漫画やイラストを描く際、どんな画材を選ぶかで仕上がりや描く楽しさが大きく変わります。特に「顔彩」と「水彩絵具」は、似ているようで特徴や使い方が異なるため、どちらを選ぶか迷う方も多いでしょう。色合いや発色、描き心地、使い方の幅といった細かな違いを知ることで、より自分に合った表現や作品づくりができるようになります。
この記事では、初心者や画材選びに悩む方のために、顔彩と水彩の違いと選び方、さらには活用方法まで詳しくご紹介します。画材の特徴を知って、楽しく自分らしい作品作りに役立ててください。
顔彩と水彩の基本的な違いを知ろう

顔彩と水彩の違いを知ることで、自分の表現したい作品や目的に合わせた画材選びがしやすくなります。まずは、それぞれの基本的な特徴や違いについて見ていきましょう。
顔彩とは何か
顔彩は、日本の伝統的な絵具の一つで、主にイラストや日本画、書道の彩色などに幅広く使われています。固形のまま小さな容器に入っており、水を加えて溶かして使うのが特徴です。
この画材は、発色がしっかりしていて濃淡の調整が自由にできるため、はっきりとした色彩表現が得意です。また、和風の絵柄や落ち着いた雰囲気を出したいときによく使われます。パレットに出す手間が少なく、気軽に使える点も人気の理由です。
水彩絵具とはどんな画材か
水彩絵具は、世界中で広く親しまれている画材で、透明感のある美しい色合いが特徴です。主にチューブや固形の形で販売されており、水で薄めて使うことで、淡い色から濃い色まで幅広く表現できます。
この画材の魅力は、色を重ねて透明感を活かしたグラデーションや、さまざまなテクスチャー表現ができる点にあります。使い慣れると繊細な表現だけでなく、鮮やかでインパクトのある絵も描けるため、多くのイラストレーターや画家に愛用されています。
顔彩と水彩の原材料の違い
顔彩と水彩絵具は、どちらも「顔料」と呼ばれる色のもとを使っていますが、原材料や成分の配合に違いがあります。顔彩は、天然や人工の顔料を「膠(にかわ)」というゼラチン状の接着剤で固めています。そのため、どちらかというとマットな質感になりやすいです。
一方、水彩絵具は、顔料に「アラビアゴム」などの樹脂を加えて作られており、水で伸ばすことで透明感が増します。これらの原材料の違いが、発色や描いたときの質感にも影響を与えています。
色合いや発色の特徴比較
顔彩と水彩では、色合いや発色の仕方にもはっきりした違いがあります。顔彩は、パキッとした鮮やかな色から、控えめで落ち着いた和風の色味までそろっていて、重ね塗りしても下の色が隠れやすい傾向があります。
対して水彩は、透明感を活かした柔らかい発色が持ち味です。色を重ねても下の色が透けて見えるため、グラデーションや奥行きのある表現がしやすくなっています。下の表で特徴を簡単にまとめます。
画材 | 色合いの特徴 | 発色 |
---|---|---|
顔彩 | はっきり・和の色合い | 濃く強い |
水彩 | 透明感・やわらかい雰囲気 | 明るく淡い |
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使い方と描き心地の違いを徹底解説

顔彩と水彩は、使い方や描いているときの感触にも違いがあります。ここからは、溶き方や筆運び、表現の幅など、実際の使いごこちを詳しくご紹介します。
顔彩と水彩の溶き方や筆運び
顔彩は、固形状の絵具をパレットやそのままの容器の上で、水を加えながら溶かして使います。しっかりと水を含ませることで、なめらかに色が伸び、筆にたっぷりと含ませて広い面を塗ることもできます。
一方、水彩絵具は、チューブから出した絵具や固形絵具を水で混ぜ、好みの濃さに調整して使います。水の量が多いほど色は薄くなり、軽やかな筆運びで滑らかなグラデーションが作りやすいです。筆の動きや水の含ませ方によって、さまざまな表現ができるのも水彩の特徴です。
混色や重ね塗りのしやすさの違い
混色や重ね塗りのしやすさも大切なポイントです。顔彩は、色を混ぜても個々の特徴が残りやすく、混ざりきらないことがあります。そのため、鮮やかさを活かして使いたい場合や、独特の色味を出したい方に向いています。
水彩は、混色がしやすく、複数の色を簡単にブレンドできます。また、重ね塗りをしても下の色が透けて見えるため、色の深みやグラデーションを作りたいときに便利です。ただし、何度も重ねすぎると色が濁ることがあるため、色の重ね方には工夫が必要です。
初心者におすすめの使い方
初心者が始めやすい使い方も気になるポイントです。顔彩は、パレットいらずで必要な色だけ水で溶かせばすぐに描き始めることができます。日本画風のはっきりした色を出したい場合や、ポストカードなど小さめの作品にも向いています。
水彩絵具は、色の濃さを水で簡単に調節できるため、試し塗りをしながら描くことができるのが魅力です。失敗しても水である程度ふき取れるので、気軽にチャレンジできます。初心者の方は、まずは少ない色数でグラデーションや混色の感覚をつかむのがおすすめです。
顔彩と水彩で描いた時の表現の幅
顔彩は、力強い色合いや和の雰囲気を活かした表現に強みがあります。細かい線や模様も描きやすく、イラストやデザインのアクセントにも最適です。
水彩は、透明感ややわらかいタッチを活かし、風景画や人物画、抽象画まで幅広い作品に対応できます。色をにじませたり、重ねて深みを出したりと、多彩な表現ができるのが大きな魅力です。
顔彩と水彩の種類や選び方ガイド

自分の作品や好みに合った画材を選ぶには、顔彩や水彩絵具の種類やセット内容について知っておくことが大切です。ここでは、それぞれの画材の特徴と選び方を解説します。
顔彩の種類と色のバリエーション
顔彩には、固形タイプやチューブタイプがありますが、一般的には固形が主流です。色のバリエーションは、伝統的な和色を中心に、鮮やかな赤や青、抑えめの緑や茶色などがそろっています。
セット販売が多く、12色・18色・24色など色数によって選べます。少ない色数でも混色して幅広い色彩表現が可能ですが、和の色味にこだわりたい方は多色セットを選ぶと便利です。
水彩絵具の主な種類と特徴
水彩絵具には、大きく分けて「透明水彩」と「不透明水彩(ガッシュ)」があります。透明水彩は、下地が透けるほど透明感のある発色が特徴で、微妙な色合いの重なりやグラデーションが得意です。
不透明水彩は、白色顔料を多く含み、重ね塗りしても下の色が隠れやすく、くっきりした仕上がりになります。漫画やイラスト、デザイン用途に向いています。チューブタイプと固形タイプがあり、使い方や好みに合わせて選べます。
作品や用途別の画材の選び方
作品や用途によって、向いている画材が異なります。たとえば、和風イラストや落ち着いた雰囲気を出したい場合は顔彩、透明感やみずみずしい表現を求めるなら水彩絵具が適しています。
用途別に選ぶときのポイントをまとめました。
作品タイプ | おすすめ画材 | 特徴 |
---|---|---|
和風イラスト | 顔彩 | 落ち着いた和色 |
透明感イラスト | 水彩 | やわらかい発色 |
デザインや漫画 | 不透明水彩 | くっきり明快な色合い |
顔彩セットと水彩セットの特徴
市販されている顔彩セットは、コンパクトで持ち運びやすく、必要な色がそろったものが多いです。セットによっては、金や銀など特殊な色も含まれているため、表現の幅が広がります。
水彩セットは、チューブや固形絵具の他に、パレットや筆、スポンジなどが一緒に入っていることが多いです。初心者向けのスターターセットから、プロ仕様の高級セットまで豊富に選べます。自分の制作スタイルや持ち運びのしやすさで選ぶのがポイントです。
顔彩と水彩に合う紙や道具を紹介

画材の力を最大限に活かすには、紙や筆、パレットなどの道具選びも重要です。ここでは、顔彩と水彩におすすめの道具や紙の選び方についてご紹介します。
顔彩や水彩に適した紙の選び方
顔彩や水彩絵具を使う際は、水を多く含んでも波打ちにくい、厚手の紙が適しています。たとえば「水彩紙」と呼ばれる専用の紙は、表面がざらざらしていて、色ののりやにじみ具合が良いのが特徴です。
和紙も顔彩によく合い、和風の作品作りに最適です。ポストカードサイズの水彩紙や画用紙も手軽に使えるため、用途に合わせて選びましょう。紙の厚みや質感によって仕上がりが変わるため、いくつか試してみて自分に合うものを見つけるのがおすすめです。
おすすめの筆やパレット
筆は、顔彩には日本画用の筆や水彩用の丸筆がよく合います。毛先がまとまりやすく、水をたっぷり含ませやすい筆を選ぶと、きれいな塗りがしやすくなります。
水彩絵具には、丸筆や平筆、細いライナー筆など、描きたい線や面積に合わせて数種類そろえておくと便利です。パレットは洗いやすいプラスチック製や陶器製がおすすめで、色分けしやすい仕切りつきのものが特に使いやすいです。
メディウムや補助材料の活用
メディウムとは、絵具に混ぜて使うことで発色や質感、乾燥時間などを調整できる補助材料のことです。水彩用のメディウムを使うと、にじみを抑えたり、光沢やマット感をプラスしたりできます。
また、顔彩の場合は、水墨画用の膠や金泥・銀泥といった特殊な補助材料を使うことで、より多彩な表現が可能になります。ほかにも、マスキングインクや耐水性ペンなど、仕上げや細部の表現に役立つ道具も利用すると作品の幅が広がります。
顔彩と水彩の保管やメンテナンス方法
画材を長く良い状態で使うためには、正しい保管とメンテナンスが大切です。顔彩は、使い終わったら水気を切って風通しの良い場所で乾かすと、固まったりカビが生えるのを防げます。
水彩絵具も、チューブのふたをしっかり閉め、直射日光を避けて保管しましょう。使い終わった筆やパレットは、すぐに水洗いして絵具の残りを落とすことが大切です。こうした日々のメンテナンスで、道具を長持ちさせることができます。
顔彩と水彩それぞれの魅力と活用アイデア
顔彩や水彩の特徴を活かすことで、作品づくりの幅がぐっと広がります。ここでは、それぞれの魅力や活かし方、組み合わせた表現のアイデアを紹介します。
顔彩が活きる日本画やポストカード
顔彩は、日本画や和風イラスト、年賀状やポストカードの彩色に特に適しています。はっきりとした和の色合いが特徴で、伝統的な花や動物、風景などを描くときに本領を発揮します。
また、顔彩は少ない色数でも個性が出しやすく、ミニサイズの作品や手描きグッズの彩色にも向いています。金や銀の顔彩を使えば、華やかなアクセントにもなります。
水彩の透明感を活かしたイラストや風景画
水彩絵具の透明感やにじみを活かすと、やわらかく温かみのあるイラストや風景画が描けます。淡い色合いの重なりや、自然なグラデーションは、水彩ならではの表現です。
特に空や水、植物の葉など、色の広がりや透明感を表現したいモチーフにぴったりです。人物画やファッションイラストでも、透明な色彩で繊細な雰囲気を出すことができます。
顔彩と水彩を組み合わせた作品制作
顔彩と水彩を組み合わせることで、独自の表現が楽しめます。たとえば、背景や広い面は水彩で透明感をもたせ、細部やアクセントには顔彩のはっきりした色を加える方法があります。
両方の特徴を活かせば、和と洋のテイストをミックスした新しい作風にも挑戦できます。混ぜて使うときは、顔彩の上に水彩を重ねると発色が落ち着きやすいので、順番や重ね方にも工夫をしてみてください。
目的や表現に合わせた画材の活かし方
どちらの画材も、使い方しだいでさまざまな表現が可能です。たとえば、顔彩は力強く印象的な作品、個性的な色合いを出したいときにぴったりです。
一方、水彩はやさしく透明感のある表現や、ふんわりした雰囲気を出したいときに向いています。自分の描きたいテーマや作風に合わせて、画材を選んだり組み合わせたりしてみましょう。
まとめ:顔彩と水彩の違いと選び方を知り自分らしい表現を楽しもう
顔彩と水彩には、それぞれ異なる魅力や特徴があり、使い方や作品の仕上がりに大きな違いが出ます。用途や表現したい雰囲気、好みに合わせて画材を選ぶことで、より自分らしい作品作りができるようになります。
今回ご紹介した違いや選び方、使い方のポイントを参考に、自分に合った画材を見つけて、さまざまな表現に挑戦してみてください。画材の違いを楽しみながら、創作の幅を広げていきましょう。
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