初心者におすすめの水彩絵の具7選|失敗しない選び方と長く使うコツ

これから新しい趣味として絵画を始めたい方にとって、道具選びは最初の大きな楽しみであり、同時に悩みの種でもあります。特に「水彩絵の具 おすすめ 初心者」というキーワードで検索すると、あまりに多くの商品が出てくるため、どれが自分に合っているのか判断するのは難しいものです。

本記事では、初心者の方が迷わず最適なセットを手に取れるよう、選び方の基準から厳選したおすすめ商品、そして長く愛用するためのメンテナンス術までを詳しく解説します。自分にぴったりの道具を見つけ、彩り豊かなアートライフをスタートさせましょう。

目次

「水彩絵の具 おすすめ 初心者」の失敗しない選び方

チューブか固形かのタイプ別

水彩絵の具には、大きく分けて「チューブタイプ」と「固形(パン)タイプ」の2種類があります。初心者がまず検討すべきはこの形状の違いです。チューブタイプは、柔らかいペースト状の絵の具をパレットに出して使用します。大量の絵の具を一度に使いやすいため、広い面を塗ったり、力強い表現をしたりするのに適しています。また、色が混ざりやすく、自分好みの色をその場で作る楽しさを味わえるのが魅力です。

一方で、固形タイプは水分を飛ばして固めた絵の具です。非常にコンパクトで、蓋がパレットを兼ねているものも多いため、屋外でのスケッチやカフェでの作業など、持ち運びに非常に適しています。筆に水を含ませて表面をなでるだけで色が取れるため、準備や片付けが非常に楽というメリットがあります。ただし、広い面積を一度に塗るのには少しコツが必要です。

どちらを選ぶかは、主に「どこで描くか」というライフスタイルに合わせて決めると良いでしょう。自宅の机でじっくりと大きな紙に向き合いたいならチューブタイプを、手帳や小さなスケッチブックに日常を記録したいなら固形タイプを選ぶのが、失敗しないための第一歩となります。

また、最近ではチューブの絵の具をパレットに出して乾燥させ、固形絵の具のように使うハイブリッドな手法も人気です。まずはチューブで色を揃え、自分なりの使いやすさを探求していくのも一つの方法と言えるでしょう。

セットに含まれる色の数

初心者がセットを購入する際、何色のセットを選ぶべきかは非常に重要なポイントです。一般的には12色、18色、24色といったラインナップがありますが、結論から言えば、最初は「12色〜18色」のセットが最もおすすめです。なぜなら、色の数が多すぎると、どの色を混ぜて良いか分からなくなり、逆に色の管理が煩雑になってしまうからです。

水彩画の醍醐味は、限られた色を混ぜ合わせて無限の色を作り出す「混色」にあります。12色セットには基本となる赤、青、黄、緑、茶、黒、白が含まれており、これらを組み合わせることで、自然界にあるほとんどの色を表現することが可能です。少ない色数で描き始めることで、色の成り立ちを自然に学ぶことができ、上達への近道となります。

もちろん、24色以上のセットには、自分では作りにくい絶妙な中間色が含まれているという利点があります。特に植物画(ボタニカルアート)や風景画で、特定の花の色や空のグラデーションを多用する場合は、多色セットの方が時短になり、色の再現性も高まります。しかし、まずは基本の12色を使いこなし、足りないと感じた色を単品で買い足していくスタイルが、コストパフォーマンスの面でも賢い選択です。

最終的には、自分が何を描きたいかを想像してみてください。鮮やかなイラストを描きたいなら原色が充実したセットを、落ち着いた風景を描きたいならアースカラーが含まれた18色程度のセットを選ぶと、満足度の高い買い物になるはずです。

描きたい作風と色の透明度

水彩絵の具には「透明水彩」と「不透明水彩(ガッシュ)」という2つの大きな分類があります。これを知らずに購入すると、思い描いていた表現ができず後悔することになりかねません。透明水彩は、その名の通り下の色が透けて見える性質を持っています。色を重ねることで深みを出したり、美しいグラデーションを作ったりするのが得意で、いわゆる「水彩画らしい」瑞々しい表現に向いています。

不透明水彩(ガッシュ)は、顔料の密度が高く、下の色を覆い隠す性質があります。ポスターカラーのようにハッキリとした色合いで、修正が容易なのが特徴です。アニメーションの背景画やデザイン画、あるいは力強いタッチのイラストを描きたい場合には、不透明水彩や、その中間的な性質を持つ「マット水彩」が適しています。学校教育でよく使われるのは、このマット水彩であることが多いです。

初心者が趣味として始めるなら、まずは「透明水彩」を選ぶことをお勧めします。水の量によって色の濃淡を自在に操る感覚は、透明水彩ならではの楽しさであり、光を表現するのに最適だからです。逆に、厚塗りの質感を楽しみたい場合や、失敗をどんどん上塗りして直したいという方は、不透明タイプの方がストレスなく描き進められるでしょう。

自分の憧れているイラストレーターや画家がどちらを使っているかを調べてみるのも良い基準になります。SNSや書籍で「これだ!」と思う作品を見つけたら、その作者が愛用している絵の具の種類をチェックしてみてください。それがあなたの目指すべきスタイルへの最短ルートとなります。

必要な周辺道具のセット内容

水彩絵の具を始めるには、絵の具本体だけでなく、筆、パレット、水入れ、紙といった周辺道具も欠かせません。初心者向けの商品には、これらが必要最低限パッケージされた「スターターセット」が多く存在します。これから道具をゼロから揃えるという方にとって、こうしたセットは非常に便利で、個別に選ぶ手間とコストを抑えることができます。

セットを選ぶ際に確認すべきは、まずパレットの使い勝手です。チューブタイプの場合、パレットは絵の具を出す場所であり、色を混ぜる重要なスペースです。仕切りが適度な大きさで、混色スペースが広いものを選びましょう。筆については、丸筆の細いものと太いものが各1本ずつ入っていれば、大抵の描写には対応可能です。ナイロン製の筆は手入れが簡単で、初心者にも扱いやすい弾力があります。

また、水入れ(筆洗)も重要な要素です。複数を一度に洗えるように仕切りがあるタイプや、持ち運びに便利な折りたたみタイプなど、自分の描く環境に合わせて選ぶ必要があります。意外と見落としがちなのが「紙」です。水彩画は水を多く使うため、普通のコピー用紙では波打ってしまいます。セットに専用の水彩紙やスケッチブックが含まれているか、もしなければ別途購入することを忘れないでください。

最終的には「どこまで揃えたいか」を明確にしましょう。とりあえず試してみたいなら、安価なフルセットを。長く続ける自信があるなら、絵の具だけは高品質なものを選び、周辺道具は100円ショップなどを活用して賢く揃えるというのも一つの戦略です。自分にとって最もワクワクするセット内容を見極めてください。

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初心者にぴったりな水彩絵の具のおすすめ7選

ぺんてる 水彩絵の具 12色セット|定番の使いやすさ

日本の文房具メーカーとして圧倒的な信頼を誇るぺんてるのセットです。チューブから出した時の発色が良く、水に溶けやすいのが特徴です。小学校の授業でも採用されることが多く、誰もが一度は触れたことのある親しみやすさがあります。キャップが片手で開けられる設計になっており、作業中にストレスを感じさせない細やかな配慮が魅力です。

項目内容
商品名ぺんてる エフ水彩 ポリチューブ入り 12色
価格帯1,000円前後
特徴片手で開けられるワンタッチキャップ、安定した品質
公式サイト公式サイトはこちら

サクラクレパス マット水彩 12色|学校でも使われる品質

サクラクレパスのマット水彩は、透明調にも不透明調にも描けるのが最大の強みです。水の量を増やせば透明感のある仕上がりに、少なめにすればしっかりと色が乗るポスターカラーのような使い方ができます。初心者にとって、一つの絵の具で両方の質感を試せるのは非常に大きなメリットであり、自分のスタイルを模索する時期に最適です。

項目内容
商品名サクラクレパス マット水彩 12色 ポリチューブ入り
価格帯1,000円以下
特徴透明・不透明の使い分けが可能、粒子が細かく伸びが良い
公式サイト公式サイトはこちら

ウィンザー&ニュートン 固形水彩 12色|持ち運びに便利

世界中のアーティストから愛されるイギリスの老舗ブランドです。この「コットマン」シリーズは、初心者や学生向けに開発された高品質なラインです。コンパクトなケースにパレットと筆が収納されており、これ一つでどこでも描き始めることができます。固形タイプ特有の透明感溢れる美しい発色は、一度使うと虜になる美しさです。

項目内容
商品名ウィンザー&ニュートン コットマン ウォーターカラー 12色セット
価格帯2,500円〜3,500円
特徴プロ仕様の技術を継承した発色、優れた携帯性
公式サイト公式サイトはこちら

ホルベイン 透明水彩絵具 12色セット|プロも認める発色

日本の専門家向け絵の具メーカーとして名高いホルベイン。この透明水彩は、混色しても濁りにくく、鮮やかな発色が長く続くことで定評があります。多くのイラストレーターが愛用しており、本格的に水彩画を学びたい初心者にとって「間違いない」選択肢です。一度乾燥させても水で簡単に溶けるため、パレットに出して長く使うことができます。

項目内容
商品名ホルベイン 透明水彩絵具 12色セット 5mlチューブ
価格帯2,000円〜2,500円
特徴色の純度が高く混色が美しい、プロ愛用者多数
公式サイト公式サイトはこちら

呉竹 顔彩耽美 24色セット|和の彩りが楽しめる

日本画の伝統的な絵の具である「顔彩」を、現代的に扱いやすくしたセットです。水彩絵の具よりも少し不透明で、しっとりとした落ち着いた色合いが特徴です。24色の豊富なカラーバリエーションにより、複雑な混色をせずとも美しい色彩を表現できます。絵手紙や俳画を始めたい方、日本の伝統色を楽しみたい方に強くおすすめします。

項目内容
商品名呉竹 顔彩耽美 24色セット
価格帯2,000円前後
特徴日本の伝統色を再現、溶けやすく鮮やかな発色
公式サイト公式サイトはこちら

ファーバーカステル 水彩 24色|パレット付きで機能的

ドイツの老舗文具メーカー、ファーバーカステルが提供するコネクターペイントボックス。各色が独立したパレットのようになっており、好きな色だけを連結させて使うことができるユニークなデザインです。蓋の部分は混色スペースとして広く使え、実用性が非常に高いのが特徴です。デザイン性も高く、子供から大人まで楽しく使えるセットです。

項目内容
商品名ファーバーカステル コネクターペイントボックス 24色
価格帯2,500円〜3,500円
特徴取り外し可能な色駒、高いデザイン性と機能性
公式サイト公式サイトはこちら

ターナー色彩 透明水彩 18色|コストパフォーマンス重視

高い品質を維持しながら、リーズナブルな価格設定で人気のターナー色彩。この18色セットは、基本色に加えて使い勝手の良い色が揃っており、初心者でもすぐに表現の幅を広げることができます。顔料の質が良く、繊細な色合いを再現できるため、風景画や植物画に挑戦したい方にぴったりです。コスパ良く多色を揃えたい時の決定版です。

項目内容
商品名ターナー色彩 透明水彩絵具 18色セット 5mlチューブ
価格帯2,000円以下
特徴コストパフォーマンスが極めて高い、専門家向け品質
公式サイト公式サイトはこちら

水彩絵の具の性能を比較する際のチェック項目

絵の具の伸びと溶けやすさ

水彩絵の具を選ぶ際に、最も「描き心地」に直結するのが、絵の具の伸びと溶けやすさです。高品質な絵の具は、少量の水を含ませた筆でなぞるだけで、スッと色が立ち上がり、紙の上で滑らかに伸びていきます。この「伸び」が良いと、広い面を均一に塗る際にもムラになりにくく、ストレスなく作業を進めることができます。特に初心者のうちは、筆のコントロールに慣れていないため、絵の具自体の性能が描画を助けてくれる部分が非常に大きいです。

また、固形タイプであっても、チューブから乾燥させたものであっても、水に対する「溶けやすさ」は重要です。安価な絵の具の中には、表面が硬くなってしまい、なかなか筆に色が乗らないものがあります。そうなると、何度も筆で擦る必要があり、筆を傷める原因にもなります。一方で、溶けやすすぎる絵の具も、色の濃度調節が難しくなることがあります。適度な抵抗感を持ちつつも、水に馴染みやすいバランスの取れた製品を選ぶことが、上達の鍵となります。

この性能を確かめるには、実際に使ってみるのが一番ですが、カタログスペックとしては「アラビアゴム(展色剤)」の品質に注目してください。良質なアラビアゴムを使用しているメーカーのものは、乾燥後も再溶解性が高く、滑らかな描き心地を維持しています。初心者の方こそ、まずは評価の高い定番メーカーの製品を選び、この「心地よい伸び」を体験して基準を作ることをお勧めします。

乾いた後の色の鮮やかさ

絵を描いている最中は綺麗に見えても、乾いた後に色が極端に沈んでしまったり、くすんでしまったりすることは初心者によくある悩みです。これを「乾燥による退色」や「沈み込み」と呼びます。水彩絵の具の性能を比較する際は、乾燥後の色の定着具合をチェックすることが欠かせません。高品質な絵の具は、塗った時の鮮やかさが乾燥後も損なわれにくく、思い通りの完成イメージに近づけることができます。

特に透明水彩の場合、紙の白さを活かして発色させるため、顔料の純度がそのまま色の美しさに反映されます。専門家向けのラインナップは、顔料が細かく均一に分散されているため、乾いた後も光を美しく反射し、深みのある色彩を保ちます。逆に、不純物や増量剤が多い安価な製品は、乾くと表面が粉っぽくなったり、色が薄くなったりしやすい傾向にあります。せっかく描いた作品が時間が経って色褪せてしまうのは悲しいものです。

また、耐光性(日光による色の変化のしにくさ)も重要な比較ポイントです。将来的に作品を部屋に飾ることを想定しているなら、耐光性ランクが表示されている製品を選ぶのが賢明です。初心者のうちはそこまで気にする必要はないと思うかもしれませんが、鮮やかな色が続くことは「また次を描こう」というモチベーションに繋がります。価格と性能のバランスを見極めながら、納得のいく発色の絵の具を選んでください。

色を重ねた時の混ざり方

水彩画の醍醐味は、色と色を重ねて新しい表情を作る「レイヤリング(重塗り)」にあります。ここで性能の差が出るのが、色を重ねた時の混ざり方です。性能の良い透明水彩絵の具は、下の色がしっかり乾いていれば、その上に色を重ねても下の色が濁らず、まるでステンドグラスを重ねたような美しい透明感を保つことができます。これができることで、影の表現や複雑なニュアンスの色彩を表現することが可能になります。

一方で、混色のしやすさも重要です。パレットの上で2色、3色と混ぜ合わせた時に、色が濁りにくく、鮮明な第3の色が作れるかどうかは顔料の質に依存します。初心者のうちは「12色で何色作れるか」を試すことが多いため、この混色性能が高い絵の具を選ぶと、色彩感覚が養われやすくなります。質の低い絵の具だと、混ぜれば混ぜるほどグレーに近い濁った色になってしまい、描きたいイメージから遠ざかってしまいます。

比較の際は、実際に「青と黄色を混ぜて綺麗な緑ができるか」「赤と青を混ぜて美しい紫ができるか」を試したレビューなどを参考にすると良いでしょう。また、メーカーが提供する「ドットカード(全色のお試しサンプル)」を利用するのも手です。自分が目指す作風が、何層も色を重ねる緻密なものなのか、一気に塗り上げる勢いのあるものなのかによって、重視すべき混ざり具合も変わってきます。

蓋の密閉性と開けやすさ

意外と盲点になりがちなのが、容器の設計、特に「蓋」の性能です。チューブタイプの絵の具において、蓋の密閉性は絵の具の寿命を左右します。蓋の作りが甘いと、隙間から空気が入り込み、中の絵の具がカチカチに固まって使えなくなってしまうからです。特にたまにしか描かない初心者の場合、数ヶ月ぶりに開けたら全滅していた…という悲劇を避けるためにも、気密性の高い容器を採用しているメーカーを選ぶべきです。

また、使いやすさの面では「開けやすさ」も重要です。手が絵の具で汚れている時や、水を使っている最中に、小さなネジ式のキャップを回すのは意外と手間に感じることがあります。最近では、ぺんてるのように片手でパチッと開けられるワンタッチ式のキャップを採用している製品もあり、これは作業の効率化に大きく貢献します。一方で、プロ仕様のアルミチューブなどは、気密性は高いものの、キャップが固着しやすいという側面もあります。

容器の素材も比較のポイントです。ポリチューブは軽くて扱いやすく、中身を最後まで絞り出しやすいのが特徴です。アルミチューブは外からの空気の影響を受けにくく、絵の具の質を長期間保つのに適していますが、一度凹むと元に戻らず、強く絞ると破れることもあります。自分の管理能力や使用頻度を考えて、ストレスなく使い続けられるデザインの製品を選ぶことが、絵を楽しく続けるための秘訣です。

初心者が水彩絵の具を長く愛用するためのコツ

使用後の筆の正しい洗浄法

水彩絵の具を長く楽しむためには、道具の手入れ、特に「筆の洗浄」が最も重要です。使い終わった筆を適当に洗って放置すると、根元に絵の具が溜まり、筆先が割れたり、弾力がなくなったりしてしまいます。まず、使用後はバケツの水で色がなくなるまで丁寧に振り洗いをしましょう。この時、バケツの底で筆先を強く押し付けると毛が傷むため、優しくなでるように洗うのがコツです。

色が落ちたと思っても、毛の根元にはまだ絵の具が残っていることが多いものです。週に一度、あるいは長時間の描画後は、専用の筆洗石鹸や中性洗剤を使ってぬるま湯で洗うことをお勧めします。手のひらで円を描くように筆を動かし、泡立てながら汚れを浮き出させます。その後、流水でしっかりとすすぎ、洗剤が残らないようにしてください。洗剤が残ると毛の寿命を縮める原因になります。

乾燥させる際は、必ず「横置き」にするか、筆先を「下向き」に吊るして乾かしましょう。筆先を上にして立てて乾かすと、水分と一緒に残った絵の具が根元の金具(口金)の方へ流れてしまい、毛が広がる原因になります。完全に乾いたら、筆巻きやケースに収納して保管します。このひと手間を惜しまないことで、安価な筆でも驚くほど長く、良いコンディションで使い続けることが可能になります。

パレットに残った絵の具の処理

水彩絵の具のパレットは、実は「毎回綺麗に洗わなくても良い」のが他の絵具にはない特徴です。透明水彩の場合、パレットに出して乾燥した絵の具は、再度水を含ませれば溶けて使えるようになります。そのため、よく使う色や、自分で作ったお気に入りの混色などは、そのままパレットに残しておき、次回の描画に活用するのが一般的です。これにより、絵の具を無駄にせず、準備の時間も短縮できます。

ただし、パレットの「混色スペース」だけは、描画が終わるたびに綺麗に拭き取るべきです。汚れたまま放置すると、次回使いたい色が混ざってしまい、発色が濁る原因になります。濡らした布巾やティッシュでサッと拭き取るだけで構いません。また、絵の具がパレットにこびりついて取れなくなった場合は、お湯を張ったシンクにしばらく浸しておくと、絵の具がふやけて綺麗に落とすことができます。

パレットの素材がプラスチックの場合、長期間使うと色が染み付いてしまうことがありますが、これは絵の具の性能には影響しません。どうしても気になる場合は、メラミンスポンジで軽くこすると綺麗になりますが、表面の傷に新しい色が入り込みやすくなるため注意が必要です。道具を育てる感覚で、自分の使いやすい状態にパレットを保つことが、快適な制作環境を作るためのポイントです。

チューブのキャップの固着防止

チューブタイプの絵の具で最も多いトラブルが「キャップが固まって開かなくなること」です。これは、キャップのネジ山部分に絵の具が付着したまま閉めてしまい、それが乾燥して強力な接着剤のようになってしまうのが原因です。これを防ぐためには、使い終わって蓋を閉める前に、チューブの口周りをティッシュや布で綺麗に拭き取る習慣をつけましょう。これだけで、次回の制作時に「開かない!」と格闘するストレスから解放されます。

もし、すでに固まって開かなくなってしまった場合は、無理にペンチなどで回そうとしないでください。チューブがねじ切れて中身が飛び出してしまう危険があります。対処法としては、キャップの部分を50度〜60度程度の「お湯」に数分間浸すのが効果的です。熱で固まった絵の具が緩み、驚くほどスムーズに開くようになります。火傷には十分注意して行ってください。

また、長期間使わないことが予想される場合は、ネジ山にほんの少しだけワセリンなどを塗っておくのも、固着防止の裏技として有効です。ただし、絵の具の中に油分が入らないよう、ごく少量に留めてください。キャップを閉める際は、きつく締めすぎないことも大切です。適度な力で密閉されていれば十分です。こうした小さな気配りが、絵の具を最後の1滴まで使い切るための秘訣となります。

直射日光を避けた保管場所

絵の具や作品の鮮やかさを守るためには、保管場所の環境にも気を配る必要があります。絵の具の天敵は「直射日光」と「高温多湿」です。多くの絵の具は、直射日光に長時間さらされると、容器越しであっても顔料が化学変化を起こし、変色したり劣化したりすることがあります。また、チューブ内の水分が分離してしまい、使う時に透明な液体だけが出てくるような現象も、過酷な保管環境が原因の一つです。

理想的な保管場所は、風通しの良い、暗くて涼しい場所です。引き出しの中や、専用のアートボックスにまとめておくと良いでしょう。特に夏場の車内や、窓際に放置するのは避けてください。また、湿気が多すぎる場所は、筆にカビが生えたり、固形絵の具が湿気を吸ってベタついたりする原因になります。乾燥剤を一つ入れておくのも、道具を長持ちさせるための良いアイデアです。

作品についても同様です。描き上がった作品を飾る際は、直射日光が当たらない壁を選びましょう。最近ではUVカット効果のある額縁のガラスやアクリル板も市販されています。道具を大切に保管し、作品を丁寧に扱うことは、自分の創作活動を尊重することでもあります。良い環境を整えることで、道具はあなたのパートナーとして、長年にわたって素晴らしい色を提供し続けてくれるはずです。

自分に合う水彩絵の具で描く楽しさを見つけよう

水彩画の世界は、一滴の水と少しの絵の具があれば、誰にでも開かれています。本記事でご紹介した「選び方の結論」や「おすすめの商品」を参考に、まずは自分が直感で「これを使ってみたい」と思えるセットを手に取ってみてください。完璧な道具を最初から揃える必要はありません。大切なのは、白い紙に最初の一筆を置く時の、あの少しの緊張感と大きなワクワクを大切にすることです。

水彩絵の具には、チューブや固形といった形状の違い、透明度の差、そしてメーカーごとの個性豊かな発色があります。今回挙げた7つの厳選商品は、どれも多くの初心者が使い始め、その使い心地を評価してきたベストセラーばかりです。ぺんてるやサクラクレパスのように親しみやすいものから、ホルベインやウィンザー&ニュートンのようにプロの表現に近づけるものまで、あなたの「描きたい」という気持ちに寄り添ってくれる道具が必ず見つかるはずです。

道具を手に入れた後は、ぜひ日々の生活の中に「描く時間」を取り入れてみてください。最初は思い通りに色が混ざらなかったり、水の量が多すぎて紙がふやけてしまったりすることもあるでしょう。しかし、それこそが水彩画の面白さです。水が描く予測不能な美しさや、乾いた後に現れる繊細な表情は、デジタルでは味わえないアナログならではの感動を与えてくれます。今回解説したメンテナンス方法を実践すれば、あなたの選んだ絵の具は、月日が経つほどに手に馴染む素晴らしい相棒へと育っていきます。

絵を描くことは、世界をより丁寧に、美しく観察することでもあります。季節の花の色、夕暮れの空のグラデーション、何気ない日常の風景。それらを自分の手で色づけ、残していく喜びは、日々の生活をより豊かなものに変えてくれるでしょう。この記事が、あなたの新しい挑戦の第一歩を支える道標となれば幸いです。さあ、パレットを広げて、あなただけの彩り豊かな物語を始めてみませんか。

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この記事を書いた人

漫画やアートで「これってどうしてこんなに心を動かされるんだろう?」と考えるのが好きです。色の選び方や構図、ストーリーの展開に隠れた工夫など気づいたことをまとめています。読む人にも描く人にも、「あ、なるほど」と思ってもらえるような視点を、言葉で届けていきたいと思っています。

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