夜空を描くときは、色のつながりと境目の柔らかさが肝心です。ここでは道具の選び方から塗り方、星の入れ方まで、グラデーションを失敗しない手順で紹介します。初心者でも取り組みやすい最小限の道具や塗り順、乾き具合の見極め方などをわかりやすくまとめました。写真を見ながら試すような感覚で、少しずつ色の深まりを楽しんでください。
夜空を絵の具でグラデーションに描くコツと失敗しない手順
必要な道具を最小限に揃える
夜空を描くために最低限そろえたい道具は次の通りです。紙かキャンバス、青系の絵の具数色、柔らかい平筆と丸筆、スポンジ、パレット、水入れ、そして布やティッシュです。道具は多ければ便利ですが、まずは少数で基本を押さえると失敗が減ります。
筆は平筆で大きな面を塗り、丸筆で境目や星を描くと使い分けが簡単です。スポンジは雲や淡いグラデーションに向いています。水は塗料の濃度調整に使うので、別の容器に用意すると作業がスムーズです。布は筆のふき取りや境目の調整に役立ちます。
紙なら水彩用の厚手、中厚のキャンバスならアクリル向きです。はじめは手持ちの少ない色で構いません。まず薄く広く塗って色のつながりを確認する習慣をつけると、後で色を重ねるときに失敗しにくくなります。
色の並びと塗る順番を決める
グラデーションは色の並びと塗る順序が大事です。まず明るい色から暗い色へ、あるいは遠景から手前へというように、どこを暗くするかを決めてから塗り始めます。一般的には地平線付近を明るめにし、上に向かって濃い青や紫へつなげると自然に見えます。
塗る順番は大きな面をまず薄く引き、乾き具合を見ながら段階的に重ねます。ウエットオンウエットで滑らかにつなげたい場合は、隣り合う色がまだ湿っているうちに境目をぼかします。逆に部分的に深みを出したいなら一度乾かしてから暗い色を上から重ねます。
色の配置を決めるときは、試し塗りをしてから本番に移ると失敗が減ります。紙の端などで色の関係性を確認してから画面に入れていくことをおすすめします。
ウエット状態を保って滑らかにぼかす
グラデーションで滑らかさを出すには、塗る場所のウエット状態をコントロールすることが重要です。隣り合う色をぼかす場合は、両方がまだ湿っているうちに大きめの平筆で軽く刷くと自然につながります。筆の往復は少なめにして、摩擦で色が濁らないように注意します。
水分が多すぎると色が流れてしまうので、筆先の含み具合を布で調整してください。乾きかけのタイミングでぼかすと段差ができるので、タイミングは早めに試して覚えましょう。スポンジを使うとムラが出にくく、柔らかい境目を作りやすくなります。
塗りながら部分的に拭き取って明るさを調整する方法も有効です。軽く押さえるようにすると色が薄まり、自然なハイライトや雲の表現につながります。
星や光を最後に自然に足す
星は最後に加えることで、グラデーションの色味を崩さずに自然な浮かび上がりを作れます。細い筆で一点ずつ描くのも良いですが、スプラッターで散らすと自然な星座感が出ます。スプラッターは絵の具を適度に薄め、筆の先をはじくようにして飛ばします。
大きさを分けると立体感が出ます。小さな点を基調にして、数個だけ少し大きめの光を入れると遠近感が増します。ミルキーウェイのような帯状の光は、薄い白を何度か重ねてぼかすと透け感が出ます。
最後に全体のバランスを見て、必要なら薄く色を重ねて調整します。絵の具が完全に乾いたら保護のためのフィニッシュを施すと、色褪せを抑えられます。
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準備する画材と道具の選び方
用紙やキャンバスの違いと向き不向き
紙とキャンバスはそれぞれ特性が違います。水彩紙は水の保持力が高く、ウエットオンウエットで滑らかなぼかしがしやすいので、水彩的な夜空に向いています。厚手のコットン混の紙はにじみが美しく出ますが、表面がデリケートなので強くこすらないことが必要です。
キャンバスはアクリルや油彩向けで、表面の粗さがテクスチャーとして働きます。アクリルで厚塗りや重ね塗りを繰り返す場合はキャンバスが扱いやすいです。木枠に張られたキャンバスは大きなサイズでもたわみにくく、展示向きの作品作りに適しています。
薄い紙やペーパーボードは扱いやすく試作に向いていますが、多量の水を使うと反りや波打ちが出るため、板に固定するか重しを使って平らに保つ工夫が必要です。
アクリルと水彩のそれぞれの利点
アクリルは乾きが早く、色の上塗りがしやすい特徴があります。乾燥後は水に溶けないため、重ね塗りで深みを作るのに向いています。発色が良く、暗い青や紫を濃く出したいときに便利です。乾きが早い分、ウエットでつなげる作業は短時間で行う必要があります。
水彩は透明感が魅力で、薄い層を重ねることで柔らかな夜空が表現できます。にじみを活かして自然な色の移ろいを作りやすく、ミルキーウェイのような淡い表現にも適しています。ただし重ねすぎると紙が痛むので、紙選びと水分管理が重要です。
作品の仕上がりイメージに合わせて使い分けると良いでしょう。両者を併用する場合は下地との相性を確認してから行ってください。
使いやすいブラシの種類と用途
平筆は広い面を均一に塗るのに向いています。大きめの平筆で背景の基礎色を一気に塗ると、ムラが出にくくスピーディーです。丸筆は境目のぼかしや星の点描、細い線の表現に便利です。細部の修正や光筋の描写に使います。
ファンブラシは柔らかなストロークで雲や淡い星雲を作る際に役立ちます。フラットとラウンドを数本揃えておくと、描きたい形に合わせて使い分けができます。ブラシは用途ごとに濡れ具合や含みを調整し、使い終わったらしっかり洗って形を整えて保管してください。
スポンジや布で作る柔らかいぼかし
スポンジは不規則なテクスチャーを出すのが得意で、夜空のムラや雲を柔らかく表現できます。丸く切った小さめのスポンジを使うと狙った範囲だけに色を乗せやすくなります。布は筆のように滑らかに広げる役割があり、軽く押さえるだけで境目が自然に溶けます。
スポンジや布は力の入れ具合で表情が変わるため、試し押さえをして調子を確かめてください。クロスの端を折って使うと細かい調整がしやすくなります。乾いた布で拭き取ることでハイライトを作ることも可能です。
パレットとメディウムの選び方
パレットは色の混ぜやすさを重視して選びます。浅めの容器は少量混色に便利で、深めのパレットは大量に色を調整するときに使えます。アクリル用のメディウムは乾きを遅くするものや艶を調整するものがあり、作業時間や仕上がりの質感をコントロールできます。
水彩では透明度を保つために透明な混色で濃度を調節します。メディウムを使う際は少量から試して、色味や乾燥時間が変わる点に注意してください。パレットはこまめに掃除すると劣化や色残りを防げます。
作業場所の照明と水の管理
作業場所は自然光が理想ですが、安定した人工照明でも問題ありません。昼夜問わず均一な色味で見るために、昼白色のライトを使うと色の判断がしやすくなります。光源は作業スペースの影にならない位置に置いてください。
水は清潔なものを用意し、濁ってきたら交換します。筆洗い用と希釈用で容器を分けると作業がスムーズです。床や机の保護シートを敷き、換気を良くすることで塗料の臭い対策にもなります。
色選びと混色の基本
夜空に使う基本の青系セット
夜空には深みのある青系を中心に揃えると表現がしやすくなります。具体的にはシアン系の明るい青、ウルトラマリンやプルシャンブルーのような中間の青、そして深みを出すための濃いネイビーブルーがあると便利です。これらを薄めたり混ぜたりしてグラデーションを作ります。
白はハイライトや星、薄い帯状の光を作るのに必須です。紫寄りの色を少量加えると夜空の冷たさと深みが増します。赤やオレンジはアクセントとして地平線付近や薄雲の色味に少しだけ使うと温度差が出ます。
色数を増やすよりも、手元の数色を混ぜてバリエーションを出す作業を重視すると調和した仕上がりになります。
暗色へのつながりを作る色の順番
グラデーションを自然に見せるには、色を繋ぐ順番を意識します。明るい青から徐々にトーンを落とし、紫、深い青へと移行すると違和感が少なくなります。色を隣り合わせにするときは、共通する色味を含めるとつながりがスムーズです。
例えば中間の青と紫を混ぜた色を境目に置くことで、直接明るい青から濃紺に跳ぶのを防げます。色の順番を決める際は、紙の端でグラデーションを試してから本画面に反映すると失敗が少なくなります。
紫や赤を自然に溶け込ませる方法
紫や赤はアクセント色として有効ですが、入れ方を誤ると浮いてしまいます。薄く溶いた色を下地に少量乗せ、周囲の青と素早くぼかしてなじませると自然になります。ポイントは薄めに使い、重ねて濃くするよりも最初に淡く置いてから調整することです。
暖色を使う場合、地平線近くや雲の端など限定した範囲に入れると全体のバランスが取りやすくなります。紫は上空の冷たさとして少量混ぜると深みが増します。
黒を使わずに深みを出すテクニック
黒を使わずに深さを出すには、複数の暗色を重ねる方法が有効です。ネイビーブルー、バーントアンバー、プルシャンブルーなどを少しずつ混ぜると、自然で豊かな暗さが生まれます。黒は色味を失いがちなので、代わりに濃い青と茶系を混ぜると温度感のある深みが出ます。
透明性のある絵の具を薄く重ねることで層ごとの色合いが見え、奥行き感が増します。光の当たる部分は薄めの色で残すと立体感が出ます。
色が濁らないための塗り方の工夫
色が濁る原因は、異なる色を強く混ぜすぎることや筆の往復で色同士が乱暴に混ざることにあります。濁りを防ぐには、隣り合う色を少量ずつ重ね、境目で軽くぼかす程度に留めることが大切です。筆を引きずらずにワンストロークでつなぐとクリアな発色が保てます。
混色するときは常に少量で試し、必要なら新たに色を作り直すと良いでしょう。パレット上での混色が濁りやすい場合は、紙の角で薄く試してから画面に入れてください。
段階別の塗り方で夜空を作る
下地で大まかな明暗を作る
まずは画面全体の明暗配置を決めるために薄い下地を塗ります。地平線付近を明るめ、上空を暗めにするなどの大まかなトーンを作ると作業が進めやすくなります。下地は薄く一度塗るだけで構いません。
下地で明暗差をつけると、その後の色重ねで奥行きが出ます。乾燥を待つ時間は短めにし、次の工程に移るタイミングを見極めてください。
ウエットオンウエットで滑らかに繋ぐ
下地が湿っているうちに隣り合う色を入れてぼかすウエットオンウエットは、グラデーションを滑らかにする代表的な手法です。大きめの平筆で色を繋ぎ、境目を少しずつ薄めながら馴染ませます。筆は軽く、動きは一定にするとムラが出にくくなります。
水分管理が肝心なので、筆の含みやパレットの濃度を調整してください。作業は手早く行うときれいに仕上がります。
乾いてから重ねて深みを出す手順
一度乾かしてから暗い色を上に重ねると、コントラストがはっきりして深みが増します。乾いた面に薄く色を重ねることで層が生まれ、光と影の関係が明確になります。重ねる際は部分ごとに濃度を調整して、ムラが出ないようにしましょう。
この段階で星の位置や光の強さもイメージしながら調整すると、仕上がりがまとまります。
スポンジとブラシの使い分け例
広い面を滑らかに塗るときは平筆や大きめのブラシが向いています。雲や淡いムラを作るときはスポンジでトントンと乗せるように使うと自然な表現になります。細部や光筋は細い丸筆で行うとコントロールしやすいです。
スポンジは強く押しすぎると不自然になるので、力加減を意識して使ってください。ブラシと併用すると表情の幅が広がります。
ムラを防ぐ塗り移しのコツ
ムラを防ぐには、筆の動きを一定にし、含みを均一にすることが大切です。色をつなぐときは小刻みに往復するのではなく、一方向に伸ばすようにするとラインが滑らかになります。必要なら途中で布で軽く押さえて余分な絵の具を取り除きます。
乾きムラができたら、部分的に軽く濡らして再度ぼかすと目立たなくなります。重ね塗りは薄く行うことを心がけてください。
遠近感を出す色と明るさの配置
遠くの空は薄く淡い色、近い部分は濃く鮮やかな色にすると遠近感が出ます。地平線付近にやや暖かい色を置き、上空を冷たい濃色でまとめると奥行きが生まれます。星の密度を上に行くほど多くするなど、明るさと配置で距離感を演出してください。
空の広がりを意識してグラデーションを作ると、鑑賞者に広がりを伝えやすくなります。
雰囲気を高める仕上げ技と星の描き方
スプラッターで星を散らす手順
スプラッターは星を自然に散らすのに便利な技法です。白や薄い淡色を少し水で薄め、筆の先を別の指で弾いて飛ばします。紙や床に飛び散らないようにマスキングを行うと安心です。
勢いを調整して小さな点からやや大きめの点まで混ぜると立体感が出ます。飛ばす角度や距離を変えることで星の密度感をコントロールできます。
小さな光と大きな星の描き分け
星の大きさによる描き分けは、遠近感を強調するのに役立ちます。小さな星は細筆で点を打ち、大きな星は筆先を少し押し付けて光芒を作ると効果的です。中心を濃く、周辺を薄くすることで点光源らしい輝きを表現できます。
数個だけ明るい星を強調すると画面に焦点が生まれ、バランスが取りやすくなります。
ミルキーウェイの柔らかな表現方法
ミルキーウェイは帯状の淡い光を連続で作る作業です。白を薄く溶いて、スポンジや乾いたブラシで軽く叩いてぼかしながら帯状に乗せます。層を薄く重ねることで透け感が出ます。
仕上げに周囲をさらに薄くぼかすと、夜空に溶け込む自然な帯が生まれます。中心を微かに明るくすると強弱が出ます。
流れ星や光筋の筆使いのコツ
流れ星や光筋は、細い丸筆で一気に引くのがコツです。中心を少し強めに置き、尾に向かって筆圧を抜きながら引くと流れが出ます。軽いスピード感を持って描くと自然な動きが表現できます。
尾をぼかしたいときは、描いた直後に乾いた柔らかい筆で数回なぞると馴染みます。
仕上げの保護と光沢処理の方法
絵の具が完全に乾いたら、作品を保護するためにフィキサチフやクリアワニスを使うと色褪せやホコリから守れます。マット仕上げと光沢仕上げで印象が変わるため、好みに合わせて選んでください。薄く均一にスプレーするか、刷毛で塗る方法があります。
保護処理は換気の良い場所で行い、複数回に分けて薄く塗るとムラになりにくいです。
夜空のグラデーション作りのまとめ
夜空のグラデーションは、道具をそろえ、色の順番とウエット管理を意識することで安定して描けます。下地で明暗を作り、ウエットオンウエットで滑らかにつなぎ、乾いた後に重ねて深みを出す工程を踏むと失敗が減ります。
星や光は最後に加えて、スプラッターや筆さばきで変化をつけると画面に奥行きが生まれます。まずは少ない色で練習して、徐々に自分好みの配色や表現を見つけてください。
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