デッサン用鉛筆は、描く人の意図を紙に伝える最も基本的かつ奥深い道具です。初心者からプロまで、自分の表現スタイルに最適な一本を見つけることは作品の完成度を左右する鍵となります。今回は厳選したおすすめ商品と共に、選び方のポイントや長く愛用するためのコツを詳しく解説します。
デッサン用鉛筆を正しく選ぶための重要ポイント
芯の硬度と濃さの幅で選ぶ
デッサン用鉛筆を選ぶ際に最も基本的かつ重要な基準となるのが、芯の硬度と濃さのラインナップです。一般的に、鉛筆には「H(Hard)」や「B(Black)」といった記号が振られており、Hの数字が大きいほど芯は硬くて色が薄くなり、Bの数字が大きいほど芯は柔らかく色が濃くなります。
デッサンにおいては、画面全体の明暗(トーン)を正確に描き分ける必要があるため、単一の硬度ではなく、幅広い種類を揃えることが推奨されます。
初心者の場合は、HB、B、2B、4B、6Bといった、中間の硬度から柔らかいものにかけて揃えるのが一般的ですが、石膏デッサンや精密な描写を目指すのであれば、10Hから10Bまで展開しているようなブランドを選ぶと、表現の幅が劇的に広がります。
硬い鉛筆は細かなディテールや明るい面の下描きに適しており、柔らかい鉛筆は深い影や力強い質感を表現するのに欠かせません。自分がどのような対象を描きたいのか、どの程度の繊細さを求めているのかを考慮し、まずは標準的なセットから入り、必要に応じて極端な硬度を買い足していくスタイルが、最も効率的で失敗の少ない選び方と言えるでしょう。
描き心地の滑らかさで選ぶ
鉛筆の描き心地は、作品制作中のストレスや集中力に直結する非常に重要な要素です。高品質なデッサン用鉛筆は、黒鉛と粘土の粒子が極めて細かく均一に混ざり合っているため、紙の上を滑らせた際に引っ掛かりがなく、バターが溶けるような滑らかな感触が得られます。
反対に、安価な鉛筆や品質の低いものは、芯の中に不純物が混じっていることがあり、突然「ガリッ」という不快な感触と共に紙を傷つけてしまうリスクがあります。描き心地の良さは単なる感触の良し悪しだけでなく、筆圧によるコントロールのしやすさにも影響します。
滑らかな芯であれば、軽い筆圧でも均一な線を引くことができ、逆に強い筆圧をかけた際にも芯が砕けにくく、安定した描写が可能になります。特に長時間の制作を行う場合、この滑らかさが手の疲労軽減に大きく貢献します。
画材店などで試し書きができる場合は、実際に異なるブランドを使い比べ、自分の手に馴染む抵抗感や滑り具合を確認することが大切です。ブランドによって「しっとりとした感触」や「サラサラとした軽快な感触」など個性が分かれるため、最終的には自身の感覚的な好みが決定打となることも少なくありません。
セットか単品の補充で選ぶ
デッサン用鉛筆を購入する際、最初に直面するのが「セットで購入するか、単品で購入するか」という選択です。これから本格的にデッサンを始める初心者の方であれば、まずはメーカーがバランス良く硬度をセレクトした「セット商品」を選ぶのが賢明です。12本入りや24本入りのセットは、明るいトーンから暗いトーンまで網羅されており、ケースも付属しているため、持ち運びや管理にも便利です。セットで使い続けるうちに、自分がよく使う硬度(例えば2Bや4Bなど)と、あまり使わない硬度が明確になってきます。一方で、中上級者や既に特定のスタイルが確立されている方の場合は、必要な硬度だけを「単品」で補充していく形が効率的です。また、デッサン用鉛筆は消耗品であるため、お気に入りのブランドが決まった後は、減りの早い硬度をダース単位でストックしておくことで、制作を中断させることなくスムーズに作業を進めることができます。単品購入のメリットは、異なるメーカーの鉛筆を混ぜて使える点にもあります。例えば「下描きは硬めのステッドラー、仕上げの深い黒は三菱のハイユニ」といったように、自分の好みに合わせて最適なラインナップをカスタマイズできるのは、単品購入ならではの醍醐味と言えるでしょう。
ブランド独自の質感で選ぶ
デッサン用鉛筆には、製造メーカーごとに独自の歴史と技術に基づいた「質感」が存在します。これは単なる色の濃淡だけでなく、紙に定着した際の見え方や、色の「深み」に大きく関わります。
例えば、日本のメーカーは黒鉛の質が高く、しっとりとした艶のある黒が得意な傾向にあり、海外の老舗メーカーは、よりマットで粒子が強調される質感を持ち合わせていることが多いです。これらの質感の差は、描く対象物(モチーフ)の質感表現に直結します。
例えば、金属の光沢や滑らかな肌を描く際には、粒子の細かい滑らかなブランドが適しており、一方で岩肌や古い木材のような荒々しい質感を出すには、少しドライで粒子感のあるブランドが相性良く機能します。また、鉛筆の「軸」の質もブランドによって異なります。
高級なブランドでは、削りやすくて香りの良い高級シダー材が使用されており、削る作業そのものが創作の儀式として心地よく感じられるよう設計されています。
ブランドが持つ独自の歴史やこだわりを理解し、それが自分の目指すアートスタイルと合致するかどうかを検討することは、単なる道具選びを超えて、自身の表現を深めるための重要なプロセスとなるはずです。
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デッサンにおすすめの人気鉛筆8選
【三菱鉛筆】ハイユニ|最高傑作の滑らかな描き味
日本の技術が詰まった最高級の鉛筆です。不純物が極めて少ない黒鉛を使用しており、驚くほど滑らかな描き心地と、深みのある黒色が特徴です。
| 商品名 | ハイユニ(Hi-uni) |
|---|---|
| 価格帯 | 170円〜 / 1本 |
| 特徴 | 世界に誇る滑らかさと均一な硬度 |
| 推奨用途 | 精密描写・プロのデッサン |
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【ステッドラー】マルスルモグラフ|均一な粒子で精密描写
ドイツの老舗ブランドが誇る、世界中で愛用されるデッサン鉛筆の定番です。芯の強度が非常に高く、細かな線を引いても折れにくいのが強みです。
| 商品名 | マルスルモグラフ 製図用高級鉛筆 |
|---|---|
| 価格帯 | 160円〜 / 1本 |
| 特徴 | 紙への定着が良く、テカリが抑えめ |
| 推奨用途 | 製図・建築スケッチ・デッサン |
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【ファーバーカステル】カステル9000番|世界標準の安定感
250年以上の歴史を誇るブランドを象徴する緑色の鉛筆です。硬度のバランスが絶妙で、どんな紙質にも馴染む信頼性の高さが魅力です。
| 商品名 | カステル9000番 鉛筆 |
|---|---|
| 価格帯 | 160円〜 / 1本 |
| 特徴 | 芯の粒子が均一で、非常に丈夫 |
| 推奨用途 | 一般筆記からプロの描画まで |
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【トンボ鉛筆】MONO100|高密度な芯が生む深い黒色
超微粒子を凝縮した芯により、滑らかなだけでなく非常に濃い発色を可能にしたモデルです。力強いデッサンを好む方に最適な一本です。
| 商品名 | MONO100(モノ100) |
|---|---|
| 価格帯 | 170円〜 / 1本 |
| 特徴 | 粒子密度が高く、漆黒に近い発色 |
| 推奨用途 | コントラストを強調する作品 |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
【ダーウェント】グラフィック鉛筆|硬度の種類が豊富
イギリスの専門ブランドによる、アーティストのための鉛筆です。9Hから9Bまでの広い硬度域を持ち、繊細な表現から大胆な影まで対応します。
| 商品名 | ダーウェント グラフィック鉛筆 |
|---|---|
| 価格帯 | 200円〜 / 1本 |
| 特徴 | プロの要望に応える豊富な硬度展開 |
| 推奨用途 | 風景画・本格的なアート制作 |
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【コーイヌール】1500シリーズ|プロ御用達の欧州定番
チェコの老舗による、伝統的な製法を守り続ける鉛筆です。ドライで扱いやすい描き心地は、古典的なデッサン技法に非常にマッチします。
| 商品名 | コーイヌール グラファイト鉛筆 1500 |
|---|---|
| 価格帯 | 150円〜 / 1本 |
| 特徴 | 伝統的な配合による素朴で深い質感 |
| 推奨用途 | 古典技法・スケッチ |
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【パロミノ】ブラックウィング|唯一無二のデザインと芯
伝説的な鉛筆の復刻版で、特徴的な消しゴム付きの金具が目を引きます。芯が非常に柔らかく、独特の「書く喜び」を感じさせる一品です。
| 商品名 | ブラックウィング(Blackwing) |
|---|---|
| 価格帯 | 400円〜 / 1本 |
| 特徴 | 驚異的な滑らかさとデザイン性 |
| 推奨用途 | アイデアスケッチ・プレゼント |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
【北星鉛筆】アートセット|国内製造の高品質とコスパ
東京の老舗メーカーが手掛けるデッサン用セットです。手頃な価格ながら、国内自社工場での丁寧な作りが実感できる実力派です。
| 商品名 | 北星鉛筆 アートセット |
|---|---|
| 価格帯 | 1,200円〜 / 12本セット |
| 特徴 | コストパフォーマンスに優れた国産品 |
| 推奨用途 | 学生の練習・デッサン入門 |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
デッサン用鉛筆を比較する際の具体的な基準
芯の摩耗のしやすさを比較
デッサン用鉛筆を比較する際、意外と見落としがちなのが「芯の減るスピード(摩耗性)」です。特にB系の柔らかい鉛筆は、紙との摩擦で芯が急速に削れていきます。摩耗が激しい鉛筆は、頻繁に尖らせる必要があるため、制作のリズムが途切れやすいという側面があります。
しかし、一方で「摩耗しやすい=紙に黒鉛がしっかり乗る」ということでもあり、広い面積を素早く塗りつぶしたり、力強い影を入れたりする際には、適度に柔らかく摩耗しやすい鉛筆の方が有利に働きます。
逆に精密な細部を描き込みたい場合は、芯が硬く、尖った状態を長く維持できる耐摩耗性に優れた鉛筆を選ぶべきです。
各メーカーによって、同じ「2B」という表記でも、摩耗のしやすさは微妙に異なります。自分が一本の鉛筆をどれくらいの頻度で削っているかを意識し、作業効率と描写力のバランスが取れたブランドを見極めることが、快適な制作環境への第一歩となります。
グラファイトの光沢感を比較
鉛筆の主成分であるグラファイト(黒鉛)には、特有の金属光沢があります。デッサンにおいて、この「テカリ」をどうコントロールするかは非常に重要です。特定のブランド、特に日本の高品質な鉛筆は、粒子が細かく均一なため、塗り重ねた際に美しい艶が出る傾向があります。
これは金属やガラスなどの質感を表現する際には大きな武器になりますが、一方で、画面全体が光ってしまうと角度によっては絵が見えにくくなるという難点もあります。
逆に、欧州系のブランドの中には、意図的に光沢を抑えたマットな質感に仕上げているものもあり、これらは炭に近いような深い黒を表現するのに適しています。
近年では、ステッドラーの「マルスルモグラフ ブラック」のように、カーボンを配合して極限まで光沢を抑えた特殊なシリーズも登場しています。自分が求める完成画面が「しっとりと輝く上品な仕上がり」なのか、それとも「重厚でマットな質感」なのかによって、この光沢感の比較は非常に重要な基準となります。
描線の消しやすさを確認する
デッサンは「描いては消す」というプロセスの繰り返しであり、鉛筆の線の消しやすさは修正の容易さだけでなく、白抜きによるハイライト表現の質にも関わります。
一般的に、品質の高い鉛筆は紙の繊維の奥深くまで入り込みすぎず、消しゴムや練り消しゴム(ねりけし)を使った際に、跡を残さずきれいに消すことができます。しかし、安価な鉛筆や一部の特殊な芯は、紙に色が沈着しやすく、消そうとしても薄黒い跡が残ってしまうことがあります。
特に、硬い鉛筆で強く描いてしまった場合、紙に溝ができてしまい、その中の黒鉛を消すのは困難です。比較の際は、練り消しゴムを軽く押し当てただけでどの程度色が浮いてくるか、また、完全に消し去りたいときに紙を傷めずに白地に戻せるかを確認してください。
消しやすさに優れた鉛筆は、明暗の微調整が自在に行えるため、複雑な光の当たり方を描写する際に大きな助けとなります。自分の筆圧の強さと、使用する消しゴムとの相性も含めて比較検討することをお勧めします。
軸の持ちやすさと太さを比較
鉛筆を長時間握り続けて描画するデッサンにおいて、軸の形状や太さは手の疲労感に大きく影響します。デッサン用鉛筆の多くは、転がりにくく安定して握れる「六角軸」を採用していますが、ブランドによっては角の丸みや軸の直径に微妙な違いがあります。
例えば、わずかに軸が太いものは、軽い力で保持しやすいため、手の大きな方や筆圧をコントロールしたい方に適しています。逆に細めの軸は、ペンを持つような感覚で繊細な描写を行うのに向いています。また、軸の表面仕上げ(塗装の質感)も重要です。滑りにくいマットな塗装なのか、高級感のある艶出し塗装なのかによって、汗をかいた際の手の滑り具合が変わります。
さらに、軸に使われている木材の質も無視できません。良質なインセンスシダー(香杉)を使用した鉛筆は、削った際の断面が滑らかで、鉛筆削りやカッターでの加工がスムーズに行えます。自分の指の長さや握り方に最もフィットする軸を見つけることは、技術の向上と同じくらい大切な要素と言えるでしょう。
デッサン用鉛筆を使いこなすための注意点
芯が折れない削り方のコツ
デッサン用鉛筆は、一般的な事務用鉛筆とは異なり、カッターナイフを使って手で削るのが基本です。これには明確な理由があり、デッサンでは芯を長く露出させることで、寝かせて広い面を塗ったり、立てて細い線を引いたりと、一本で多彩な表情を出す必要があるからです。
削る際のコツは、木の部分を長く緩やかな斜面に整え、芯を1.5センチから2センチほど露出させることです。この際、芯自体を削るのではなく、木の軸を薄く剥ぐように進めるのがポイントです。芯の先端を尖らせる際は、カッターを動かすのではなく、鉛筆を指先で回転させながら、優しく撫でるように削ります。
芯が非常にデリケートなため、急いで力を入れすぎると、内部で目に見えない亀裂が入り、使用中に突然折れてしまう原因になります。また、芯の粉が画面を汚さないよう、削り終わった後はティッシュなどで軽く拭き取る習慣をつけましょう。手間はかかりますが、丁寧に削られた鉛筆は、それだけで描写の精度を高めてくれるはずです。
ケースによる衝撃対策の徹底
鉛筆の芯はグラファイトと粘土を焼き固めたもので、衝撃に対して非常に脆弱です。特にデッサン用の柔らかい芯は、机の上から一本落としただけでも、木軸の中で芯が粉々に砕けてしまうことがあります。
一度中で折れてしまった鉛筆は、いくら削っても芯がポロポロと抜け落ちてしまい、使い物にならなくなります。このような悲劇を防ぐためには、保管と持ち運びの際の衝撃対策を徹底することが不可欠です。
購入時の缶ケースや専用の布製ロールケースを使用し、鉛筆同士が中でぶつかり合わないように固定するのが理想的です。特に先端を長く出したデッサン特有の削り方をしている場合、キャップを装着して芯の先を保護することも重要です。
キャップを選ぶ際は、芯の先端がキャップの内側に当たらないよう、深さに余裕があるものを選んでください。高価な鉛筆を大切に使い切るためにも、道具を丁寧に扱うという意識を持つことが、安定した創作活動を支える基盤となります。
湿気による劣化を防ぐ保管
意外と知られていないのが、湿気が鉛筆に与える影響です。鉛筆の軸に使われている木材は、周囲の湿度に応じて水分を吸収したり放出したりする性質があります。極端に湿度の高い環境に長期間放置すると、木軸がわずかに膨張したり歪んだりすることがあり、それが原因で芯にストレスがかかって折れやすくなることがあります。
また、芯に含まれる粘土成分が湿気を帯びると、描き心地が重くなったり、紙への定着が悪くなったりする場合もあります。最高のパフォーマンスを維持するためには、直射日光を避け、風通しの良い乾燥した場所に保管することが推奨されます。
特に梅雨時期などは、密閉できるケースにシリカゲル(乾燥剤)を一緒に入れておくと安心です。また、長期間使わずに放置すると、木材が乾燥しすぎて芯との間に隙間ができることもあるため、適度に使用して状態をチェックしてあげるのが理想です。
道具を最適なコンディションに保つことは、常に一定のクオリティで描き続けるためのプロフェッショナルな心がけと言えます。
補助軸を利用した節約術
デッサン用鉛筆を使い込んでいくと、やがて短くなって手に持てなくなります。しかし、高品質な鉛筆を途中で捨ててしまうのは非常に勿体ないことです。そこで活用したいのが「補助軸(エクステンダー)」です。短くなった鉛筆を差し込むことで、新品同様の長さで最後まで使い切ることができます。
デッサンにおいては、鉛筆を長く持って大きなストロークを描くことが多いため、短くなった鉛筆でも十分な長さを確保できる補助軸は必須のアイテムと言えます。補助軸を選ぶ際の注意点は、自分が使っている鉛筆の軸の太さに合っているかどうかを確認することです。
ブランドによってはわずかに軸が太く、一般的な補助軸に入らない場合があるからです。また、金属製のものや木製のものなど、素材によって重心が変わるため、いくつか試して自分の手に馴染む重さのものを選ぶと良いでしょう。最後の一欠片になるまで大切に使うことで、道具への愛着も深まり、それは自ずと作品への向き合い方にも現れてくるはずです。
理想のデッサン用鉛筆を見つけて表現を広げよう
世界70か国で愛されるコピック!
ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。

