キャラクターのパーツやオリジナル雑貨を複製したいときに欠かせないのがシリコンでの型取りです。しかし、シリコンには非常に多くの種類があり、初心者の方はどれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。作りたい物の形状や素材、複製の回数によって最適なシリコンは異なります。まずは自分の目的に合った選び方の基準を知ることで、失敗を防ぎ、理想の形をきれいに再現しましょう。
シリコンで型取りするおすすめは「作りたい物」で選ぶと失敗しにくい
シリコン選びの第一歩は、自分が何を、何個作りたいのかを明確にすることです。例えば、フィギュアのような複雑な形と、平らなアクセサリーでは、適したシリコンの性質が異なります。価格だけで選んでしまうと、型がすぐに壊れてしまったり、原型がうまく抜けなかったりする原因になります。作業のゴールをイメージして、機能性を優先して選ぶのが成功の秘訣です。
1回だけの複製か量産かで向くシリコンが変わる
複製する回数は、シリコンの耐久性を決める大きな基準になります。1回だけ試しに作ってみたいのであれば、比較的安価な「縮合型シリコン」が向いています。縮合型は手に入れやすく扱いも簡単ですが、時間が経つと型がわずかに収縮したり、複製のたびに劣化が進みやすかったりする特徴があります。
一方で、10個、20個と同じものを量産したい場合は、耐久性に優れた「付加型シリコン」がおすすめです。付加型は収縮がほとんどなく、型の寿命が長いため、長期間にわたって精密な複製を続けることができます。ただし、原型や枠の素材によっては固まらなくなる「硬化阻害」という現象が起きやすいため、素材同士の相性を事前に確認する必要があります。
柔らかさと引き裂き強さで抜きやすさが決まる
原型の形状によって、シリコンの「硬さ(硬度)」と「引き裂き強さ」を意識して選びましょう。フィギュアのように突起物が多い、あるいは逆テーパー(奥が広がっている形)がある原型の場合、柔らかいシリコンでないと取り出すときに型がちぎれてしまいます。
引き裂き強さが高いシリコンは、無理な力がかかっても破れにくいため、複雑な形状の型取りに向いています。逆に、単純な円形や四角いプレートのような形状であれば、少し硬めのシリコンを選ぶと、レジンを流し込んだときに型が膨らまず、正確な寸法で複製できます。抜きやすさと型の安定感のバランスを考えることが大切です。
硬化時間と作業時間のバランスを見て選ぶ
シリコンが固まるまでの時間は、作業効率に大きく影響します。一般的には、主剤と硬化剤を混ぜてから固まり始めるまでの「可使時間(作業可能時間)」と、完全に固まって型から外せるようになる「硬化時間」があります。
初心者の場合は、可使時間が30分程度あるものを選ぶと、落ち着いて気泡を抜く作業ができます。逆に慣れてきた方や、短時間でたくさん型を作りたい場合は、数時間で硬化する速硬化タイプが便利です。ただし、固まるのが早すぎると気泡が抜ける前にシリコンが動かなくなってしまうため、自分の作業スピードに合ったものを選ぶようにしましょう。
透明・白・半透明は用途で使い分けできる
シリコンの色は、作業のしやすさに直結します。
- 白(不透明): 最も一般的で、混ぜ残しが確認しやすいです。
- 半透明: 中に気泡が残っていないか、原型の位置がずれていないかを確認できるため、失敗を減らせます。
- 透明: 中が完全に見えるため、2液を流し込む際の位置確認が非常に楽になります。
特に、型をカッターで切り開いて原型を取り出す「切り裂き法」を行う場合は、中の原型が見える透明や半透明タイプが必須です。また、UVレジンを型の中で固めたい場合は、光を通す透明シリコンを選ぶ必要があります。
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初心者でも扱いやすいシリコン型取りおすすめアイテム
これから型取りに挑戦する方や、より精度の高い複製を目指す方におすすめのアイテムを厳選しました。それぞれの特徴を表にまとめています。
RTV-2 MSR8450(耐熱万能型取りシリコーン)
非常にバランスが良く、多くのホビーユーザーに支持されている定番のシリコンです。流動性が高く、細かいディテールまでしっかり再現できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 縮合型(2液) |
| 特徴 | 耐熱性に優れ、低粘度で気泡が抜けやすい |
| 主な用途 | レジン、低融点合金の型取り |
| 公式サイト | 信越化学工業(関連製品) |
RTV-2 MSR8401(半透明タイプ)
中が透けて見えるため、2面取りの作業や、複雑な原型の位置確認がしやすいシリコンです。初心者の方が陥りやすい「原型の閉じ込めミス」を防げます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 縮合型(2液) |
| 特徴 | 半透明で視認性が高い、引き裂き強度が強い |
| 主な用途 | 精密フィギュア、切り裂き法による型取り |
| 公式サイト | 旭化成ワッカーシリコーン(代理店等) |
ELASTOSIL M4601A/B-30(ワッカー系RTV)
プロの原型師も愛用する、非常に高性能な付加型シリコンです。寸法精度が極めて高く、量産に適した耐久性を持っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 付加型(2液) |
| 特徴 | 収縮率が極めて低い、高い耐久性と柔軟性 |
| 主な用途 | 高精度な量産、複雑なパーツの複製 |
| 公式サイト | WACKER 公式サイト |
Smooth-On OOMOO 30(1:1で混ぜやすい)
海外で人気の高いシリコンで、主剤と硬化剤を「1対1」の容積比で混ぜるだけで使えるのが最大の特徴です。精密なデジタル計りがなくても失敗しにくいです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 縮合型(2液) |
| 特徴 | 計量が簡単、真空脱泡機なしでも気泡が抜けやすい |
| 主な用途 | 初心者の入門用、手軽な型取り |
| 公式サイト | Smooth-On 公式サイト(英語) |
型取くん(熱で柔らかくなる再利用タイプ)
シリコンではありませんが、お湯などで温めると柔らかくなるプラスチック状の素材です。失敗しても何度でも作り直せるため、小さなパーツの型取りに最適です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 熱可塑性樹脂 |
| 特徴 | 何度でも再利用可能、安価で手軽 |
| 主な用途 | 小さな欠損パーツの修復、簡易的な型取り |
| 公式サイト | 武藤商事(プラリペア関連) |
二液縮合型 型取り用RTVゴム(定番タイプ)
模型店などで古くから販売されている、最も手に入れやすいタイプのシリコンです。硬化剤の量を微調整することで、固まるスピードをある程度コントロールできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 縮合型(2液) |
| 特徴 | 安定した品質、比較的安価 |
| 主な用途 | 一般的なホビーの型取り全般 |
| 公式サイト | ウェーブ(WAVE)公式サイト |
型取り用シリコンの種類と選び方のポイント
シリコンには大きく分けていくつかの「型」や「方式」があります。これを知っておくと、カタログを見たときにどれが自分の用途に合うのかがすぐに判断できるようになります。特に硬化方式の違いは、作業環境や原型の素材選びに大きく関わるため、基本的な知識として押さえておきましょう。
1液と2液は扱いやすさが違う
市販されているシリコンには、そのまま使える「1液タイプ」と、混ぜて使う「2液タイプ」があります。
- 1液タイプ: コーキング剤などのように空気に触れて固まるものが多く、手軽ですが、厚みのある型取りには向きません。表面の補修などに使われます。
- 2液タイプ: 主剤と硬化剤を混ぜることで化学反応を起こして固まるため、大きな型や深い型でも均一に硬化します。本格的な複製にはこの2液タイプを使用します。
縮合型と付加型で硬化のクセが違う
シリコン選びで最も重要なのが、この硬化方式の違いです。
- 縮合型(しゅくごうがた): 水分と反応して固まります。安価で、粘土や木材など幅広い素材の原型に使えますが、乾燥時にわずかな収縮が起こります。
- 付加型(ふかがた): 熱や化学反応で固まります。収縮がほとんどなく精密ですが、硫黄(粘土に含まれるもの)や水分、特定のゴム素材に触れると固まらなくなる「硬化阻害」を起こしやすいです。
硬度は「抜きたい形」で決める
シリコンの硬さは「硬度(ショアA)」という数値で表されます。
- 硬度10〜20(柔らかめ): フィギュアの髪の毛など、細かくて壊れやすいパーツに向いています。
- 硬度30〜40(標準): 最も汎用性が高く、型が歪みにくいです。
- 硬度50以上(硬め): 平面的なパーツや、型の外側を支える「バックアップ型」に適しています。
耐熱が必要なら用途を先に決めておく
低融点合金(メタルフィギュアなど)を流し込みたい場合は、耐熱温度を確認しましょう。通常のシリコンは200度前後まで耐えられますが、繰り返し熱い素材を流し込むと型がボロボロになります。耐熱シリコンであれば300度近くまで耐えられるものもあり、金属工芸のような用途でも長持ちします。
きれいに転写できる型取り手順とコツ
シリコンを流す前の準備が、仕上がりの8割を決めると言っても過言ではありません。原型に付着したゴミや、不十分な固定はすべて型の不具合として現れます。ここでは、初心者の方でも失敗を最小限に抑え、きれいに転写するための具体的なステップを解説します。
原型の固定と離型処理で仕上がりが安定する
まず、原型が動かないように土台へしっかりと固定します。固定が甘いと、シリコンを流したときに原型が浮き上がってしまい、型になりません。また、シリコンと原型がくっついて取れなくなるのを防ぐために「離型剤」を塗布します。スプレータイプをムラなく吹きかけ、筆で細かい溝まで伸ばすと、驚くほどスルッと抜けるようになります。
型枠は漏れない設計にしておく
シリコンを入れる枠は、ブロックやプラスチック板、あるいは紙コップなどで作ります。シリコンは意外と隙間から漏れやすいため、底面や角は粘土やテープでしっかりと目張りをしましょう。枠と原型の隙間は1cm程度確保するのが理想的です。近すぎると型の壁が薄くなって破れやすくなり、遠すぎるとシリコンを無駄に消費してしまいます。
混ぜ方は気泡を増やさない動きが大事
シリコンの攪拌(かくはん)は最も気をつかう工程です。空気を巻き込むようにかき混ぜると、大量の気泡が発生します。底から静かに持ち上げるように混ぜ、均一な色になるまでしっかり攪拌します。流し込む際は、一気にドバっと入れるのではなく、細い糸のように垂らしながら「一番低い場所」から徐々に満たしていくと、空気が逃げやすくなります。
脱型タイミングは早すぎない方が安心
「早く中を見たい」という気持ちを抑え、メーカーが指定する硬化時間は必ず守りましょう。表面が固まっているように見えても、中心部がまだ柔らかい状態で無理に外すと、型が歪んだり、原型の細かい部分が欠けたりします。冬場などの気温が低い時期は、指定時間よりも少し長めに置くのが失敗しないコツです。
シリコン型取りでよくある失敗と対策
どれだけ慎重に作業しても、時には失敗してしまうこともあります。しかし、失敗の原因はだいたい決まっています。よくあるトラブルの解決策を知っておくことで、次回の作業で同じミスを繰り返さないようにしましょう。
気泡が出るときは流し方と粘度を見直す
型の中に気泡が残ってしまうと、複製したときに余分な突起が出てしまいます。対策としては、以下の方法が有効です。
- 筆塗り: 最初に原型の表面にシリコンを筆で薄く塗ってから、残りを流し込みます。
- 高い位置から流す: シリコンを細くすることで、流れている間に気泡を潰せます。
- 低粘度タイプを選ぶ: サラサラとしたシリコンは自然と気泡が浮き上がってきやすいです。
べたつくときは計量ミスや温度が原因になりやすい
シリコンがいつまでもベタベタして固まらない場合、ほとんどが計量ミスです。特に硬化剤が1%や3%といった少量の場合、わずかなズレが致命傷になります。
- 対策: 0.1g単位で測れる電子秤を使いましょう。
- 温度: 室温が低すぎると反応が進みません。20度以上の部屋で作業し、冬場はこたつなどで少し温めると改善します。
破れやすいときは硬度と厚みが足りない
型を外すときにビリっと破れてしまうのは、シリコンの厚みが足りないか、硬度選びが間違っているサインです。複雑な形状の場合は「高強度タイプ」のシリコンを選びましょう。また、型の角などの力がかかる部分は、補強のためにガーゼをシリコンの層の間に埋め込むことで、耐久性を劇的に上げることができます。
うまく外れないときは抜け方向を作る
原型がガッチリ噛み合って抜けない場合は、原型の設計(抜きテーパー)を見直す必要があります。どうしても抜けない形の場合は、無理に引っ張らず、カッターで「パーティングライン(合わせ目)」に沿って少しずつ切り込みを入れ、型を2つに分割する「2面取り」に挑戦してみましょう。
シリコン型取りのおすすめは作業性と仕上がりで決めるまとめ
シリコン型取りは、自分の作品を形として残し、多くの人に届けるための素晴らしい技術です。最初は難しく感じるかもしれませんが、自分の「作りたい物」に最適なシリコンを選び、計量や攪拌などの基本を丁寧に行えば、驚くほど精密な型が出来上がります。
今回ご紹介したおすすめアイテムや選び方のポイントを参考に、まずは小さなパーツから挑戦してみてください。一度コツを掴めば、あなたの創作の幅は無限に広がります。失敗を恐れず、シリコンという素材が生み出す「複製」の楽しさをぜひ体験してください。
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