プラスチック製品を自分好みの色に塗りたいと思ったとき、アクリル絵の具はとても便利な道具です。しかし、プラスチックは表面が滑らかで水分を吸わないため、そのまま塗ると乾いた後にペリペリと剥がれてしまうことがよくあります。この記事では、初心者の方でも失敗せずにプラスチックをきれいに塗装するための下地作りのコツや、おすすめのアイテム、具体的な手順を詳しくご紹介します。
アクリル絵の具をプラスチックに塗るなら下地で差が出る
プラスチックにアクリル絵の具を塗る際、最も重要なのが「下地作り」です。キャンバスや紙とは異なり、プラスチックの表面には絵の具が引っかかるための凹凸がほとんどありません。そのため、塗装前の準備を怠ると、せっかくきれいに塗れても少しの衝撃で剥がれてしまいます。下地を整えることで、絵の具の定着力が格段に上がり、プロのような仕上がりに近づけることができます。
そのまま塗ると剥がれやすい理由がある
プラスチックの表面を顕微鏡レベルで見ると、非常に密度が高く滑らかな状態になっています。アクリル絵の具は水溶性の樹脂でできていますが、乾く過程で表面に吸着しようとする際、プラスチックのように水を弾く素材にはうまく食い込むことができません。これが、乾燥後に膜のように剥がれてしまう主な原因です。
また、プラスチック製品の製造過程で使用される「離型剤」や、私たちが触れた際に付着する「皮脂」も、絵の具の天敵です。これらの油分が表面に残っていると、絵の具が弾かれてしまい、ムラや剥がれをさらに引き起こしやすくします。ただ塗るだけでは、絵の具がプラスチックの表面に「乗っているだけ」の状態であり、結合しているわけではないという点を理解しておく必要があります。
さらに、アクリル絵の具は乾燥すると硬い塗膜を作りますが、プラスチック自体は気温の変化などでわずかに伸縮したり、力が加わるとしなったりします。この素材自体の動きに絵の具がついていけないことも、剥がれを助長する要因となります。これらの課題を解決するために、物理的な加工や化学的なプライマー処理が必要になるのです。
定着しやすい素材としにくい素材がある
一言でプラスチックと言っても、その種類は多岐にわたります。素材によって絵の具の定着しやすさは大きく変わるため、自分が塗ろうとしているものが何の素材かを知ることは非常に大切です。一般的に、プラモデルなどで使われる「スチロール樹脂(PS)」や「ABS樹脂」は比較的塗料が馴染みやすい部類に入ります。
一方で、非常に定着が難しいのが「ポリエチレン(PE)」や「ポリプロピレン(PP)」です。これらは家庭用のタッパーや収納容器、おもちゃによく使われていますが、表面エネルギーが低く、通常の絵の具や接着剤を強力に弾いてしまいます。これらの素材に塗る場合は、専用の超強力プライマーを使用するか、表面をガスバーナーで一瞬炙るなどの高度な処理が必要になる場合もあります。
最近では、ペットボトルに使われる「ポリエチレンテレフタラート(PET)」を工作に使うことも多いですが、これも非常に滑らかで剥がれやすい素材です。自分が扱っている素材が何であるかは、製品の裏側にあるリサイクルマークや刻印で確認できます。素材に合わせた下地処理を選択することが、成功への第一歩となります。
仕上がりはツヤと発色で変わりやすい
下地の状態は、最終的なツヤや発色にも大きな影響を与えます。プラスチックにそのまま透明度の高いアクリル絵の具を塗ると、下地の色が透けてしまい、思ったような発色が得られないことがあります。特に濃い色のプラスチックに明るい色を塗りたい場合、そのままでは何回重ね塗りをしてもきれいな色が出ません。
ここで役立つのが、不透明な下地材である「サーフェイサー」や「ジェッソ」です。これらを先に塗ることで、プラスチック自体の色を隠蔽し、絵の具が持つ本来の発色を助けてくれます。下地を白やグレーで均一に整えておけば、その上に塗る色の鮮やかさが格段に向上します。
また、ツヤのコントロールも下地次第です。表面がザラザラした状態で塗るとマット(艶消し)な質感になり、滑らかに整えてから塗ると光沢が出やすくなります。自分が目指す完成図に合わせて、下地を作る段階から「表面の滑らかさ」を意識することが、美しい仕上がりを実現するためのポイントです。
長持ちさせるなら保護まで考える
アクリル絵の具は一度乾けば水に強くなりますが、プラスチック上では摩擦に弱く、爪で引っかいただけで傷がつくことがあります。特に日常的に手で触れる雑貨や、動かして遊ぶ模型などの場合、塗装した直後の状態を維持するのは困難です。そのため、塗装の最終工程として「保護」の考え方が欠かせません。
保護の基本は、トップコート(ニスやクリヤースプレー)を施すことです。絵の具の層の上に透明な樹脂の膜を作ることで、物理的な摩擦や紫外線による退色から作品を守ります。ツヤあり、ツヤ消し、半ツヤなど、保護材の種類によって全体の質感を微調整することも可能です。
長持ちさせるための保護は、塗膜を「サンドイッチ」にするイメージで行うと効果的です。一番下に「プライマー(密着材)」、真ん中に「絵の具(着色層)」、一番上に「トップコート(保護層)」という構造を作ることで、プラスチックという難しい素材の上でも、剥がれにくく丈夫な塗装を完成させることができます。
「漫画で何を伝えるべきか」がわかる本!
著名な先生方のお話が満載で充実の一冊。
プラスチックに塗るときに役立つおすすめアイテム
プラスチック塗装の成否を分けるのは、道具選びです。2026年現在、DIYやホビーの分野で高く評価されている、アクリル絵の具を強力に密着させるためのアイテムをご紹介します。
染めQ プライマー ミッチャクロン マルチ
「とにかく剥がれない」ことで有名な、プロも愛用する密着剤です。通常は絵の具が乗らないような難密着素材に対しても、驚異的な定着力を発揮します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特徴 | ペーパー掛け不要で、素材に直接スプレーするだけ |
| 対応素材 | プラスチック全般(PP含む)、金属、ガラスなど |
| メリット | 透明なので下地の色を活かせる |
| 公式サイト | 染めQテクノロジィ ミッチャクロン |
アサヒペン プラスチック用プライマー(クリヤ)
家庭用塗料の大手、アサヒペンが展開するプラスチック専用の下塗り材です。手軽に入手でき、アクリル絵の具との相性も抜群です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特徴 | スプレータイプで均一に塗りやすい |
| 対応素材 | ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等 |
| メリット | 塗料の密着性を高め、剥がれを防止する |
| 公式サイト | アサヒペン プラスチック用プライマー |
ニッペ マルチミッチャクプライマー
幅広い素材に対応し、アクリル絵の具の上塗りをスムーズにするプライマーです。速乾性に優れており、作業効率を上げたい方に適しています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特徴 | 臭いが少なく、室内でも使いやすい(要換気) |
| 対応素材 | 硬質塩ビ、アクリル、ABSなど |
| メリット | 塗膜が薄く、造形を崩さない |
| 公式サイト | ニッペホームプロダクツ 商品一覧 |
タミヤ ファインサーフェイサー(プラスチック&メタル用)
模型制作の定番アイテムです。小さな傷を埋めながら、絵の具の食いつきを良くする下地を作ります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特徴 | 粒子が非常に細かく、滑らかな仕上がりになる |
| 色 | ライトグレー、ホワイトなど(発色を助ける) |
| メリット | 成型色の隠蔽力が高く、発色がきれいになる |
| 公式サイト | タミヤ メイクアップ材シリーズ |
リキテックス アクリリック(制作向けアクリル絵の具)
世界的に有名なアクリル絵の具ブランドです。プラスチックへの定着を助ける「グロスメディウム」などと混ぜて使うことで、より強固な塗膜を作れます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特徴 | 発色が鮮やかで、色の種類が非常に豊富 |
| 種類 | レギュラー、ソフト、ガッシュ等 |
| メリット | メディウム類が充実しており、カスタマイズ性が高い |
| 公式サイト | リキテックス 公式サイト |
ターナー アクリルガッシュ(不透明でムラが出にくい)
不透明度が高く、プラスチックの下地を隠す力が強い絵の具です。マットな質感に仕上がり、デザイン的な塗装に向いています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特徴 | 乾くと耐水性になり、重ね塗りがしやすい |
| 仕上がり | ベルベットのような落ち着いたマット感 |
| メリット | 筆跡が残りにくく、広い面もきれいに塗れる |
| 公式サイト | ターナー色彩 アクリルガッシュ |
水性クリヤースプレー(トップコート用)
塗装の最後にかける保護スプレーです。アクリル絵の具の層を溶かさない「水性」タイプを選ぶのが失敗しないコツです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特徴 | 塗膜を保護し、光沢やマット感を統一する |
| 注意点 | 完全に乾いた後に使用すること |
| メリット | 摩擦や汚れから作品を強力にガードする |
| 公式サイト | GSIクレオス 水性ホビーカラー トップコート |
失敗しにくい塗り方の手順とコツ
道具が揃ったら、次はいよいよ実践です。プラスチック塗装の失敗の多くは、手順を飛ばしてしまうことにあります。特に「洗う」「削る」「待つ」という、塗る前の工程こそが成功の鍵を握っています。丁寧なステップを踏むことで、後から後悔しない丈夫で美しい塗装を目指しましょう。
洗浄と脱脂で手油を落としておく
まずはプラスチックの表面を徹底的にきれいにすることから始めます。新品のプラスチックであっても、製造時の離型剤(金型から抜きやすくするための油)が付着していることが多いため、これを落とさない限り絵の具は定着しません。
中性洗剤を薄めた水で、柔らかいスポンジやブラシを使って優しく洗います。細かい凹凸がある場合は、使い古した歯ブラシを使うと便利です。洗った後は、洗剤が残らないようにしっかりすすぎ、自然乾燥させるか、清潔な布で水分を拭き取ります。
さらに完璧を目指すなら、市販の「シリコンオフ」や「エタノール」を使って拭き取る「脱脂」作業を行います。これにより、目に見えない皮脂汚れまで完全に除去できます。この工程以降は、塗装面に直接手で触れないように、使い捨てのニトリル手袋などを着用して作業することをお勧めします。
足付けで表面に細かい傷を作る
洗浄が終わったら、次は「足付け」という作業を行います。これは、プラスチックの滑らかな表面に、あえて細かい傷をつける工程です。傷ができることで、絵の具がその溝に入り込み、物理的な引っかかり(アンカー効果)が生まれて剥がれにくくなります。
使用するのは「400番〜800番」程度の紙やすり(耐水ペーパー)です。表面のツヤが消え、全体がうっすらと白く曇る程度まで全体をまんべんなく擦ります。力を入れすぎると深い傷が残ってしまい、塗装後もその跡が見えてしまうため、優しく円を描くように動かすのがコツです。
足付けが終わると、プラスチックの粉が出るので、再度水洗いするか、ダスターなどで丁寧に取り除いてください。この一手間を加えるだけで、プライマーや絵の具の食いつきが驚くほど良くなります。
プライマーは薄く均一に入れる
下地処理の仕上げとしてプライマーを塗布します。プライマーはプラスチックと絵の具を繋ぐ「接着剤」のような役割を果たします。ここでの最大の注意点は、「一度に厚塗りしないこと」です。
スプレータイプの場合、対象物から20〜30cmほど離し、空中で吹き始め、シュッシュッと素早く動かしながら薄く霧をかけるように吹き付けます。一度で完璧に覆おうとすると、液だれの原因になったり、プラスチックを溶かしてしまったりすることがあります。「薄く塗って、数分乾かして、また薄く塗る」という作業を2〜3回繰り返すのが理想的です。
プライマーが乾くと、表面がわずかにベタついたり、質感が変わったりします。これが絵の具をキャッチする準備が整ったサインです。各メーカーが指定する乾燥時間を守り、完全に落ち着いてから次の着色工程に進みましょう。
重ね塗りは乾燥時間をしっかり取る
アクリル絵の具で色を乗せていく際、プラスチックの上では絵の具が乾燥するまで非常に不安定です。一度に濃い色を出そうとして厚塗りをすると、中が乾かずに表面だけが固まり、後からシワが寄ったり剥がれたりする原因になります。
基本は「薄塗りの重ねがけ」です。水で適度に薄めた絵の具を、一方向に筆を動かして薄く塗り広げます。一度目はムラがあっても構いません。完全に乾いてから、二度目、三度目と重ねていくことで、ムラのない深みのある発色に仕上がります。
特にプラスチック塗装では、水分量に注意してください。水が多すぎるとプラスチック表面で弾かれ、少なすぎると筆跡が強く残ってしまいます。「少しトロッとする程度」の濃度を保ち、一段階ずつ確実に乾燥させる忍耐強さが、仕上がりの美しさを左右します。
よくあるトラブルと仕上げの工夫
塗装が終わった後に「なんだかイメージと違う」「触るとベタベタする」といった問題が起きることがあります。これらはアクリル絵の具の特性とプラスチックの相性によるものがほとんどです。原因を知っていれば対策は簡単ですので、慌てずに対処していきましょう。
ベタつくときは乾燥不足と厚塗りが多い
塗装が終わって数日経っても、触ると指紋がついたり、ペタペタとした粘着感があったりすることがあります。これは、絵の具の層が厚すぎて内部の水分や溶剤が抜けきっていないか、高い湿度の環境で乾燥させたことが主な原因です。また、プラスチックの成分と絵の具が化学反応を起こしている可能性もあります。
まずは、風通しの良い乾燥した場所でさらに数日間放置してみてください。それでも改善しない場合は、一度トップコートを吹くことで表面をさらっとさせることができます。ただし、内部が完全に未乾燥のまま閉じ込めると、後で気泡が出ることがあるため、まずは十分に「待つ」ことが大切です。
もし特定の場所だけがいつまでもベタつく場合は、その部分だけ絵の具を落とし、下地処理からやり直すのが確実です。厚塗りを避け、極薄の層を積み重ねることで、このベタつきトラブルの多くは回避できます。
ムラが出るときは筆と水分量を見直す
プラスチックの広い面を塗る際、筆跡が目立ったり、色が濃い場所と薄い場所ができてしまう「ムラ」に悩まされることがあります。これはプラスチックが水分を全く吸わないために、絵の具が筆の動きに合わせて偏ってしまうからです。
対策としては、まず筆を柔らかいナイロン製のものに変えてみてください。硬い筆はプラスチック上の絵の具を削り取ってしまい、ムラを強調させます。また、水で薄める代わりに「リターダー(乾燥遅延剤)」を混ぜると、絵の具がゆっくり乾くようになり、その間に筆跡が馴染んで平らになる「レベリング」という現象が起きやすくなります。
さらに、一方向に塗るだけでなく、一度目が乾いたら次はそれに対して「垂直」の方向に重ねる「クロスハッチング」のような塗り方をすると、ムラを効果的に消すことができます。焦らず、薄い層を交互に積み重ねていきましょう。
剥がれるときは下地と塗膜の相性を疑う
完成後に少し触れただけでペロッと剥がれてしまう場合、下地処理のどこかに不備があったと考えられます。特に「洗浄・脱脂」が甘かったり、プライマーが素材に合っていなかったりすることが多いです。また、足付けのやすり掛けが甘く、表面がツルツルのままだった可能性も高いでしょう。
このような場合、部分的に補修をしても、いずれ他の場所も剥がれてしまうリスクがあります。残念ですが、一度すべての塗装を剥離剤やアルコールで落とし、最初からやり直すのが最も確実な道です。
再挑戦する際は、前回よりも入念にやすり掛け(足付け)を行い、ミッチャクロンのようなより強力なプライマーに変更することを検討してください。素材との相性は実際に試してみないと分からない部分もあるため、目立たない場所で事前にテストを行う習慣をつけると失敗を減らせます。
仕上げはクリヤーで保護すると安心
塗装が完璧に仕上がったら、最後は必ずクリヤー(透明)のトップコートで保護しましょう。アクリル絵の具は乾燥後も湿度や温度によってわずかに軟化することがあり、そのまま放置すると埃を吸い込んで取れなくなってしまうことがあります。
スプレータイプのトップコートは、作品全体に均一な膜を作り、見た目を整えるだけでなく、耐久性を飛躍的に高めます。この際、必ず「水性」または「アクリジョン」などの表記がある、下地の絵の具を侵さないものを選んでください。強力なラッカー系のスプレーをいきなり吹きかけると、アクリル絵の具が溶け出してしまう失敗があるため注意が必要です。
また、仕上げに「ツヤ出し(グロス)」を選ぶか「ツヤ消し(マット)」を選ぶかで、作品の表情は大きく変わります。キャラクターものならツヤ消しで質感を落ち着かせ、メカや宝石のような表現ならツヤ出しで輝きを強調するなど、最後の仕上げを楽しんでください。
アクリル絵の具でプラスチックをきれいに塗るまとめ
アクリル絵の具を使ったプラスチック塗装は、一見難しそうに思えますが、基本となる「洗浄・足付け・プライマー」の三原則を守れば、誰でも驚くほどきれいに仕上げることができます。プラスチックという滑らかな素材の特性を理解し、絵の具がしっかりと掴まれる「足場」を作ってあげることが、何よりも大切な成功の秘訣です。
便利なプライマーや高品質なアクリル絵の具、保護材など、2026年現在の優れた道具たちはあなたの表現を強力にバックアップしてくれます。手順を一つひとつ楽しみながら、焦らず丁寧に作業を進めてみてください。自分だけの色に染まったプラスチック製品は、既製品にはない愛着と満足感を与えてくれるはずです。さあ、あなたも自分だけのオリジナル作品づくりに挑戦してみましょう。
Would you like me to help you with anything else? (Note: I kept the “Would you like me to” out of the code block as per your request). Would you like me to provide a list of specific color mixing tips for plastic projects next?
世界70か国で愛されるコピック!
ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。

