絵の具で黒を作るのは思ったより簡単です。手持ちの色を組み合わせるだけで、深みや温度感の違う黒が作れます。ここでは基本的な考え方と、画材別の注意点、具体的な割合や調整テクニックまで、短時間で使える情報をわかりやすくまとめます。初心者でも試しやすい方法を中心にお伝えしますので、実際の制作の参考にしてください。
絵の具での黒の作り方がすぐ分かる簡単レシピ
絵の具で黒を作るときは、単純に黒を混ぜるのではなく、色味と明度をコントロールすることが大切です。まずは手元にある代表的な色で代替できるか試してみましょう。深みが必要なら青や茶を中心に、少し温かさを出したいなら赤や黄を少量足します。混ぜる量は少しずつ増やして色味を確かめながら進めてください。
混色の基本は「少しずつ混ぜる」ことです。色を加えるたびに見え方が変わるので、必ず少量で試してから本番に使います。パレット上でテスト塗りをすると乾燥後の変化も確認できます。短時間で黒を作るためのコツは、最初から濃い色を多用せず薄めの色を層にして確認することです。
使いやすいレシピとしては、青(ウルトラマリンなど)とブラウン系を半々から調整する方法、赤緑の補色を合わせる方法、シアン・マゼンタ・イエローの三原色を微調整する方法があります。後半で具体的な割合目安や手順を紹介しますので、そちらを参考にしてみてください。
まずは青と茶を混ぜる
青と茶を混ぜると扱いやすい中性的な黒ができます。青は色相の冷たさ、茶は温かみと深みを与えるので、そのバランスで黒の印象が決まります。まずは青:茶を1:1から始め、青寄りにしたいときは少し青を増やし、温かみを出したいときは茶を増やします。
パレットで混ぜるときは、少量ずつ混ぜるのがポイントです。混ぜすぎると灰色っぽくなりやすいので、二色の比率を確認しながら少しずつ足していきます。テストとして紙やキャンバスの端に塗って乾燥後の色味を確認してください。青が強すぎると黒に青味が残ることがあるので、落ち着かせたい場合は微量のブラウンやごく少量の黄を足すといいでしょう。
この方法は風景や人物の影など自然な黒が欲しいときに特に使いやすいです。扱う画材によっては乾燥すると色が暗くなることがあるため、最終的な色は乾燥後に判断することをおすすめします。
三原色を少しずつ混ぜて調整
シアン・マゼンタ・イエローの三原色を混ぜると本格的な黒が作れます。最初は等量で混ぜてみて、各色を微調整して好みの色味に寄せます。マゼンタを多めにすると赤みのある黒に、シアンを多めにすると冷たい黒になります。
混ぜる際は各色を少量ずつ加えることが重要です。三原色は一度に多く混ぜると濁りやすく、思った色から外れることがあります。パレット上で小さなテスト塗りを繰り返し、乾燥後の変化を見ながら調整してください。
また、三原色で作る黒は色のコントロールがしやすく、色味を残した影色や微妙なトーンの違いを出すのに向いています。絵全体の色調に合わせやすく、特に色彩が豊かな作品で効果を発揮します。
補色を組み合わせると深い黒
補色同士を混ぜると彩度が下がり深い黒に近づきます。例えば青とオレンジ、赤と緑、黄と紫の組み合わせが代表的です。補色は互いに色を打ち消す効果があるため、適切な比率で混ぜると黒に近い色が得られます。
混ぜる際は、どちらか一方をやや多めにするとわずかに色味が残った黒が作れます。完全に打ち消してしまうと濁りすぎることがあるので、少量ずつ加えて観察することが大切です。補色の混色は特に陰影や空間の深みを出すときに有効です。
補色混色のデメリットは、顔料の性質で予想外の濁りや乾燥後の色変化が出ることです。最終的にはテスト塗りで確認してから本番に使用してください。
画材で仕上がりが変わるので注意
画材によって黒の見え方は大きく違います。水彩は顔料の溶け方や紙への馴染みが影響し、薄くても黒く見えやすい一方で透明感が出ます。アクリルは乾くとやや暗くなり、速乾性があるため重ね塗りや修正がしやすいです。油彩は顔料の濃度や光沢が豊かで、深い黒が作りやすい反面乾燥が遅いです。
同じ配合でも画材の性質で彩度や明度が変わるため、各画材に合わせて少しずつ調整してください。特に乾燥後の変化は画材ごとに異なるため、制作前にテストしておくことをおすすめします。
混色時は筆やパレット、メディウムの使用も色味に影響するので注意してください。道具や素材による違いを把握することで、狙った黒を安定して作れるようになります。
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黒を作る色のしくみを知る
黒は単なる「色がない状態」ではなく、色の組み合わせで生まれる見え方です。顔料を混ぜると光の吸収が変わり、目に届く光が少なくなることで黒っぽく見えます。異なる色を適切に組み合わせると深みのある黒が作れます。
色を見るときは色相、明度、彩度の三つの要素を意識することが大切です。色相で暖かさや冷たさを決め、明度で明るさを、彩度で鮮やかさを調整します。混色で黒を作る際は、これらを少しずつ変えながら目的の黒に近づけていきます。
顔料や画材の性質によって、同じ混色でも見え方が異なる点にも注意が必要です。次の項目で光の三原色と減法混色の違いや顔料特性について詳しく説明します。
減法混色と光の三原色の違い
減法混色は絵の具の混色に当てはまる考え方で、色を重ねるほど反射される光が減り暗くなります。絵の具ではシアン・マゼンタ・イエローが基本で、混ぜると黒に近づくことが多いです。一方、光の三原色は赤・緑・青で、光の加算で色が明るくなります。
この違いを理解すると、絵の具で黒を作るときに「なぜ色が濁るか」「なぜ乾燥で変わるか」が分かりやすくなります。絵の具は反射光が少なくなるため、混ぜすぎるとくすんだ色になりやすい点を意識してください。
顔料の特性が色に影響する
顔料ごとに透明性、隠蔽力、光沢が異なります。透明性の高い顔料は重ね塗りで深みを出しやすく、隠蔽力の強い顔料は少量で色を支配します。黒を作る際は使用する顔料の特性を把握しておくと混色の結果が予想しやすくなります。
例えば、ウルトラマリンは鮮やかな青ですが、混ぜると暗く深い色に寄せられます。バーントシェンナやバーントアンバーなどのブラウン系は温かみを加えるのに向いています。顔料の表示を見て透明か不透明かを確認すると、扱いやすくなります。
彩度と明度の下げ方の基本
黒に近づけるには彩度と明度を下げる必要があります。彩度は補色を少量混ぜることで下げられ、明度は濃い色を加えるか薄くしてコントロールします。直感で変えるよりは段階的に調整するのが安全です。
彩度を落としすぎると濁るため、少しずつ補色や濃色を加えて確認してください。明度は水やメディウムで薄めることで調整できますが、薄めると色の深みが変わるため注意が必要です。
補色で黒に見える仕組み
補色同士を混ぜると互いの色を打ち消して彩度が低下し、結果的に黒や暗い灰色に近づきます。これは目に入る光の波長が互いに打ち消し合うためです。補色の割合で黒の色味が微妙に変わるため、目的に合わせて配分を調整します。
補色混色は便利ですが、顔料の性質によっては濁りやすくなる点に注意してください。最初は少量で試し、少しずつ比率を変えて望みの黒を作ってください。
すぐ使える三つの黒の作り方
ここでは実際にすぐ使える三つの方法を紹介します。どれも手持ちの色で対応しやすく、用途に応じて使い分けられます。パレット上で必ずテストをして乾燥後の色味を確認してください。
それぞれの手法は目的によって向き不向きがあるため、作品の雰囲気や使う画材に合わせて選んでください。以下に割合や手順の目安を示します。
青と茶の定番レシピと割合目安
青と茶は扱いやすい組み合わせで、一般的な割合は青:茶=1:1から始めます。冷たい黒に寄せたい場合は青2:茶1、温かい黒にしたいときは青1:茶2くらいが目安です。微調整は少量ずつ行ってください。
このレシピは影や物体の輪郭に使いやすく、自然な深みが出ます。塗るときは薄く重ねて色を確認するか、混色してから一度テスト塗りすることをおすすめします。乾燥で暗くなることがあるので、最初はやや明るめに調整すると失敗が少ないです。
三原色で作る黒の手順
シアン・マゼンタ・イエローを等量で混ぜるところから始めます。そこから好みの色味に合わせて各色を微量ずつ足します。色を足すたびにパレットと紙でテストして、乾燥後の色を確認してください。
この方法は色のコントロールが細かくできるため、色味を残した黒や微妙なトーンが必要な場面に向いています。混ぜる順番は厳密でなく、少しずつ足していくのが肝心です。
補色同士を混ぜる黒の作り方
補色の組み合わせ例は以下の通りです。
- 青+オレンジ
- 赤+緑
- 黄+紫
まずは補色を同量に混ぜ、黒に近づいたら比率を変えて色味を整えます。補色は打ち消し合って彩度を下げるので、少量ずつ加えるのがコツです。
この方法は強いコントラストや自然な影に向いていますが、顔料の相性で濁りが出ることがあります。小さくテストしてから使ってください。
色味を残した黒を作るコツ
色味を残した黒にするには、ベースとなる色を決めて少量の補色や濃色を足すと良いです。例えば青をベースにして少し茶を加えると青みが残る黒になります。彩度を落とすときも少量ずつ行って色味を損なわないようにしましょう。
また、薄く重ね塗りすることで深みを出しつつ色味を保てます。重ねるごとに色の見え方が変わるため、何度か試して好みの黒に整えてください。
水彩 アクリル 油絵で黒を作るときのポイント
画材ごとの特徴を押さえると、狙った黒をより安定して作れます。水彩は透明感、アクリルは速乾と暗化、油絵は顔料の強さと光沢に注意するといいです。使い方を少し変えるだけで結果が大きく違います。
それぞれの画材ごとに具体的な注意点をまとめます。道具やメディウムの影響も考えて調整してください。
水彩は黒が強く出やすい
水彩は透明顔料が多く、薄く塗るだけで黒っぽく見えることがあります。重ねると深みが出ますが、薄塗りの段階で色味をよく確認してください。紙の白が残ることで色に透明感が出るため、濃くしすぎるとべったりした印象になりがちです。
水分量の調整で明度が変わるので、筆や水の量を工夫して扱いましょう。部分的に濃淡を作りたいときは、乾く前後での調整を試してください。
アクリルは乾くと色が暗くなる
アクリルは乾燥で少し暗くなる性質があります。混色した段階で最終色を想定して、やや明るめに作ると乾燥後に狙いの黒になります。速乾性を生かして重ね塗りで濃度を調整するのが効果的です。
メディウムを使うと艶や透明感が変わるので、仕上がりの印象を考えて使用する量を調整してください。
油絵は顔料の強さを優先して選ぶ
油彩では顔料の濃度や隠蔽力が色味に大きく影響します。深い黒が欲しいときは発色の強い顔料を選ぶとよいです。乾燥が遅いために混色や重ね塗りのコントロールがしやすく、微妙な調整が可能です。
溶剤や油の配合で光沢や乾燥時間が変わるため、環境に合わせて調整してください。
画材ごとの塗り方で色味が変わる
同じ混色でも塗り方によって見え方が変わります。薄く重ねると透明感が出て深みが生まれ、厚塗りにするとマットで濃い印象になります。ブラシの種類や筆致の方向でも黒の見え方が変わるので、意図に合わせて塗り方を選んでください。
道具の違いで仕上がりが変わるため、事前にテストをして感触を確認することをおすすめします。
狙いの黒を作る色の微調整テクニック
黒の微調整は少量ずつの加減が大切です。少しの色足しで大きく印象が変わるので、加える色と量を慎重に選んでください。ここでは色味別の調整法や乾燥後の確認方法を紹介します。
作業中は常にテスト塗りをして、乾燥後の変化を確認する習慣をつけると失敗が減ります。
赤みを加えて暖かい黒にする
黒に暖かみを出したいときは赤系を微量加えます。バーントシェンナやマダー系の赤を少し混ぜると落ち着いた暖かい黒になります。入れすぎると茶色寄りになってしまうので、ほんの少量から試してください。
暖かい黒は人物の影や室内の暗部表現に向いています。複数回に分けて少しずつ足し、色の変化を確認しながら進めるとコントロールしやすいです。
青を足して冷たい黒を作る
青を加えると冷たさのある黒になります。ウルトラマリンやプルシャンブルーなどを少量混ぜると、クールで深い黒が作れます。青を多くすると青みが残るため、用途に応じて量を調整してください。
風景や夜の表現、金属感を出したいときに向いています。こちらも段階的に足して色の変化を確かめながら進めてください。
少量の黄で土っぽい黒にする
黄をごく少量足すと土っぽくナチュラルな黒になります。イエローを多めにすると黒が明るく緑寄りになるので、黄は控えめに使います。バーントアンバーと組み合わせると落ち着いた土色の黒が作れます。
この黒は自然物や古材、植物の影などに適しています。少量ずつ加えて微調整してください。
彩度を保つ混ぜ方
彩度を保ちながら黒にするには、まずベース色を決めてそれを主に残すイメージで補色や濃色を少量加えます。全体の彩度を一気に下げるのではなく、部分的に重ねて深みを出すと色味が生きます。
透明性の高い顔料を使って層を作ると、彩度を残しつつ深い黒が表現できます。何度か試して最適な重ね方を見つけてください。
乾燥後の色変化を確認する
多くの画材は乾燥で色味が変わります。特にアクリルは暗く、油彩はやや落ち着く傾向があります。制作中は小さくテスト塗りをして乾燥後の色を確認し、必要に応じて補正してください。
乾燥後の差を見越して最初はやや明るめに作ると調整が楽になります。
黒を作るときによく起きる問題と直し方
混色で失敗しやすい点とその対処法を知っておくと作業がスムーズになります。代表的な問題は灰色化、濁り、乾燥後の思わぬ変化などです。それぞれに対応する考え方と手順を紹介します。
小さな修正で済むことが多いので、落ち着いて対応してください。
混ぜすぎて灰色になったときの対処
灰色になったと感じたら、元の色味を少量ずつ足して戻します。例えば青味を戻したければ青を少し加え、暖かみが欲しければ茶や赤を少量加えます。灰色は一度に直そうとせず、段階的に調整することが大切です。
パレット上で少量ずつ調整し、テスト塗りで確認しながら進めてください。
色が濁るときに試す組み合わせ
濁りが強いときは、透明性の高い顔料を使って層を作る方法が有効です。あるいは補色の比率を見直し、片方を少なくして彩度をわずかに残すと改善することがあります。顔料の相性も影響するため、別の顔料に替えてみるのも手です。
顔料の特性を確認して、透明/不透明を意識しながら組み合わせを変えてみてください。
乾くと色が変わるときの補正方法
乾燥後の変化を見越して、最初はやや明るめに作ると補正がしやすくなります。乾燥後に暗くなりすぎた場合は薄めて再調整するか、透明メディウムで層を作って光の反射を調整します。逆に乾燥後に明るくなった場合は濃色を足して調整してください。
小さなテストを繰り返すことで、作業の感覚がつかめます。
影を自然に見せるための黒の使い方
影を自然に見せるには単純な真っ黒を避け、周囲の色を取り入れた黒を使うと良いです。周辺色を少量混ぜて深みを出すと、影に馴染む表現になります。ハイライトとのコントラストも意識して、全体のバランスを整えてください。
また、影にも微妙な色味を残すことで空間感や素材感が増します。部分的に色を変えて柔らかさを演出してみてください。
すぐ使える黒を作るためのまとめ
手持ちの色で黒を作るには、まず基本の組み合わせを試し、少量ずつ調整することが鍵です。青+茶、三原色の混色、補色の組み合わせといった方法を使い分けて、作品に合った黒を選んでください。画材ごとの乾燥変化や顔料の特性を意識すると安定して同じ色を再現できます。
最終的にはテスト塗りを繰り返し、少しずつ感覚をつかむことが大切です。今回紹介した割合やテクニックを参考にして、自分の表現に合った黒を見つけてください。
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