絵の上達に欠かせない「クロッキー やり方」を学ぶ際、最初の一歩となるのが道具選びです。適切な画材を揃えることで、線の質や描くスピードが劇的に変わります。今回は初心者からプロまで愛用するアイテムを厳選し、描く楽しさを最大限に引き出すための選び方と練習のコツを詳しく解説します。
クロッキーやり方に最適な道具を選ぶ基準
用紙のサイズで選ぶ
クロッキーを行う上で、用紙のサイズ選びは非常に重要な要素です。一般的に「クロッキー やり方」を調べると、全身のバランスを捉える練習が推奨されますが、この際にサイズが小さすぎると、手首だけの動きで描く癖がついてしまいます。ダイナミックな動きを表現し、肩や肘を使った大きなストロークを身につけるためには、少なくともA4サイズ以上、できればスクエア型や大きめのサイズを選ぶのが理想的です。
一方で、外出先や移動中に人物をクイックスケッチする場合は、持ち運びやすさを重視したポケットサイズが重宝します。場所を選ばず描く習慣をつけることで、短時間で形を捉える能力が飛躍的に向上します。
自宅での本格的な練習用には大きなサイズを、日常のスケッチ用には小さなサイズをと、用途に合わせて使い分けることが、飽きずに継続するためのコツと言えるでしょう。自分の練習スタイルが「広々描くこと」なのか「隙間時間に描くこと」なのかをまず明確にすることが大切です。
紙の質感と厚みで選ぶ
クロッキー紙には、大きく分けて「白クロッキー」と「クリームクロッキー」の2種類があります。紙の質感は、描画材の滑りや色の乗りに直結するため、自分の好みのタッチに合わせて選ぶ必要があります。白クロッキー紙は表面が比較的滑らかで、鉛筆の線がはっきりと見えやすいのが特徴です。色の対比が強くなるため、正確な形を捉える練習に向いています。
一方、クリームクロッキー紙はややざらつきがあり、鉛筆の粉が乗りやすく、柔らかな風合いを表現するのに適しています。また、紙の厚さ(坪量)も重要です。クロッキーは短時間で大量に描くスタイルのため、一般的には薄い紙が使用されますが、あまりに薄すぎると筆圧で破れたり、裏写りしてしまったりすることがあります。
逆に厚みのある紙は、消しゴムでの修正に強く、水彩絵具を軽く乗せるといった併用も可能です。自分がどのような筆圧で描くのか、あるいは修正を頻繁に行うのかを考慮して、最適な質感と厚みを見極めてください。
描画材との相性で選ぶ
「クロッキー やり方」のバリエーションを広げるには、紙と描画材の相性を知ることが欠かせません。鉛筆を使用する場合、紙に程よい凹凸(目)がある方が、グラファイトがしっかりと定着し、濃淡の表現が豊かになります。シャープペンシルなどの硬い芯で細かく描き込みたい場合は、表面が平滑な紙を選ぶとペン先が引っかからず、スムーズなストロークが可能になります。
また、木炭やコンテ、パステルなどを使用する場合は、粉が落ちにくいように専用のテクスチャを持った紙が必要です。最近ではサインペンや万年筆を使ってクロッキーを行う方も増えていますが、インクを使用する場合は「にじみ」や「裏抜け」が起きないかどうかが最大のチェックポイントとなります。
速乾性の高いサインペンと滑りの良い紙を組み合わせれば、一気に形を描き上げるスピードクロッキーにおいて大きな武器となります。自分がメインで使いたい描画材を先に決め、その性能を最大限に引き出せる紙を選ぶのが失敗しないための近道です。
綴じ方と持ち運びやすさ
クロッキー帳の綴じ方には、主に「リング綴じ」と「天のり綴じ」の2種類があります。リング綴じのメリットは、ページを360度折り返せる点にあります。屋外や電車内など、机がない場所で描く際には、表紙を裏に回して台紙代わりにすることで安定した描画が可能です。また、ページがバラバラになりにくいため、過去の作品を振り返って成長を実感するのにも適しています。
対して天のり綴じ(パッドタイプ)は、描いた後に1枚ずつ綺麗に切り離せるのが特徴です。会心の出来栄えの作品をファイリングしたり、壁に貼って客観的に眺めたりしたい場合に非常に便利です。
また、綴じ部分が手に当たることがないため、画面の端までストレスなく描くことができます。持ち運びを重視するなら、カバンの中でページが折れ曲がらないようにハードカバー仕様のものを選ぶのも一つの手です。自分の描く場所や、描いた後の作品をどう管理したいかに合わせて、最適な綴じ方のモデルを選択しましょう。
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初心者にもおすすめのクロッキー道具7選
マルマン|クロッキーブック(定番の白クロッキー紙)
多くの美大生やプロに長年愛されている、日本を代表するクロッキー帳です。白クロッキー紙は鉛筆との相性が抜群で、滑らかな描き心地が特徴です。耐久性も高く、最初の1冊として間違いありません。
| 商品名 | マルマン クロッキーブック 白クロッキー紙 |
|---|---|
| 価格帯 | 500円〜1,000円 |
| 特徴 | 鉛筆の乗りが良く、耐久性に優れた大定番の1冊 |
| おすすめ度 | ★★★★★ |
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ホルベイン|クロッキーブック(鉛筆の乗りが良い)
画材メーカーの老舗ホルベインが提供する、クリーム色の用紙が特徴的なクロッキーブックです。紙の表面がしなやかで、鉛筆の粉をしっかり受け止めてくれるため、深みのある濃淡表現が可能です。
| 商品名 | ホルベイン クロッキーブック |
|---|---|
| 価格帯 | 600円〜1,200円 |
| 特徴 | クリーム紙による柔らかな風合いと優れた定着性 |
| おすすめ度 | ★★★★☆ |
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三菱鉛筆|ハイユニ(繊細な線が描ける最高級鉛筆)
日本の技術が詰まった最高級鉛筆です。芯の粒子が細かく均一なため、紙への引っかかりがほとんどなく、意図した通りの繊細な線を引くことができます。クロッキーでの陰影表現を極めたい方に最適です。
| 商品名 | 三菱鉛筆 ハイユニ |
|---|---|
| 価格帯 | 1本 180円前後 |
| 特徴 | 滑らかな書き味と折れにくい強靭な芯を両立 |
| おすすめ度 | ★★★★★ |
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ステッドラー|マルスルモグラフ(幅広い硬度設定)
世界中のアーティストが愛用する製図・描画用鉛筆です。硬度ラインナップが非常に豊富で、自分の筆圧にぴったりの1本が見つかります。芯の減りが比較的少なく、長時間の練習でも集中力が途切れません。
| 商品名 | ステッドラー マルスルモグラフ 描画用鉛筆 |
|---|---|
| 価格帯 | 1本 170円前後 |
| 特徴 | 紙への定着性が高く、テカリを抑えた美しい黒 |
| おすすめ度 | ★★★★☆ |
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ぺんてる|サインペン(速描に最適な滑らかな書き味)
ロングセラーを誇るサインペンですが、実はクロッキーにも非常に有用です。修正ができないという程よい緊張感の中で、迷いのない一発書きの練習ができます。インクの出が安定しており、速描に最適です。
| 商品名 | ぺんてる サインペン |
|---|---|
| 価格帯 | 100円前後 |
| 特徴 | 適度なしなりで強弱がつきやすく、迷い線を減らす練習に |
| おすすめ度 | ★★★☆☆ |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
ぺんてる|トラディオ・プラマン(表情豊かな線を描く)
万年筆のようなペン先を持つプラスチックペンです。筆圧の加減によって線の太さを自由に変えられるため、これ一本で人物の肉感や躍動感を表現できます。インクカートリッジ式で長く使えるのも魅力です。
| 商品名 | ぺんてる トラディオ・プラマン |
|---|---|
| 価格帯 | 500円前後 |
| 特徴 | 独特のペン先がしなり、表情豊かな線描が可能 |
| おすすめ度 | ★★★★☆ |
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コンテ・ア・パリ|パステル鉛筆(影の表現に最適)
鉛筆のような形状で扱いやすく、それでいてパステルのような柔らかなぼかし表現ができる道具です。形を追うだけでなく、大きな面で光と影を捉えるクロッキーを行いたい時に非常に強力なツールとなります。
| 商品名 | コンテ・ア・パリ パステル鉛筆 |
|---|---|
| 価格帯 | 300円〜500円 |
| 特徴 | 鮮やかな発色と馴染みの良さで、立体感を強調できる |
| おすすめ度 | ★★★☆☆ |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
クロッキーの道具を比較する際の重要項目
線の強弱の付けやすさ
クロッキーにおいて最も重要なのは、対象の「動勢(ムーブメント)」をいかに少ない線で捉えるかです。そのためには、1本の線の中に強弱や太淡を自在につけられる道具かどうかが比較の鍵となります。例えば、高品質な鉛筆やプラマンのようなペン先は、筆圧を抜けば消え入るような細い線、力を込めれば力強い太い線を出すことができます。
一方で、安価なボールペンなどは線が均一になりやすく、図解的な説明には向いていても、生命感のある人物描写には工夫が必要です。道具を比較する際は、軽く紙に触れただけでインクや芯が出るかどうか、そして最大筆圧をかけた時にどれだけの太さが出るかを確認しましょう。
このレンジ(幅)が広ければ広いほど、描ける表現の引き出しが増え、より魅力的なクロッキーが描けるようになります。自分の手の癖に合わせて、無理なく強弱をコントロールできる道具を見つけることが上達への近道です。
摩擦抵抗と滑り具合
描く際の「抵抗感(フリクション)」は、描画スピードと筆致に大きく影響します。クロッキーは数秒から数分という限られた時間で描き上げるため、紙の上をペン先が滑らかに滑ることが求められます。抵抗が少なすぎると線が走りすぎて形が崩れやすく、逆に抵抗が強すぎるとスピードが落ち、勢いのある線が引けなくなります。
このバランスは紙と描画材の組み合わせで決まります。ツルツルした紙に滑りの良いサインペンを合わせれば超高速でのスケッチが可能になりますし、少しザラついた紙に柔らかい鉛筆を合わせれば、グリップが効いて正確な描写が可能になります。
自分が「気持ちよく線を引ける」と感じる抵抗感は人それぞれ異なるため、複数の組み合わせを試してみることが重要です。特に、迷いなくサッと線を引いた時の心地よさを基準に比較すると、自分に最適なセットアップが見えてくるはずです。
消しゴムとの親和性
基本的にクロッキーは「消さない」ことが推奨されますが、学習の過程では修正して形を確認する作業も必要です。その際、紙が消しゴムの摩擦に耐えられるか、また、描画材の跡が綺麗に消えるかどうかは、ストレスなく練習を続けるための重要な比較ポイントになります。薄すぎるクロッキー紙は、消しゴムをかけるとすぐにシワが寄ったり破れたりしてしまうため注意が必要です。
また、描画材の定着が強すぎるもの(一部の油性ペンや非常に濃い鉛筆など)は、消しゴムを使っても紙の奥に色が残り、画面が汚れてしまうことがあります。逆に、消しゴムとの親和性が高い組み合わせであれば、消しゴムを「描画道具」として使い、ハイライトを入れるなどの技法も取り入れやすくなります。
練習の初期段階で何度も形を直したいと考えている方は、紙の強靭さと、鉛筆の消えやすさを中心に道具を選別することをおすすめします。
コストパフォーマンス
クロッキーは「数」をこなすことが何よりの練習になるため、1枚あたりのコストや1本あたりの価格は無視できない要素です。どんなに優れた高級紙であっても、「もったいない」と感じて筆が止まってしまっては本末転倒です。惜しみなく大量に、そして毎日使い続けられる価格帯であるかどうかが、長期的な上達を支える基盤となります。
一方で、あまりに安価で品質が低いものを選ぶと、描くこと自体がストレスになり、モチベーションの低下を招く恐れがあります。そこで、マルマンのクロッキーブックのように、プロも使う品質でありながら手に取りやすい価格で安定供給されている「スタンダード」な製品を基準にするのが賢明です。
消耗品としてのコストを抑えつつ、要所(例えば仕上げの鉛筆など)には少し良いものを使うといった、自分なりの投資のバランスを見つけることが、継続可能なクロッキーライフを実現する秘訣です。
クロッキーを練習する際に意識すべき注意点
硬度の異なる鉛筆を用意
クロッキーを行う際、1種類の鉛筆だけで済ませてしまうのは非常にもったいないことです。鉛筆にはHからBまで幅広い硬度があり、それぞれに得意な役割があります。例えば、4Bや6Bといった柔らかい鉛筆は、軽いタッチでしっかりと濃い線が描けるため、モデルの輪郭を素早く捉えたり、大きな影をつけたりするのに適しています。
一方で、HやHBなどの硬い鉛筆は、細部の詳細な形を追う際や、繊細な質感を表現するのに向いています。
「クロッキー やり方」をステップアップさせるには、これらを最低でも2〜3種類用意し、使い分けることが効果的です。最初は柔らかい鉛筆で全体の流れ(ジェスチャー)を捉え、後半に少し硬めの鉛筆で形を締める、といった使い分けをすることで、画面に立体感と説得力が生まれます。硬度の違いは表現の幅を広げるだけでなく、紙への負担を軽減し、効率的な描画を助けてくれます。自分の筆圧に合わせ、少なくとも「濃いめ」と「普通」の2本は常に手元に置いておくようにしましょう。
描く時間の設定と配分
クロッキーは時間を制限して描く練習ですが、その「時間の使い方」には注意が必要です。ただ漫然と短時間で描くのではなく、「30秒で全体の流れを掴む」「2分で骨格と筋肉を意識する」「5分で光と影まで表現する」といったように、目的を持って時間を設定することが上達の鍵となります。時間が短すぎると細部を追う余裕がなくなり、逆に長すぎると説明的な線が増えて勢いが失われてしまいます。
初心者の方は、まずは1分や2分といった、少し短いと感じる時間から始めるのがおすすめです。限られた時間の中で「どこを優先して描くべきか」を瞬時に判断するトレーニングになります。また、練習の最後には必ず時間をかけずに「今の自分にできるベスト」を出し切る時間を設けることも忘れないでください。
タイマーを使って厳密に管理することで、集中力が研ぎ澄まされ、短時間でも驚くほど密度の高い練習が可能になります。時間の配分を意識することは、観察眼を養うことと直結しているのです。
保管場所の湿気対策
意外と見落としがちなのが、クロッキー帳の保管環境です。クロッキー紙は一般的な画用紙よりも薄く、吸湿性が高い傾向にあります。湿気の多い場所に放置しておくと、紙が波打ってしまったり、鉛筆の乗りが悪くなったりすることがあります。また、湿気を吸った紙は消しゴムをかけた際に破れやすくなるため、描き心地が大幅に損なわれてしまいます。
特に梅雨時期や加湿器を使用する冬場は、クロッキー帳を出しっぱなしにせず、使い終わったら本棚などの風通しの良い場所に立てて保管するか、密閉できるケースに乾燥剤と一緒に入れておくのが理想的です。
せっかく描いた作品が湿気で劣化してしまうのを防ぐだけでなく、常にベストな紙の状態で練習に臨めるよう、環境を整えることも上達の一部だと考えましょう。良い道具を長く、快適に使い続けるための最低限のメンテナンスとして、湿気対策は習慣化しておくべき重要なポイントです。
筆圧による裏写りの確認
クロッキーは紙の枚数が多いため、ついつい筆圧を強くしてしまいがちですが、これによって次のページに跡が残ったり、描画材の色が移ってしまったりする「裏写り」には注意が必要です。特に柔らかい鉛筆やインク量の多いペンを使用する場合、筆圧が強すぎると下のページまで線が食い込んでしまい、次に描く際に凸凹が気になって集中を削がれる原因になります。
これを防ぐための最もシンプルな方法は、ページの下に「下敷き」を挟むことです。専用の下敷きでなくても、厚手の紙やクリアファイルを1枚挟むだけで、筆圧の分散と裏移り防止に絶大な効果を発揮します。また、自分の筆圧が強すぎることに気づくきっかけにもなります。
軽やかなストロークで、紙を傷めずに形を捉えることができるようになれば、線の質そのものが向上し、より洗練されたクロッキーが描けるようになります。次のページの状態を常に気にかける余裕を持つことが、丁寧な観察と正確な描写へと繋がっていくのです。
自分に合った道具でクロッキーを楽しもう
「クロッキー やり方」をマスターするための旅は、自分にぴったりの道具を見つけることから始まります。今回ご紹介した選び方の基準やおすすめのアイテムを参考に、まずは1冊、あなたの相棒となるクロッキーブックを手に取ってみてください。
高価な道具を揃えることよりも、毎日1枚でも「描きたい」と思える道具に出会えるかどうかが、あなたの表現をより豊かに変えてくれるはずです。お気に入りのペンと紙を広げ、目の前の対象を捉える喜びをぜひ体感してください。
世界70か国で愛されるコピック!
ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。

