漫画やイラストを描くとき、「どんな紙を選べば良いんだろう?」と迷った経験はありませんか。描き心地や作品の仕上がりは、使う紙によって大きく変わります。紙選びで悩む方や、これから画材をそろえたい方に向けて、紙の種類や特徴を分かりやすく解説します。
あなたのイメージ通りの作品づくりに役立つ情報を、専門用語をなるべく避けて丁寧にお伝えします。自分に合った用紙を見つけて、より快適な創作を楽しみましょう。
ケント紙と上質紙の違いと特徴を徹底比較

漫画やイラスト制作の現場でよく使われる「ケント紙」と「上質紙」。それぞれの特徴や違いを知ることで、自分の目的に合った紙を選びやすくなります。
ケント紙の表面と質感の特徴
ケント紙は、表面がとてもなめらかで平らな質感を持っています。細かい線をきれいに描けるので、漫画や精密なイラスト制作に向いています。つるつるした手触りで、ペン先が引っかかりにくいため、インクのにじみが少なく、繊細な表現がしやすいのが特徴です。
また、ケント紙は表面が丈夫なため、消しゴムを使っても紙が毛羽立ちにくいです。漫画原稿やトーン貼りなど、何度も手を加える作業でも紙が傷みにくい点が魅力です。一方で、表面が滑らかすぎて鉛筆のノリが弱いと感じる方もいるので、下書きの感触に好みがある場合は一度試してみると良いでしょう。
上質紙の風合いと用途の幅広さ
上質紙は、少しざらっとした自然な風合いがあり、手に取ったときの温かみが特徴です。書籍やコピー用紙としてもよく使われており、発色も良いため、さまざまな用途に対応できる万能な紙です。
また、上質紙はインクや鉛筆の吸い込みが良く、筆圧の強弱によって線に表情をつけやすいという利点があります。漫画の下書きやイラストのラフスケッチ、アイデアノートなど幅広く使えます。ただし、インクがにじみやすい種類もあるため、ペン入れには注意が必要です。コストパフォーマンスが高く、手軽に使える点も支持されています。
厚みや価格で見るケント紙と上質紙の違い
ケント紙と上質紙は、厚みや価格にも違いがあります。下記の表で比較してみましょう。
用紙の種類 | 厚み(目安) | 価格(目安) |
---|---|---|
ケント紙 | しっかり厚め | やや高め |
上質紙 | 薄手~中厚 | 手ごろ |
ケント紙は厚みがあり、しっかりとした安定感があります。その分、価格はやや高めですが、作品を保管したい場合やペン・インクを多用する場合に適しています。一方、上質紙は厚さのバリエーションが多く、薄手のものから中厚まで選べます。大量に使う場合は手ごろな価格で手に入りやすいです。
ケント紙と上質紙の使い分けポイント
用途や描きたい内容によって、ケント紙と上質紙を使い分けることが大切です。たとえば、細いペンで緻密な線画を描きたい場合や、トーンを貼る作業が多い場合は、表面が滑らかでしっかりしたケント紙が適しています。
一方、ラフスケッチや練習用、イメージスケッチなどラフなタッチを重視したい場合は、リーズナブルで風合いのある上質紙が使いやすいです。どちらも一度試し、自分の描き方や目的に合うものを選ぶと満足度が高まります。
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漫画やイラスト制作に適した紙の選び方

漫画やイラストを描く際に適した紙は、用途や画材によって異なります。描きたい作品に合わせて、最適な紙を選ぶためのポイントを順にご紹介します。
漫画原稿におすすめの紙の種類
漫画原稿には、専用の漫画原稿用紙や厚手のケント紙がよく選ばれます。これらは、ペン入れやトーン貼り、消しゴムかけといった工程に耐えられるよう、表面が丈夫で滑らかなのが特徴です。A4やB4サイズが主流で、方眼や枠が印刷されているものもあり、レイアウトがしやすい点がメリットです。
また、オリジナル原稿をスキャンしやすい白色度の高い紙も人気です。大量に練習したい場合は、少し薄手の上質紙やコピー用紙を使う方もいますが、完成原稿や提出作品には厚みのあるケント紙や専用原稿用紙が安心です。紙選びは、工程や仕上げの用途に合わせて考えると失敗しにくくなります。
イラストに適した紙の比較
イラスト制作では、描きたい画風や使う画材に合わせて紙を選ぶことが大切です。たとえば、鉛筆やカラーペンで線画や塗りを楽しみたい場合は、上質紙やイラストボードが適しています。水彩やコピックなどを使う場合は、対応した専用紙を選ぶことで、発色やにじみを抑えてきれいに仕上げられます。
また、デジタル化を前提にする場合は、スキャンしやすい色味や表面の紙を選ぶと作業効率が良くなります。下記に簡単な比較表をまとめました。
紙の種類 | 向いている画材 | 特徴 |
---|---|---|
ケント紙 | ペン、マーカー | 線がきれい、強度あり |
上質紙 | 鉛筆、色鉛筆 | 手軽、表情が出やすい |
水彩紙 | 水彩絵具 | 吸水性、発色が良い |
用途と画材の組み合わせを意識し、自分の作風に合った紙を選ぶことがポイントです。
初心者でも扱いやすい画材用紙の選び方
初めて画材に触れる方や、紙選びに迷う方におすすめなのは、厚みがしっかりあり消しゴムに強い紙です。消しゴムを多用する初心者の方は、毛羽立ちにくいケント紙や漫画原稿用紙が安心です。これらはペンや鉛筆、定規を使った線引きにも向いており、失敗しても紙が痛みにくいのが魅力です。
また、上質紙や画用紙も手軽に手に入るので、ラフスケッチや練習に便利です。価格が手ごろなので、気兼ねなく枚数を使えるのも嬉しいポイントです。最初は少量ずついろいろな紙を試してみて、描き心地や仕上がりを比べるのもおすすめです。
紙による描き心地の違いと選び方のコツ
紙によって、鉛筆やペンの滑りやインクの乗り方が大きく変わります。滑らかな紙はペンが引っかからず細密な線が描きやすい一方、ざらつきのある紙は鉛筆の濃淡やタッチを活かせます。
紙の厚みも重要で、薄い紙だと裏にインクが抜けやすかったり、消しゴムで端が丸まりやすいことがあります。厚みがある紙なら、様々な画材に対応できる上、作品の保管もしやすいです。自分が描きやすいと感じる質感や、使いたい画材に合った紙を選ぶことで、より快適に制作を進められます。
画材ごとに最適な用紙を選ぶポイント

使う画材によって、適した紙の種類や特徴は大きく異なります。画材ごとのポイントを押さえて、作品ごとに最適な紙を選びましょう。
鉛筆やペンに適した紙の特徴
鉛筆やペンで細かい描写をしたい場合は、表面がなめらかで、適度な硬さのある紙が向いています。たとえば、ケント紙や漫画原稿用紙は表面が整っていて、線が安定して引けるため、細かい表現がしやすいです。消しゴムに強いので、修正を繰り返しても紙が傷みにくい点も安心です。
一方、上質紙や画用紙は、ざらつきがあるため鉛筆線にニュアンスを出したいときに適しています。ただし、ペンの場合はインクがにじみやすいものもあるので、試し描きをしてから本番に使うと良いでしょう。絵柄や用途に合わせて紙を選ぶと、線の表現の幅が広がります。
水彩画やカラー作品におすすめの紙
水彩絵具やカラーインクを使う場合は、水分をたっぷり含んでも波打ちにくい水彩紙が適しています。水彩紙は表面に細かい凹凸があり、発色がきれいで、にじみやグラデーションもきれいに表現できます。厚みや質感はさまざまで、好みに合わせて選べます。
また、イラストボードや混合技法用紙も、水彩やカラーインクに対応しているものがあります。表面の仕上げや厚みを確かめ、自分の描き方に合った紙を選ぶことが大切です。安価な普通紙では水分で紙がよれやすいため、カラー作品には専用の紙を選ぶと安心です。
コピックやアルコールマーカーと紙の相性
コピックなどアルコールマーカーを使う場合は、専用に設計されたマーカー用紙やケント紙が相性が良いです。これらの紙はインクの広がりをコントロールしやすく、発色やグラデーションもきれいに仕上がります。裏抜けしにくい紙を選ぶことで、作品の両面を使いたい場合にも便利です。
一方で、普通のコピー用紙や薄手の上質紙はインクが裏まで抜けやすく、色ムラが出やすいことがあります。マーカー専用紙や厚めのケント紙を選ぶことで、インクの管理がしやすくなり、安定したカラー表現が可能になります。
デジタル作画とアナログ用紙の関係
最近ではデジタル作画が主流ですが、アナログで描いた原稿をスキャンしてデジタル化するケースも増えています。その場合は、紙の白色度や表面の滑らかさがスキャン時の仕上がりに影響します。白色度が高いケント紙や漫画原稿用紙は、スキャン後も線がきれいに映るためおすすめです。
また、デジタルで下描きをして、仕上げだけアナログで行う場合もあります。用途に応じて、アナログ・デジタル両方に向いた紙を選ぶことで、作品のクオリティや作業効率が上がります。紙とデジタル環境のつなぎを意識して選ぶのがポイントです。
主要な用紙の種類と特徴を知ろう

漫画やイラスト制作に使われる主要な用紙には、それぞれ異なる特徴があります。代表的な紙の種類と、その特徴を押さえておきましょう。
コート紙とマット紙の違い
コート紙は、表面に光沢のあるコーティングが施されているのが特徴です。色や写真を鮮やかに見せたい印刷物に向いています。ツルツルした質感でインクが乗りやすく、発色がとても良いです。
一方、マット紙は光沢を抑えた仕上げで、落ち着いた印象を与えます。反射が少なく、目に優しいため、イラストやポスターなどの印刷にもよく使われます。手触りはサラサラしており、色の再現性も高いです。用途や仕上がりの雰囲気に応じて、コート紙とマット紙を使い分けると良いでしょう。
コピー用紙とアートポスト紙の使い分け
コピー用紙は、日常的な印刷や下書き、ラフスケッチなどに使われる安価な紙です。薄手で大量に使いやすい反面、インクがにじみやすかったり、裏抜けしやすいという面もあります。
アートポスト紙は、厚みと光沢感があり、カラー印刷やポストカード、プレゼント用のイラストカードなどに適しています。作品をきれいに仕上げて配る場合や、耐久性を重視したい場合に便利です。下記のように使い分けると良いでしょう。
用紙 | 主な特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
コピー用紙 | 薄手、安価 | ラフ、練習用 |
アートポスト紙 | 厚手、光沢 | カラー印刷、カード |
クラフト紙や再生紙の特徴
クラフト紙は、茶色でざらざらした質感が特徴の紙です。ナチュラルな雰囲気や、ラッピング、メモ、イラストの背景素材などに使われます。丈夫で破れにくいので、工作やパッケージにも活用されています。
再生紙は、古紙を原料にした環境に配慮した紙です。ややグレーがかった自然な色合いと、独特の手触りがあります。エコを意識した作品づくりや、風合いを生かしたイラスト、アイデアノートに適しています。どちらも個性的な作品づくりに向いています。
画用紙とケント紙の違いと用途
画用紙は、学校の授業などでよく使われる紙で、表面にざらつきがあり鉛筆やクレヨン、色鉛筆がのりやすいです。水彩にも対応しているタイプがあり、幅広い表現に向いています。価格が手ごろで、たくさん使う場合に便利です。
一方、ケント紙は表面が非常になめらかで、ペンやマーカーで細い線を描きたいときに適しています。どちらも用途や使う画材によって選ぶことが重要です。描きたい絵の雰囲気や目的に合わせて、紙を使い分けることが作品の仕上がりに差を生みます。
まとめ:漫画やイラスト制作に最適な紙選びのポイントと注意点
漫画やイラスト制作で使う紙は、作品の完成度や描き心地に大きく影響します。自分が使いたい画材や描く目的、作業工程に合わせて、その都度最適な紙を選ぶことが大切です。ケント紙や上質紙、水彩紙、マーカー用紙など、それぞれの特徴を理解しておくと、迷わずに選びやすくなります。
また、初めて使う紙は少量を購入して試し描きをしてみると、感触や仕上がりを実際に確かめられます。描き心地や発色、消しゴムの使いやすさなど、自分に合ったポイントを見つけてください。紙によって適した保管方法や扱い方も異なるため、扱い方の注意も忘れずに、長く愛用できる画材環境を整えましょう。
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