上で転がり、意図しない場所を汚してしまいます。また、シャープナーの内部が汚れていると、鉛筆の木軸の部分に黒い汚れがつき、それを握った手を通じて画面に油分や汚れが移ってしまうこともあります。
削り上がった鉛筆は、必ずティッシュや柔らかな布で軽く拭き、余分な粉を落とす習慣をつけましょう。また、削り器自体も定期的に内部を掃除し、汚れが鉛筆に付着しないように保つことが大切です。清潔な道具で削られた鉛筆は、描画中も手が汚れにくく、デッサン特有の美しいグレーのトーンを濁らせることなく表現することを可能にしてくれます。
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デッサン鉛筆削りのおすすめで描き心地を整える
デッサンに最適な芯先を安定して作るためには、専用の設計が施された道具を選ぶのが近道です。ここでは、多くのアーティストに愛用されているロングポイント対応のシャープナーや、精密な調整が可能なモデルを紹介します。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|
| KUM オートマチックロングポイント AS2M | 木と芯を2段階で削る、超ロングポイントの定番 | KUM公式サイト |
| M+R POLLUX 真鍮シャープナー | 芯が凹状に削れる特殊刃。折れにくく鋭い先を作る | M+R公式サイト |
| カール事務器 Angel-5 手動鉛筆削り | 堅牢な金属製ボディで、芯が折れにくい安定した削り心地 | カール事務器公式サイト |
| クツワ STAD トガール | 5段階の角度調整が可能。用途に合わせて長さを変えられる | クツワ公式サイト |
| ステッドラー マルス ミニテクニコ 502 | 芯ホルダー用の研磨器。デッサンの細部仕上げに最適 | ステッドラー公式サイト |
KUM オートマチックロングポイント AS2M
ドイツの老舗メーカーKUM(クム)のAS2Mは、デッサン愛好家の間で非常に高い評価を得ている2穴式のシャープナーです。まず「1」の穴で木の部分だけを削り、次に「2」の穴で芯だけを削るという2段階の工程を踏むことで、手削りに近い驚異的なロングポイントを実現します。ストッパー機能がついているため、削りすぎを防げるのも嬉しいポイントです。
KUM 400-5L ロングポイント(1穴)
同じくKUM製の1穴タイプです。AS2Mよりもコンパクトで持ち運びに便利でありながら、通常のシャープナーよりも鋭角に削ることができます。シンプルながらも刃の精度が高く、屋外でのスケッチや移動中の制作において、常にデッサンに適した長い芯を維持したい方に最適です。
M+R POLLUX 真鍮シャープナー
M+R(メビウス&ルパート)の「ポルックス」は、真鍮製の重量感あふれる逸品です。このシャープナーの最大の特徴は、芯がわずかに「凹状」に削れる独特の刃の形状にあります。これにより、芯の先端を非常に鋭く保ちながらも、根元には十分な厚みを持たせることができ、折れにくさと鋭さを完璧に両立させています。
カール事務器 Angel-5 手動鉛筆削り
据え置き型で圧倒的な信頼を誇るのがカール事務器の「エンゼル5」です。心臓部である削り刃に特殊鋼を採用しており、非常に滑らかな削り心地が特徴です。チャック部分が鉛筆を傷つけにくい設計になっており、高級なデッサン鉛筆を大切に扱いたい方にも適しています。安定した土台で削ることで、芯の軸ブレを防ぎ、真っ直ぐな芯先を作ることができます。
クツワ STAD トガール(角度調整タイプ)
「トガール」は、その名の通り削る角度を5段階で調整できる画期的なシャープナーです。デッサンでは、広い面を塗るために芯を長く出したい時もあれば、細かな描き込みのために少し短くしっかりさせたい時もあります。ダイヤルを回すだけで、その時の用途に最適な角度に切り替えられる柔軟性が、この道具の魅力です。
ステッドラー マルス ミニテクニコ 芯研器 502
こちらは芯ホルダー(2mm芯など)専用の研磨器ですが、デッサンの仕上げにおいて非常に役立ちます。鉛筆削りで大まかに形を整えた後、この芯研器で先端を軽く回すだけで、サンドペーパーを使ったかのような超極細の先端を作ることができます。建築物のパースや人物のまつ毛など、精密な描写を求める際に重宝します。
デッサン鉛筆削りがダメな状態から立て直す手入れと削り方
もし今使っている道具の調子が悪いとしても、適切な手入れや削り方のコツを覚えることで、本来の性能を取り戻したり、理想の芯先に近づけたりすることが可能です。道具を使いこなすためのちょっとした工夫が、あなたの描く線の質を劇的に向上させます。
刃の交換と掃除で切れ味を戻す
鉛筆削りの性能を維持するために最も重要なのは、刃のコンディションです。小型のシャープナーであれば、刃を固定している小さなプラスネジを外し、刃を裏返したり交換したりすることで、新品のような切れ味が戻ります。交換用の刃が販売されているモデルであれば、ストックを持っておくと安心です。
また、意外と見落としがちなのが内部の清掃です。芯の粉(黒鉛)が刃の裏側にこびりつくと、それが抵抗となって木の表面を荒らす原因になります。使用後は蓋を外して粉を捨てるだけでなく、筆や古くなった歯ブラシを使って、刃の周辺を掃除してください。特に柔らかい4B以上の芯を多用する場合は、粉が油分を含んで固まりやすいため、こまめなメンテナンスが欠かせません。
鉛筆を回す動きで芯欠けを防ぐ
鉛筆を削る際、力任せに鉛筆を押し込んだり、不規則な力で回したりしていませんか?芯折れを防ぐコツは、鉛筆を回す速さと力を一定に保つことです。鉛筆をシャープナーに差し込んだら、奥に押し付ける力は最小限にし、鉛筆そのものを指先でコロコロと転がすようにゆっくり回してください。
特に削り終わりの直前は、抵抗が少なくなり芯が不安定になりやすいため、より慎重に回す必要があります。また、削っている最中に鉛筆を斜めに傾けてしまうと、芯の中心がズレて片削りの原因になります。常に鉛筆とシャープナーの軸が真っ直ぐであることを意識することで、芯の周りを均一な厚みの木が支える、バランスの良い削り上がりになります。
芯の長さと太さを用途で使い分ける
デッサンの工程によって、最適な芯の形は異なります。例えば、描き始めの大きな面を取る段階では、芯を長く出し、先端は少し丸みを帯びた状態の方が紙を傷つけずに広範囲を塗ることができます。逆に、細部を詰めていく段階では、芯先を鋭く尖らせる必要があります。
手動の鉛筆削りだけでなく、カッターナイフでの手削りを組み合わせることで、この調整が自由自在になります。カッターで木の部分を長く削り出し、芯の部分は好みの長さに残します。そこから用途に合わせて、シャープナーや紙やすりで先端を整えるのです。自分の描き方の癖に合わせて「どのくらいの長さが自分にとって最もコントロールしやすいか」を探求することも、デッサンの楽しみの一つです。
カッター削りと紙やすりで仕上げる
究極の芯先を求めるなら、やはりカッターナイフと紙やすりの併用が最強です。カッターで削る際は、親指でカッターの背を押し出しながら、木を薄く剥ぐように進めます。この時、芯に刃を強く当てないよう、滑らせるように削るのが折らないためのコツです。
カッターで大まかな形を作った後、最後は「紙やすり(サンドペーパー)」で先端を磨き上げます。やすりの上で鉛筆をゆっくり回しながら擦ることで、シャープナーでは実現できない自由な鋭さを手に入れることができます。やすりで出た粉は、そのままティッシュで拭き取るか、あるいはガーゼに付けてぼかしに利用することもできます。この手間をかけることで、鉛筆はただの筆記具から、あなたの指先の延長となる精密な画材へと進化します。
デッサン鉛筆削りの不調を減らして安定した線を出すコツまとめ
デッサンの鉛筆削りで「ダメだ」と感じていた問題の多くは、道具のメンテナンスと、用途に合わせた使い分けで解決できます。まずは自分の使っているシャープナーの角度や刃の状態をチェックし、もし理想に届かない場合は、今回紹介したロングポイント対応のモデルを試してみてください。
そして何より、最後は自分の手で芯先を微調整する技術を磨くことが大切です。道具に頼る部分と、自分の感覚で整える部分のバランスが取れた時、デッサンの線はより力強く、そして繊細なものへと変わっていきます。削りという準備の時間を大切にすることで、作品に向き合う集中力も一段と高まるはずです。
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